客単価とは?計算方法や客単価を上げるポイントを解説
売り上げを伸ばすための重要な指標となる客単価。
ECサイトの現状把握にも役に立つため、正確に計算できるようになっておく必要があります。とはいえ、客単価から何が分かるのか、客単価が下がる原因や上げる方法などよく分からないという方も多いでしょう。
この記事では、客単価の計算方法や分析するメリット・客単価を上げるポイントについて詳しく解説します。
客単価とは
客単価とは、顧客が1回の買い物で支払う平均額です。
特定の期間の売り上げをその期間の顧客数で割ることで算出できます。
客単価は、事業をするうえで重要な指標の一つであり、実店舗やECサイトなどの売り上げは、基本的に客単価×客数で決まります。
つまり、売り上げを拡大させるには次のどちらかが必要になるのです。
- 客数を増やす
- 客単価をアップさせる
ひとつは集客に力を入れて客数を増やす方法です。
しかし、短期間で客数を大きく増やすことはコストも掛かり容易ではありません。
さらに、客数が増えても客単価が下がる・変わらない状態では、売り上げを効率よく伸ばすことは難しいでしょう。
一方、客単価が上がれば客数が同じでも売り上げをアップさせることが可能です。
客数が少なければその分事務処理や発送作業の手間を省け、梱包、発送費用の削減にもつながるでしょう。
そのうえで客単価が高ければ、コストを抑えつつも売り上げを伸ばすことができるのです。
このように、客単価は事業の成績アップには欠かせない指標です。
そのため、定期的に正確な客単価を把握することが重要になります。
客単価の計算方法
ここでは、客単価の計算方法を例に挙げて解説します。
客単価の計算式
客単価は、一定期間の売り上げをその期間の顧客数で割って算出します。
客単価 = 一定期間の総売り上げ ÷ 同期間の総顧客数
例えば、1ヵ月の売り上げが100万円でその期間に購入した顧客数が50人なら、100万円÷50人で客単価は2万です。
このように売り上げと顧客数が分かればシンプルに計算できます。
なお、購入点数や注文数ではなく客数で割るという点には注意が必要です。
同じ人が複数の商品を購入した場合も、客数1人で割ることになります。
客単価を求める期間や顧客数にどの数値を利用するかは、分析する目的に応じて異なります。
例えば、キャンペーン期間やタイムセールなど、特定の期間や時間で算出する方法や、顧客の詳細なデータがあれば、リピーターやポイント利用者など特定の顧客を対象にした客単価の算出も可能です。
このように、目的に応じて客単価の算出方法も変わってきます。
客単価の計算シミュレーション
具体的なシミュレーションとして、ECサイトの一定期間の購入者・購入金額が以下の通りの場合で客単価を計算してみましょう。
購入者 | 購入金額 |
---|---|
Aさん | 6,000円 |
Bさん | 3,000円 |
Bさん | 6,000円 |
Cさん | 4,000円 |
Aさん | 5,000円 |
合計 | 24,000円 |
上記の場合の客単価は、24,000円÷3人=8,000円となります。
Aさん・Bさんはそれぞれ2回購入していますが、客数としては2人になるので注意しましょう。
客単価を分析することで得られるメリット
売り上げを伸ばすうえでは、客単価の分析が重要となります。
ここでは、客単価を分析するメリットとして下記の3つを解説します。
- ビジネスの収益性を把握でき経営戦略が立てやすくなる
- 商品ごとの収益性を把握することで商品開発に役立てることができる
- 競合他社との違いを比較しやすくなる
経営戦略が立てやすくなる
客単価を分析することで、収益性が把握でき、経営戦略が立てやすくなります。時間帯や季節・特定の顧客など細かく分析することで、お店の強み・弱みも見えてきやすいでしょう。
例えば、顧客数は伸びているのに売り上げはそれほど伸びていないなら、安売り目当ての顧客が増えてリピート顧客が増えていないということが予測できます。
新商品の投入や集客戦略の前後で客単価を分析すれば、施策の有効性も判断可能です。
このように、分析したデータから店の課題などを明確にすることで、今度何に注力すべきか経営戦略も立てやすくなるでしょう。
商品ごとの収益性を把握することで商品開発に役立てることができる
商品ごとに客単価を分析することで、どの商品の収益性が高く・何が収益性を下げているのかが把握できます。収益性を下げる要因が分かれば改善やラインナップの見直しで収益性を下げる要因を取り除くことが可能です。
さらに、収益性の高い商品を参考に商品開発することで売り上げ拡大を目指すこともできるでしょう。
競合他社との違いを比較しやすくなる
客単価という数値で競合他社と比較することで、自社との違いを把握しやすくなります。
競合他社に比較して客単価が低いなら、高価格帯の商品に力を入れる・商品を改良して価格を見直すなどの対策が考えられます。
他社と自社との差が分かることで、より効果的な戦略を立てやすくなるでしょう。
客単価が下がってしまう2つの原因
客単価が下がる原因はさまざまありますが、ここでは代表的な次の2つを解説します。
- 値下げやセールの実施
- 購入点数の減少
値下げやセールの実施
値下げやキャンペーン、セールなどは、一時的な顧客数・売り上げの増加には有効的ですが、客単価でみれば下がる可能性が高くなります。
また、値下げやセールを繰り返すことで、価格の安さを追求する顧客が増え、将来的な売り上げの減少につながる恐れもあります。
顧客によっては、何度も値下げがあることで商品の品質を疑い購買意欲が低下するケースもあるでしょう。
値下げやセールが新たな顧客獲得や既存客の購入額の増加につながるなら、実施の有効性もありますが、中長期的に売り上げ拡大につながらないなら注意が必要です。
値下げやセールを実施する際には、値下げ以外に商品の付加価値を上げる方法や顧客満足度を上げる方法も一緒に検討するとよいでしょう。
購入点数の減少
一人当たりの購入点数が減少することで、売り上げも減少し客単価が下がります。
購入点数が下がる原因として、次のようなことが考えられます。
- 競合他社の参入
- 商品単価を無理に上げている
販売している商品の類似商品を扱っている競合他社が参入した場合、そちらに一定数の顧客が流れることで、購入点数が減少してしまう可能性があります。
また、客単価を上げようと無理に商品を値上げすると、「高い」という理由で購入点数が減るケースもあるでしょう。
値引きやセール・商品の価格変更は、慎重に計画・実施することが大切です。
客単価を上げる6つの方法
最後に、客単価を上げる方法として、次の6つを紹介します。
- 商品単価を上げる
- 支払方法の選択肢を増やす
- クロスセル(関連商品の購入)を提案する
- アップセル(高額商品の購入)を提案する
- セット(バンドル)販売を実施する
- 複数の価格設定を用意する
商品単価を上げる
シンプルに客単価を上げる方法が、商品単価を上げることです。
ただし、商品単価を上げることで逆に客単価が上がってしまうケースがある点には注意が必要です。
例えば、以下のようなケースが考えられます。
- 単価を上げた商品ではなく別の安い商品が売れてしまう
- 商品単価が上がったことで注文数が減ってしまう
商品単価を上げる場合は、顧客が納得する理由付けも行うことが大切です。
例えば「品質向上のために原材料の見直しを行った」などが顧客も納得しやすい理由となるでしょう。
理由もなく価格だけを上げるのではなく、付加価値を付けるなど価格が高くても魅力的な商品を提供することが大切です。
支払い方法の選択肢を増やす
ECサイトでもっともよく利用される決済方法は、クレジットカード決済です。
しかし、近年はキャリア決済やAmazon Pay・PayPayなどの支払い方法を希望する顧客も増えています。
希望する支配方法に対応していないと、購入を検討していても支払い方法選択の段階で離脱される恐れもあります。
複数の支払い方法を導入しておくことで顧客の利便性の向上につながり客単価アップも期待できるでしょう。
ただし、決済方法を増やす場合は手数料には注意が必要です。
ユーザーのシェア率や手数料なども比較して、導入する決済方法を検討するようにしましょう。
クロスセル(関連商品の購入)を提案する
クロスセルとは、関連商品を一緒に販売する方法です。
ハンバーガーショップで言うなら、バーガーを購入する顧客にポテトやドリンクなどのおすすめ商品を提案することで客単価を上げていきます。
ECサイトで購入する場合も、購入ページの下に表示されるおすすめ商品も一緒に購入するケースも少なくないでしょう。
購入意欲が高まっている時に、クロスセルを提案することで販売できる可能性も高くなります。
しかし、クロスセルは無理な押し売りでは逆効果になります。
関連性のない商品を無理に勧めることで顧客が離れてしまう可能性もあるでしょう。
クロスセルを提案する際は、顧客のニーズやタイミングをよく考えることが大切です。
アップセル(高額商品の購入)を提案する
アップセルとは、購入しようとしている商品よりも高額な上位商品を売る方法です。
商品単価が上がるため、客単価アップにつながります。
「より機能が高い商品はこちら」というように、付加価値の高さをアピールして販売するアプローチが一般的でしょう。
ただし、アップセルはアプローチによっては押し売りと捉えられかねません。
高い商品を購入したほうがお得と思えるだけの付加価値や満足感も提供できるようにすることが重要です。
Check
アップセル・クロスセルに関する詳しい解説は下記でご覧いただけます。
アップセル・クロスセルとは?LTVや顧客単価を上げる手法を解説
セット(バンドル)販売を実施する
セット(ハンドル)販売とは、同じ商品や関連商品をまとめて購入してもらう方法です。
「まとめて買うと10%OFF」や「3,000円以上で送料無料」というように、多く買う方がお得とアピールする方法などがあります。
単品で購入するよりもお得と感じてもらうことで購買意欲を高め、客単価の向上につなげます。
複数の価格設定を用意する
セット販売やまとめ売りなどを実施する際には、3つの価格帯を用意するとより効果的です。
行動経済学では、人は「松・竹・梅」など、3つの価格帯があると真ん中を選びやすくなると言われています。
価格だけでなくまとめ売りの個数設定を3段階用意するのも一つの方法です。
真ん中の価格帯や商品に最も提供したい商品を設定することで、効果的に客単価を伸ばすことが期待できるでしょう。
客単価を分析して経営戦略に活かそう
客単価は売上拡大のための重要な指標です。
客単価を分析することで、自社や商品の課題点や強みが明確になり今後の経営戦略の重要な判断材料となります。
客単価が低下すると、売り上げ自体の低下にもつながります。
現状の正確な客単価を分析したうえで、クロスセルやアップセルなど客単価を上げる施策を行うことが大切です。
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- 投稿者: クロレDIGITAL
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