オヤカクとは?その必要性と内定辞退を防ぐ対策を解説

新卒採用市場において重要性が高まっている「オヤカク」。 特にZ世代の学生は、就職活動で親の意見を重視する傾向があり「親が反対しているから」と内定を辞退するケースは多いです。 そのため、内定辞退を防ぐためには親へのアプローチが欠かせないのです。とはいえ、オヤカクがどのようなものか、具体的な手法が分からない採用担当者もいるでしょう。この記事では、オヤカクの重要性や具体的な手法・注意点を分かりやすく解説します。
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オヤカクとは
オヤカクとは「親への確認」の略で、内定した学生の親に入社を承諾しているかを確認することです。内定者に対して親の承諾を得ているかを確認するだけでなく、親に対して企業側が直接同意を得るケースもあります。
また、内定承諾だけでなく親への資料送付や企業説明会など一連のアプローチもオヤカクの一環です。本来、入社の意志確認は20歳を超えているなら内定者本人だけで問題ありません。しかし、近年は「親が反対しているから」と内定辞退されるケースが目立ってきており企業が頭を悩ませています。そのため、内定辞退対策として親へのアプローチを取り入れる企業が増えているのです。
オヤカクが必要とされる理由
株式会社マイナビの「2024年度 就職活動に対する保護者の意識調査」によると、オヤカクを経験した親は45.2%です。半数近くの企業がオヤカクを実施していることからも、企業が採用プロセスで親の意向を重視していることが分かるでしょう。
このようにオヤカクが必要とされる理由には、以下の2つが考えられます。
- 内定辞退率の高さ
- 就職に対する親の影響力の変化
内定辞退率の高さ
株式会社リクルート就職未来研究所の調査によると、2024年卒の内定辞退率は63.6%に達し、さらに2025年卒では12月1日時点で65.1%と増加傾向にあります。一方、内定取得企業数は2024年卒で平均1.43社・2社以上計が26.1%、2025年卒で平均1.80社・2社以上計が48.3%です。内定取得数が増加傾向にあることから、内定辞退率も高くなるのは当然といえるでしょう。
とくに、近年は少子高齢化・人口減少による売り手市場が続き、企業の人材確保が激戦化している状態です。 さらに、就職活動へのインターネット普及により、複数社へのエントリーが容易になっていることも内定辞退率の増加につながっているといえます。
内定を辞退されると、それまで採用にかけた時間や手間・費用のすべてが無駄になります。内定状況によっては追加で採用が必要になり、余計なコストが発生することもあるでしょう。必要な採用人数が確保できなければ、企業の人手不足にもつながり大きなダメージにもなりかねません。人材確保・採用コスト適正化のためには内定辞退を防ぐアプローチが欠かせず、その手法としてオヤカクが重要になってくるのです。
就職に対する親の影響力の変化
近年の少子化・核家族化により、学生の最も身近な社会人が親という家庭も多いでしょう。友達のような親子関係を築く家庭も増えており、就職について悩んだら良き相談相手であり身近な社会人である親にまず相談するというケースは珍しくありません。
一方、親側も子どもの就職に対して高い関心を示しています。株式会社マイナビの調査によると、子どもの就職活動に関心があったと答えた親は70.0%です。少子化により子ども1人と深く関わりやすくなったことや両親ともに現役でバリバリ働いている家庭も多く、母親も企業や職種などに詳しくなってきていることが関心の高さの要因と考えられるでしょう。
そのような関係性の変化により子どもの就職に親が出てくるケースは増えており、以下のようなトラブルも起こりがちです。
- 親の反対を理由に内定辞退する
- 内定後に親から仕事について問い合わせがある
- 入社後に親からクレームが入り退職になる
このような事態を防ぐには、親に企業について理解し安心してもらう必要があり、そのアプローチとしてオヤカクが重要になってくるのです。また、親が企業への理解を深めていると、入社後に退職するか悩んだ際に親が引き留めてくれる可能性があり離職率の改善にもつながります。
とくに、知名度の低い中小企業やベンチャー企業、スタートアップ企業は親に反対されやすいので、オヤカクの重要度が高いといえるでしょう。
具体的なオヤカクの方法
具体的なオヤカクの方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 内定後に確認の電話や挨拶の手紙を送る
- 企業資料や商品を送付する
- 企業サイト、採用サイトをリニューアルする
- オヤオリ(親向けのオリエンテーション)を実施する
- 実家を訪問する
内定後に確認の電話や挨拶の手紙を送る
内定後に直接親に電話や手紙で挨拶するアプローチです。応募のお礼と内定に至った理由など個別の対応をすることで誠実性が伝わり、印象アップにつながるでしょう。また、採用担当者ではなく社長の手紙や電話を用いるのも効果的です。同時に内定の同意を得ておくことで、内定後のトラブルを防ぐのにも役立ちます。
企業資料や商品を送付する
企業を知ってもらう方法としては、会社案内や採用案内・自社商品などを送付する方法もあります。 個別の電話に比べ比較的着手しやすい方法なので、オヤカクの第一歩としてもおすすめです。 資料や商品をただ送付するのではなく、親向けのメッセージを添えると印象アップにつながりやすくなります。
ただし、パンフレットが古臭い・分かりにくいものだと送付が逆効果になりかねません。これを機に分かりやすく見栄えの良いデザインに刷新したり、親専用のパンフレットを作成するのもよいでしょう。
企業サイト・採用サイトをリニューアルする
インターネットの普及により親も子どもが応募した企業を調べるケースは珍しくありません。その際、ホームページがなかったり、内容が分かりにくかったりすると、不信感を抱かれやすいので注意しましょう。 企業サイトが充実していないなら、リニューアルして企業の魅力を十分発信できるようにすることが重要です。
また、採用サイトもチェックされやすいため、社内の雰囲気や福利厚生・教育体制など親が知りたいと思う情報を盛り込んでおくとよいでしょう。親向けの専用サイトを設けるのも1つの手です。 そもそも採用サイトが充実していないと、内定辞退以前に応募者が集まらない事態にもなりかねません。オヤカクだけでなく採用効率アップのためにも、自社サイトや採用サイトの充実を検討するとよいでしょう。
オヤオリを実施する
オヤオリとは、親が参加するオリエンテーションの略です。親向けの企業説明会や親同伴の社員との懇親会・オフィスツアーなど企業理解を深めることを目的とし、オヤカクの一環として実施する企業が増えています。
親子同伴型であれば、親の理解を得られるだけでなく親子間で共通の認識をもって就職について建設的な意見交換ができるなどコミュニケーションの機会としても有効です。企業側から説明するだけでなく質疑応答の場も十分設けると、親の疑問や不安の解消につながるでしょう。
実家を訪問する
採用担当者や経営陣が内定者の家庭を訪問するケースもあります。直接顔を合わせる機会を設けることで企業の想いを伝えやすくなり、親の心を動かしやすくなります。出向くのが難しい場合は、ビデオチャットなどのツールを活用するのもよいでしょう。
ただし、訪問を快く思わない内定者や親もいるため、訪問にあたっては親の都合や内定者の意向を確認する、プライバシーに配慮するなどの適度な距離感を保つことも忘れないようにしましょう。
オヤカクを行うときの注意点
オヤカクを行うときの注意点として、以下の5つが挙げられます。
- 内定者の同意を得る
- 親の心情に配慮する
- 内定者への働きかけも行う
- 一貫したメッセージを持つ
- オヤカクはあくまで採用の一環であることを意識する
内定者の同意を得る
オヤカクを行う際には、必ず内定者に目的を説明し、同意を得ておくことが重要です。中には、親に知られたくない、意見されたくないと考える内定者もいます。
また、親に確認することで子ども扱いされていると感じさせてしまう可能性もあります。勝手に親に連絡を取ることで、内定者自身が企業に不信感を抱く恐れがあるので注意しましょう。
親の心情に配慮する
親が子どもの就職先について懸念を抱くのは、子どもの将来を心配しているからです。オヤカク実施時に親から厳しい意見を言われることもありますが、それは企業に対する敵意ではなく、安心して子どもを働かせられる企業なのかを不安に思う気持ちの表れです。オヤカクを行う際には、その心情を理解し親が安心できる情報の提供や誠実な対応を心掛けましょう。
内定者への働きかけを行う
親の理解を得ることは大切ですが、最終的に親を説得するのは内定者自身です。企業としても、内定者が自分の意思で親に説明できるよう支援し、相談に応じるなどのフォローを行いましょう。適切なサポートがあれば、内定者は自信を持って親と話しやすくなり、企業への信頼も深まります。
一貫したメッセージを持つ
親と内定者への説明に違いがあると、双方に不信感を抱かれます。採用プロセス全体を通じて、企業のビジョンや価値観、労働環境などを統一したメッセージで発信するようにしましょう。
なお、魅力を伝えたいからといって嘘や誇張はNGです。事実に基づいて自社の魅力を洗い出し、アピールするようにしましょう。
オヤカクはあくまで採用の一環であることを意識する
オヤカクは採用活動の補助的なプロセスであり、重視しすぎると逆効果になることもあります。親への対応ばかりに集中し内定者へのフォローがおろそかにならないよう注意しましょう。親と内定者双方に企業の魅力を伝えることで、企業への理解が深まり採用の成功につながっていきます。
オヤカクを行うタイミングに注意する
オヤカクはタイミングが重要です。内定通知後すぐに親へ確認を取るのではなく、内定者本人が十分に企業理解を深め、納得した上で親と話ができるようにしましょう。また、親へ情報を提供する際も、内定者が意志を固めた後に行うことで、スムーズな承認を得られる可能性が高まります。
効果的なオヤカクと学生へのアプローチで採用成功を目指そう
新卒採用では内定者本人だけでなく親の意向も採用に大きく影響してきます。親が企業に不信感を抱くと内定辞退や早期退職につながりやすくなる一方、親が安心できる企業であれば人材確保の後押しになります。
オヤカクで重要なのは、自社への理解を深めてもらうことです。親の求める情報や企業の魅力を的確に発信できるようなアプローチを検討するとよいでしょう。
また、オヤカクだけでなく、企業の情報発信を充実させることも内定辞退を防ぐ重要な要素です。具体的には、魅力的な採用サイトの作成、企業ホームページの充実、採用パンフレットの工夫、そしてSNSを活用した情報発信などが挙げられます。これらを適切に活用し、学生や親に対して企業の魅力をしっかりと伝え、採用活動の成功につなげていきましょう。
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