リピーターを獲得する方法とは?改善施策や成功事例を解説
ECサイトや店舗への集客は、「新規顧客の獲得」と「リピーターの獲得」に分けることができます。リピーターの獲得は利益につながりやすいメリットがある反面、獲得が難しいという声もききます。では、どうすればリピーターを増やすことができるのでしょうか? この記事では、リピーター獲得の重要性やリピーターを獲得するための5つの施策、成功事例を解説します。
リピーター獲得の重要性
リピーターとは、サービスや商品を繰り返し購入している、もしくは契約を継続している顧客のことです。
企業が安定した売り上げを維持するためには、リピーターの獲得は欠かせません。
継続的に商品を購入する顧客が増えれば、将来にわたる売り上げの見込みが立ちやすくなるでしょう。また、ECサイトや商品に愛着を感じ、自社を選んでくれるファン層が育てば、厳しい価格競争に巻き込まれることがなくなり、購入単価や利益率が上昇します。
その結果、経営指標のひとつであるLTV(Life Time Value=顧客生涯価値)が向上します。リピーターを獲得することは、経営の長期的な安定につながるのです。
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LTVについての詳しい解説は下記をご覧ください。
LTV(ライフタイムバリュー)とは?意味や計算方法、LTVを向上させる施策を解説
3つの顧客段階
一般的に顧客は「一般客」「流行客」「優良客」の3段階に分類されます。
「一般客」は、商品やブランドについてあまり詳しくなく、購入頻度の低いユーザーのことです。新規顧客もここに含まれます。
「流行客」は、セールやキャンペーンのタイミングでの購入が多く、一度きりの利用で終わることも多い層です。価格指向が強く、購入単価が新規の顧客よりも低くなりがちです。
「優良客」は、商品やブランドを気に入ってファンになり、継続的に利用してくれるユーザーを指します。新規顧客や流行客よりも購入単価が高い傾向があります。
既存顧客の中で優良客の割合は少ないですが、売上の大部分を占めています。そのため、リピーターのなかでも特に大切にすべきは「優良客」です。
リピーター獲得の施策では、一般客をひとりでも多く優良客に育てること、そして現在の優良客に継続的にファンでいてもらうことを目指します。
リピーターを増やすメリット
リピーターによって得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
集客コストを削減できる
一般的に、新規顧客の獲得には、リピーター1人の育成に対して5倍のコストがかかると言われています(1:5の法則)。
新規顧客を獲得するには、広告やプロモーション活動などで、新しいユーザーに自社商品を知ってもらったり、良さを伝える必要がありますが、インターネット広告費は高騰傾向にあり、高いコストがかかってしまいます。
一方、一度利用したことがある既存顧客の場合は、既に認知されているため、そのための活動費用はかかりません。主なアプローチ方法も、メールやSNSが中心となるので、集客コストを抑えることができます。
売り上げが安定しやすい
定期的に商品やサービスを利用するリピーターが増えれば、売上が安定します。売上の基盤ができ、そこに新規顧客の売上を積み増していくことになるため、長期的な運営の安定にもつながります。
口コミによる新規顧客の獲得
商品やサービスのファンになったリピーターは、ほかの人に商品を勧めたり、SNSで良い口コミを拡散したりする可能性があります。
多くの人が商品の購入前にレビューや口コミをチェックするようになり、消費者の口コミは大きな影響力を持つようになりました。リピーターのポジティブな評価が拡散されれば、次の新規顧客を呼び込む可能性が広がります。
リピーターが増えない理由
しかし、リピーターの重要性を理解していも、リピーターを増やすのは簡単ではありません。リピーターが増えない理由を解決することで、リピーター獲得につなげることも可能です。リピーターが増えない理由として、次のようなことがあります。
商品やサービスに対する顧客満足度が低い
前提として、商品やサービスに満足していない顧客はリピーターになりません。まずは顧客が満足する商品やサービスを提供することが、リピーター獲得の最重要ポイントであるといえます。
商品の質を高めるのはもちろんですが、ECサイトの使いやすさや問い合わせへの対応、梱包や配送なども含めて、総合的に顧客満足度を向上させることが必要です。
リピーター獲得のための集客をしていない
リピーター獲得のための施策を行わなければ、リピーターは増えません。リピーターの獲得には、広告やSEOといった新規顧客の集客とは異なる施策が必要となります。詳しくは次章で説明します。
商品やサービスが忘れられている
新規顧客の多くは、欲しい商品を探して、ECサイトや店舗を訪れます。商品が希望の価格で買えればどこのお店で購入しても構わないという人も多いでしょう。ECサイト自体を印象付けるのは、実店舗よりも難しいのです。
顧客にECサイトを覚えてもらうためには、ほかにはない個性があること、そして顧客に対して積極的なコミュニケーションをとることが必要です。
リピーターを獲得するための5つの施策
では、具体的にはどんな施策を行えばリピーターを獲得できるのでしょうか? 代表的な5つの施策を紹介します。
自社のECサイトにしかない魅力を伝える
ほかと同じような商品、体裁、サービスのECサイトでは、一度利用した顧客に覚えてもらい、「またここで買いたい」と思ってもらうのは難しいでしょう。
品ぞろえやサイトのデザイン、メッセージなどでコンセプトや理念をしっかり伝え、自社ならではの魅力を印象づけることが、リピーター獲得の第一歩です。同じ商品を扱う競合が多い場合はなおのこと、差別化できる個性を見つけて伸ばしていきましょう。
会員登録制度を導入する
新規顧客に会員登録をしてもらうことにより、属性や購買履歴といったデータをリピーター施策に活用できるようになります。
最近は、会員登録をせずに購入できる「ゲスト購入」が選択できるECサイトが一般的です。ゲスト購入は登録をしたくない顧客の離脱防止策としては有効ですが、リピーターを増やすにはできるだけ会員になるよう働きかけることが必要です。
多少コストをかけても割引クーポンや送料無料といった特典を付けて、登録のメリットを感じさせましょう。会員優待セールや会員特別価格などのイベントも登録促進に効果的です。
ECサイトを使いやすくする
新規顧客とリピーターでは、ECサイトを訪れたときに欲しい情報が異なります。
そこで、ログインしたリピーターに専用のトップページを表示し、再購入しやすいような動線を敷く、購入履歴に合わせたメッセージを表示するといった工夫をしてみましょう。
サイト内を探し回らずに欲しい情報にたどり着けることで、リピーターがストレスなく買い物できます。
接触回数を増やす
リピーター施策で重視したいのが、商品を販売したあとのコミュニケーションです。一度きりの購入で終わらせないためには、いろいろな形で顧客との接触回数を増やし、次の購入のタイミングに第一に思い出してもらえることが大切です。接触する手段としては次のようなものがあります。
同梱物
商品発送時にメッセージやレシピ、クーポン、小さなプレゼントなどを同梱します。手書きの手紙も印象に残りやすく、効果的です。
ステップメール
顧客の状況に合わせたメールを送ります。発送完了時にはお礼、数日後に使用状況の確認、そして消耗品の場合は商品を使い切る時期にリピート購入を促します。シナリオを作り、適切なタイミングで情報を送ることが大切です。
メールマガジン、SNS
メールやSNSで定期的にお店の情報を配信し、新商品やセールの告知でサイトに誘導します。告知のほかに「役に立つ」「楽しい」と思われる情報を掲載することが、開封率を上げる秘訣(ひけつ)です。
ロイヤルティプログラムを用意する
ロイヤルティプログラムは、サービスを継続して利用したり、商品を頻繁に購入したりする顧客に特典を提供するマーケティング施策で、代表的なものにポイント制があります。
たまったポイントを使って商品を購入できたり、景品と交換できたりする特典に加え、ためることでランクが上がり、VIP限定の特典が得られるといった仕組みも、顧客の「またここを利用したい」というモチベーションを刺激します。
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ロイヤルティプログラムについての詳しい解説は下記をご覧ください。
ロイヤルティプログラムとは?導入のメリットやECサイトのファンを増やす活用のポイントを紹介
リピーター獲得の成功事例
スターバックスコーヒー
スターバックスの「STARBUCKS REWARDS(スターバックスリワード)」は、買い物をするたびにスター(ポイント)がたまるプログラムです。たまったポイントはドリンクチケットやスオリジナルグッズなどに交換できるほか、会員ステータスに応じて、誕生日特典がもらえたり話題の新商品を先行して楽しむこともできます。また、また、これらの特典はモバイルアプリを使って簡単に交換することが可能です。
このプログラムにより、顧客のロイヤリティを高め、継続的なリピーターを獲得することに成功しています。
塚田農場
全国的な居酒屋チェーンである塚田農場は、リピート率が高いことで有名です。
リピーターが多い理由は、そのユニークな会員システムにあります。
始めの来店で「主任」と書かれた名刺を渡され、その後来店するたびに「課長」「部長」と渡される名刺が昇進していきます。その肩書に合わせて、受けられるサービスが上がっていく仕組みです。このような取り組みがおもしろがられ、多くのリピーター獲得につながっています。
丁寧なコミュニケーションを心掛けて、ECサイト運営の安定につながるリピーターを増やそう
リピーターは、ECサイトに利益率の向上をもたらし、運営を安定させます。また、ブランドの価値を高める効果も期待できます。しかし、ECサイトがリピーターを獲得するためには、商品やサービスを充実させるだけでなく、数ある競合サイトのなかではっきりとした良い印象を顧客の心に残す必要があります。「売って終わり」ではなく、既存顧客との丁寧なコミュニケーションを心掛けて、ECサイトのファンを増やしていきましょう。
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