SKUとは?設定方法や業界別考え方、混同しやすい物流用語も解説
受発注や在庫管理の業務において、膨大な在庫をミスなく管理するためにSKUと呼ばれる単位が設定されています。普段の生活ではあまり聞き慣れない言葉ですが、在庫を抱える業種においては、知っておきたい用語の一つです。
そこでこの記事では、SKUとは何か、設定方法や業界別の考え方、その他の物流用語について解説します。
SKUとは、在庫管理の最小識別管理
SKUとはStock keeping Unitの略語です。受発注や在庫管理の分野で使用される、最小の品目数を数えるための単位のことです。
たとえば、同じ赤色のTシャツであっても、S・M・Lとサイズ展開されていれば「3SKU」と数えられます。商品の違いを細かく指定する単位となるため、在庫管理が必要になる小売業界やメーカーなどのさまざまな業界で広く使用されています。
SKUはJANコードと違い自社独自の取得コード
SKUと混同しやすい管理単位に「JANコード」があります。
JANコードは一般財団法人流通システム開発センターが管理している商品識別コードで、世界共通で管理されています。そのため、他社商品とコードが重複することはありません。
一方のSKUは、自社で自由に設定ができるコードです。国際的な規定がないため汎用性の高いコードですが、他社商品と重複してしまう可能性もあります。そのため、基本的には社内における在庫管理のみで使用されます。
SKUの設定方法
前述したとおり、SKUはJANコードと異なり、自社で自由に設定するコードです。決まったルールはなく自由に設定できるため、「何を基準にコードを決めたらよいか」と迷ってしまうケースも少なくありません。
ここからは、SKUに対するコードの設定方法について解説します。
SKUの番号を付けるときの考え方
SKUの番号をつける際は、重複を必ず避けましょう。SKUは、在庫の識別・管理が目的のため、重複してしまっては本来の目的が果たせなくなります。
また、商品区分ごとに番号をつけることで、在庫の管理がしやすくなります。ほかにも、桁数を揃えること、番号に1文字アルファベットを含めることもおすすめです。そうすることで、エクセルをはじめとする集計ソフトでデータを抽出しやすくなります。
なお、頭文字を0に設定してしまうと、商品管理システムによっては読み取れない可能性があるため避けるようにしましょう。
SKUを区別するパターン
SKUは会社ごとに自由に設定ができるため、どの商品にどの数字を割り当てても問題ありません。一般的には、以下のようなケースに応じて区別すると管理がしやすいといわれています。
▼ケースに応じた区別方法
- 商品の種類
- 商品名・ブランド名
- パッケージの種類(通常版、限定版など)
- 販売個数(例:2個入り、6個入り)
- セット商品の価格・内容・セットアップの違い
- 商品の内容量の違い
以上に該当する商品は、それぞれのケースに応じて区別することをおすすめします。
SKUを設定する際は、自社の商品を踏まえて適切な区分方法を検討しましょう。
業界別SKUの考え方
SKUに対する考え方は、業界によって異なります。ここでは、業界ごとの考え方の違いを紹介します。
IT業界
IT業界では、異なるエディション(用途の違い)をSKUと呼びます。
たとえば、同じ商品でも、個人用と法人用のバージョンが異なる2種類がある場合、異なるエディションとなります。IT業界では、同じソフトでもサービスの内容が用途によって変わるケースがあるため、エディションごとにSKUを設定して識別されています。
アパレル業界
アパレル業界では、色やサイズなどのアイテムの違いをSKUで識別して管理しています。
ほかの業界と比べて、アパレル業界は、商品の種類が多いほか、1つの商品でもサイズ展開やカラーバリエーション豊富であることも多いため、SKUで商品を識別しています。
たとえば、同じデザインのワンピースでもカラーが3色ある場合には、SKUは3と数えられます。このように、同じ商品でも細かく細分化されるアパレル業界では、SKUを用いて在庫管理をすることで、誤発注や誤配送のミスを軽減しています。
化粧品業界
化粧品業界でも、アパレル業界と同じように色やサイズ・パッケージの違いなどをSKUで識別しています。
たとえば、同じ形のアイライナーでも、カラーが微妙に異なる商品があります。また、同じカラーであっても、パッケージが「限定デザイン」と「通常デザイン」のもので分かれている場合は、SKUは2となります。
このように、化粧品業界もアパレル業界同様、1つのアイテムに対するカラーバリエーションやサイズの展開が豊富なため、SKUでの在庫管理はとても重要とされています。
SKUと関連する用語
物流や在庫管理の現場で利用されている用語は、SKUのほかにも多数存在します。ここからは、SKUと混合しやすい用語とSKUに関連する物流用語についていくつか紹介します。
SKUと混合しやすい用語
SKUと似た意味を持つ用語です。どれも商品の識別に関する用語といえるでしょう。
フェイス|実際に店舗に出すSKU
フェイスとは、FKU(Face Keeping Unit)の略語です。最初の「フェイス」だけを抜粋して呼ぶことが一般的です。
フェイスは、店頭に出すSKUのことを指します。店頭は場所が限られているため、すべてのSKUを並べられないケースがあります。そのような状況で、店頭の商品を区別するために利用されています。
アイテム|商品の種類
アイテムとは、商品の種類を数えるときに使用される単位です。
SKUと混同しやすい用語ですが、SKUは同じ商品をさらに細かく分けて管理するための単位として使用されます。
同じデザイン・同じ形のズボンを例に考えてみましょう。ズボンのサイズが3種類あり、カラーバリエーションが2種類あれば、アイテム数は1と数えますが、SKUは「3×2の6SKU」となります。
品番(型番)|商品の管理番号
品番とは、商品を管理するための番号のことで「型番」とも呼ばれます。
たとえば、期間限定パッケージの商品の場合、元の商品と同一商品として管理する場合と、別商品として管理する場合があります。このときに用いられる番号が品番です。
コラボパッケージのものを元の商品と同一商品として扱う場合には「同じ品番」をつけますが、別商品として扱う場合は「異なる品番」をつけて識別します。
ロット|一回に製造されるアイテムの製造数量
ロットとは、一回に製造されるアイテムの製造数量のことで「同じ製品のまとまり」のことを指します。製品の製造や、輸送、保管などの際に使用される単位です。
たとえば、輸送の効率化のために同じ商品をまとめることがあります。そのひとまとまりのことを呼称する言葉がロットです。物流業界には「輸送ロット」「製造ロット」「保管ロット」などの区別があります。
SKUに関連する物流用語
物流段階で使用される用語です。これらのシーンでSKUが活用されています。
ピッキング|依頼された対象アイテムを取り出す作業
ピッキングとは、倉庫内にある指定された在庫から対象のアイテムを収集する作業のことを指します。あらかじめリストが配布され、そのリストを元に指定された商品を倉庫内から取り出します。
商品の受注があり、出荷の準備をする際には、カラーや品数などが細かく指定されます。SKUがしっかり設定されていると、大量の在庫から該当商品を見つけやすくなります。
引き当て|依頼した段階で在庫の確保ができること
引き当てとは、注文が入った段階で在庫を確保しておくことをいいます。物流業界で広く使用されている在庫管理方法の一つです。
全ての在庫数から、注文が入った分を引いておくことで、実際に販売できる在庫数を管理できます。現時点で販売ができる在庫の数を「有効在庫数」と呼びます。
まとめ
商品の受発注や入出荷が多く行われる現場では、在庫をミスなく正確に管理することが欠かせません。誤発注や誤発送などのミスを生まないためには、商品を適切に識別できるSKUを設定することがポイントです。
SKUは、業界によって使い方が異なるため、自社の商材の特性に応じて区分することや、管理しやすいコードに設定することが重要です。SKUをうまく活用して、日々の業務効率化やミスの削減を目指しましょう。
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