採用ブランディングとは?目的や具体的な進め方、成功事例を解説

売り手市場の採用で、自社の「採用力」を強化する一つの方法に「採用ブランディング」があります。 採用ブランディングに取り組むことで、自社のファンとなる人材を増やし、自社にマッチした人材に出会いやすくなります。 この記事では、「そもそも採用ブランディングとは何か」「どのように取り組めばよいのか分からない」といった方に向けて、採用ブランディングの基本や注意点、具体的な取り組み方について分かりやすく解説します。
目次
採用ブランディングとは
採用ブランディングとは、企業が採用活動を通じて求職者や社会に向けて自社の魅力を発信し、「ここで働きたい」と思われる企業イメージを構築する取り組みを指します。
採用媒体やさまざまなツールを活用し、「働く場所」としての魅力を一貫したコンセプトとメッセージで伝えることで、採用市場における企業価値を高めていきます。適切に設計・運用された採用ブランディングは、採用効率を上げるだけでなく、入社後の従業員の定着率向上にもつながります。
このように、採用ブランディングに取り組んでいるか否かは、中長期的な採用活動の成果に大きな差を生み出す重要な要素と言えるでしょう。
採用マーケティングとの違い
採用ブランディングと混同されやすい概念として、「採用マーケティング」があります。
採用マーケティングとは、企業が優れた人材を確保するために行う戦略的な取り組みのことです。ターゲットを明確にし、採用サイトや各種ツール、SNSなどを通じて魅力を発信して、「応募」につなげることを目的としています。簡単に言えば、応募者を増やすための具体的な取り組みです。
一方で、採用ブランディングはその前段階である「自社への興味・関心を持ってもらい共感してもらうこと」を目的とした取り組みです。
採用ブランディングで、働く場所としてのブラントを構築し、そのブランド力を活かして採用マーケティングで具体的にアプローチするという、両方を組み合わせることで、より積極的で効果的な採用活動が実現しやすくなります。
採用ブランディングが注目される背景
採用ブランディングが注目されている背景としては、主に次のような要因が挙げられます。
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売り手市場による人材確保の激化
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SNSの普及
売り手市場による人材確保の激化
近年の採用市場は売り手市場といえます。
日本では少子高齢化が進み、労働人口が長期的に減少しています。内閣府の「令和7年版高齢者社会白書」によると、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年の8,716万人をピークに減少へ転じ、2024年には7,373万人まで減少しています。さらに2050年には5,540万人と2024年比で約24.9%減少すると見込まれています。
このように働き手が減るなかで、企業同士の人材獲得競争は一段と厳しくなっています。有効求人倍率は2014年の1.09倍以降、2026年1月時点でも1.18倍と1.0以上を維持しており、今後も売り手市場は続くと考えられます。
このような状況下で求職者に選ばれる企業になるためには、自社の魅力を戦略的に発信し、採用市場における企業価値を高めていくことが不可欠です。
SNSの普及
採用活動が厳しさを増すなかで、企業の情報発信の場として注目を集めているのが、インターネット、とりわけSNSです。なかでも、InstagramやX(旧Twitter)といったSNSは、近年の採用施策において欠かせないチャネルとなっています。
若い世代の求職者の多くは、企業ホームページや求人サイトに掲載された表面的な情報だけでなく、SNSで発信される口コミや社員の雰囲気、社風といったリアルな情報を重視する傾向があります。そのため、多くの企業がSNSを活用して、自社のブランドイメージを継続的に発信・醸成する取り組みに力を入れるようになっています。
採用ブランディングの目的
採用ブランディングの最大の目的は、「自社に共感してくれる人材」を獲得することにあります。
企業理念やビジョン、社員の日常の様子・企業風土といった情報を戦略的に発信し、採用市場においての自社ブランドを構築していく取り組みが採用ブランディングです。
その結果として「この企業で働いてみたい」と感じてくれるファンを獲得し、採用へどつなげていきます。単に企業の認知度だけを高めても、「その企業を知っているからなんとなく応募した」という求職者が少なからず集まってきます。自社への共感が薄いまま入社すると、入社後のミスマッチも起きやすくなるでしょう。
一方で、採用ブランディングに取り組めば、「この企業で働きたいから応募する」という求職者の層を広げることが可能です。企業理念や働き方に共感したうえで応募してくれるため、ミスマッチが起こりにくく、結果として長期的に活躍してくれる人材になりやすいというメリットがあります。
このように、自社への共感を軸に「より自社に合った人材」を獲得していくことこそが、採用ブランディングの目的といえるでしょう。
採用ブランディングを実施するメリット
ここでは、採用ブランディングを実施するメリットとして以下の3つを解説します。
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採用コストの削減
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求人応募者数の増加
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入社後の定着率向上
採用コストの削減
採用ブランディングで企業の認知度がアップし、企業理念に共感した求職者が集まる仕組みを構築できれば、求人媒体や人材紹介サービスの利用を抑えることが可能です。
たとえば、無料で活用できるSNSでの情報発信だけで応募につながるような仕組みができれば、有料の求人サービスを利用する必要はなくなるでしょう。もちろん、効果的な採用ブランディングを行うには、広告出稿やSNS運用のコンサルティングなど、一定の費用は発生します。しかし、一度仕組みを構築してしまえば、中長期的には採用コストの削減が見込めます。
また、「この企業で働きたい」と共感した人材が集まってくるので、面接回数の削減や募集期間の短縮など、採用活動にかける工数や時間も抑えられます。自社に共感した人材なら、入社後も長く活躍してくれる可能性が高いため、コストをかけて採用したにもかかわらず早期退職されてしまうといったリスクも軽減できるでしょう。
求人応募者数の増加
多くの求職者は、転職・就職活動において複数の企業情報を収集し、雇用条件だけでなく働きがいや社風まで比較検討しています。
この段階で採用ブランディングが十分でない企業は候補から外されやすく、そもそも認知度が低ければ比較対象にも入っていない可能性があります。
採用ブランディングに取り組むことで、「働く場」としての企業認知度を高めることができます。さらに、自社で働く魅力を言語化し、競合との違いを明確に打ち出すことで、求職者から選ばれやすいポジションを築くことが可能です。
また、採用ブランディングでは、今まさに転職・就職を検討している顕在層だけでなく、将来的に転職・就職を控えている潜在層にも継続的にアプローチできます。
母集団の「数」と「質」の両方を高めることで、自社にマッチした人材からの応募が増え、採用の成功確度も高まるでしょう。
入社後の定着率向上
採用ブランディングが不十分なまま採用を行うと、求職者が企業の実態を十分理解できないまま入社してしまい、「入社してみたらイメージと違った」というミスマッチが起こりやすくなります。
一方で、採用ブランディングにより、企業の理念やカルチャー、働き方への理解と共感を深めたうえで応募してくる人材が増えれば、入社後のギャップは小さくなります。採用後のミスマッチも起こりにくくなり、社員の定着率向上につながります。
採用ブランディングを実施するデメリットと注意点
採用ブランディングには、デメリットや注意点もあります。ここでは、代表的な3つのポイントを押さえておきましょう。
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全社的に取り組む必要がある
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人的リソースの確保が必要になる
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結果が出るまでに時間がかかる
全社的に取り組む必要がある
採用ブランディングでは、企業の魅力だけでなく、経営理念やビジョンといった経営に関わる要素の発信も重要になってきます。
もし、発信した内容と現場に乖離があれば、入社後のミスマッチを招きかねません。採用ブランディングで構築するブランドは、発信するためだけのうわべの情報でなく、社員共通の認識・取り組みである必要があるのです。
そのため、採用担当者だけで完結させるのではなく、経営陣をはじめとした全社を巻き込み、「何をどのように伝えるのか」を明確にし、それを社内に浸透させて実践していく全社的な取り組みが不可欠です。
人的リソースの確保が必要になる
採用ブランディングを成果につなげるには、定期的な情報発信や効果検証・改善など、継続的で長期的な取り組みが欠かせません。
情報発信ひとつ取っても、「誰に」「どのツールで」「どのような情報を」届けるのかを設計し、ターゲットにとって魅力的な内容を発信していく必要があります。
こうした情報発信だけでもかなりの工数となるので、通常業務と兼務で対応するのは難しいでしょう。 採用担当者に負荷が集中すると、日々の採用業務そのものが滞るリスクもあります。
そのため、採用ブランディング兼任の人材を配置する、あるいは業務をシステム化・仕組化して負担を軽減するなど、新たな人的リソースや体制の準備が必要になる点を理解しておきましょう。
結果が出るまでに時間がかかる
採用ブランディングの成果は短期間では分かりません。企業認知度の向上から始まり、実際の応募者増加につながるまでには、試行錯誤を繰り返しながら数年単位で取り組むケースも少なくありません。採用ブランディングに取り組んだからといって、その年の応募者が急増するというケースはほとんどないのが実情です。
中長期的には採用面で大きなメリットが期待できる一方で、即効性は高くないことをあらかじめ理解しておくようにしましょう。
また、短期間で結果が出ないことに対する経営陣や上司の理解が得られていないと、途中で方針変換を迫られるなど、採用担当者の負担やストレスにつながる恐れもあります。
採用ブランディングは中長期的に取り組むものという認識を、企業全体で共有・周知しておくことが重要です。
採用ブランディングを実施する5つのステップ
ここでは、具体的な採用ブランンディングの進め方をみていきましょう。 採用ブランディングは大きく次の5つのステップで進めていきます。
自社を分析する
まずは、自社が持つ魅力を明確にするために、自社分析を行います。経営理念や業界内でのポジションなど、他社との差別化につながるポイントを整理・分析しましょう。
あわせて、競合他社についてもリサーチし、自社との違いを比較することが重要です。ただし、「魅力が乏しいから」といって事実以上に誇張して発信することは避けなければなりません。発信する情報は、あくまで客観的な事実に基づいている必要があります。
仮に現時点で魅力が少ないと分かったとしても、その認識自体が大きな収穫です。そのうえで、「何をアピールできるのか」「競合とどのように違いを出せるのか」を整理し、次の一手となる戦略を検討していきましょう。
求める人材を明確化する
どのような情報を、どのような表現で発信するかは、ターゲットによって変わります。そのため、ターゲットとなる「求める人材」がどのような人物像なのかを、できるだけ具体的に描くことが重要です。
採用したい人材像や、すでに社内で活躍している人材の共通点を分析しながら、求める人材像を言語化していきましょう。その際、求める人材像はできるだけ具体的に設定し、社内で認識のズレが生じないよう共有しておくことが大切です。
採用におけるコンセプトを定める
採用コンセプトを策定する段階では、採用活動全体の方針や、ターゲットに伝えたいメッセージ・キャッチコピーなどを具体的な言葉に落とし込んでいきます。
コンセプトが明確であればあるほど、採用ブランディングの取り組みにも一貫性が生まれ、求職者に企業の魅力が伝わりやすくなります。企業理念やミッションを踏まえたうえで、「求職者にどんなイメージを持ってもらいたいか」を軸に検討しましょう。
また、ターゲットにとって理解しやすい表現になっているかも重要な視点です。企業理念やミッションをそのまま打ち出しても構いませんが、「本当に欲しい人材の心に届く表現になっているか」を優先してブラッシュアップしていくと、より伝わりやすくなります。
採用コンセプトは、採用ブランディングの根幹をなす重要な要素です。短期間で頻繁に変更してしまうと、企業への信頼感が損なわれかねません。中長期的に使用することを見据え、自社のイメージがブレずに伝わる確固としたコンセプトをつくり上げましょう。
コンセプトに沿って採用活動を開始する
コンセプトが定まったら、いよいよ採用活動の開始です。 具体的には以下のような取り組みを実施していきます。
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ターゲットに適したツールや内容で情報発信を行う
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全社で採用ブランディングに関する共通認識をもつ
情報発信の手段としては、InstagramやX、FacebookといったSNSのほか、企業ホームページ、求人サイト、企業説明会などさまざまな選択肢があります。
ターゲットが日常的に利用しているメディアやツールを分析し、複数の手段を組み合わせながら、効果的な発信方法を検討していきましょう。
同時に、社内全体で採用ブランディングの方針やコンセプトを共有し、共通認識を持つことも大切です。
近年では、社員が個人的にSNSを利用し情報発信を行うケースも一般的になっています。求職者がそれらの投稿を目にする可能性も十分にあるため、全社的に同じ方向を向いて取り組むことで、ブランドイメージがブレにくくなります。
効果の検証と改善を行う
採用ブランディングの成果を上げるには、継続的にPDCAサイクルを回していくことが不可欠です。
たとえば、SNSでの発信であれば、フォロワー数や閲覧数、サイト訪問者数、応募者数の増加などの指標を事前に設定し、施策の実施後にどのような変化があったのかを分析し、改善の取り組みを検討・実施していきます。
ただし、採用ブランディングは短期的な効果を得にくく、中長期的な視点で取り組むものという点は押さえておきましょう。
採用ブランディングの手法
ここでは、採用ブランディングで活用したい主な手段をみていきましょう。
採用サイト
応募を検討している求職者の多くは、まず企業の採用サイトを確認します。そのため、採用ブランディングの方針に合わせて自社の採用サイトを刷新することで、求職者の関心をより高めやすくなります。
これまで求人情報のみを掲載していたサイトであれば、採用ブランディングのコンセプトや企業理念、現場の雰囲気など、求職者が知りたい情報や入社後の姿を具体的にイメージできるようなコンテンツを加えることで、自社の魅力が伝わりやすくなるでしょう。
あわせて、自社採用サイトのSEO対策を行うことも重要です。検索結果で上位表示されるようになると閲覧数も増え、採用活動全体にも良い影響を与えます。
動画の活用
動画は視覚効果が高く、短時間で多くの情報を届けられるツールです。なかでもYouTubeは代表的な動画活用例といえるでしょう。経営陣のメッセージや社員インタビュー、オフィスツアーなどを発信することで、より効果的に企業イメージを伝えやすくなります。
ただし、動画コンテンツは企画から撮影・編集まで、ほかの手段と比べて手間やコスト、工数がかかりやすい点には注意が必要です。
SNS
InstagramやX、LINEなどのSNSは若い世代を中心に幅広く利用されており、新卒採用においては欠かせないツールとなっています。
SNSは拡散力が高く、自社をまだ知らない層にもアプローチしやすい点が大きなメリットです。
動画や静止画など提供できるコンテンツも豊富なため、たとえば魅力的なオフィスがあるなら画像訴求に強いInstagramを選ぶなど、ターゲットや発信内容に合わせてツールを選定するとよいでしょう。
投稿内容に共感が得られればフォロワーが増えるだけでなく、自発的な拡散も期待でき、企業のファンづくりにもつながります。また、SNS上でフォロワーと直接コミュニケーションをとることで、より積極的なアプローチも可能になります。
>>お役立ち資料「就活生の実態がわかる!採用SNSアカウント活用のすすめ」はこちら
採用ブランディングで自社の魅力を求職者にしっかり届けよう
採用ブランディングは、自社ならではの魅力を発信し、「ここで働きたい」と思ってもらえる企業像を築いていく取り組みです。継続的に取り組むことで、働く場所としての企業認知度が向上し、自社の価値観やビジョンに共感してくれる求職者と出会いやすくなります。
一方で、採用ブランディングは短期的な効果が得にくく、全社的な連携が欠かせないという特徴もあります。これらの点を踏まえたうえで、自社に合ったかたちで計画的に採用ブランディングを進めていきましょう。
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