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アパレルECの市場規模、最近の動向や課題、成功事例を解説

アパレルECを成功させるポイントとは?最近の動向や課題、成功事例を解説

ファッション業界は、世の中のムーブメントや変化を最も早くつかんで商品化し、流行を生み出す業界のひとつです。ECの導入も比較的早く進んでおり、新しいサービスが次々と登場して話題になっています。
このコラムでは、そんなアパレルECの基本的な知識や、最近の動き、参入するうえでのポイント、成功事例を紹介します。(2023年12月22日更新)

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目次

ECとは?

ECとはElectronic Commerceの略で、日本語では電子商取引と訳されます。一般的にはECサイトやネットショップと呼ばれるインターネット上の店舗において、商品やサービスの売買を行うことを指します。
アパレルECとは、衣料品のメーカー、ブランド、小売店などがネットショップを使って、自社の商品や仕入れた商品を販売するものです。

アパレルECの市場規模

物販系分野のBtoC EC市場規模経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、2022年の日本における一般消費者向けECの物販系の市場規模は13兆9,997億円ですが、このうち「衣類・服装雑貨等」は2兆5,499億円。物販系のなかでは3番目に大きい市場を形成しています。
また、すべての商取引のうち電子商取引が占める割合を示すEC化率は、「衣類・服装雑貨等」では21.56%。物販系の平均(9.13%)の約2.4倍です。アパレルがECと相性の良い業種であることが分かります。

コロナ禍におけるアパレルEC

アパレル業界は、新型コロナウイルスの影響を大きく受け、売上が大きく落ち込みました。2020年11月までにCECIL McBEEが全店舗を閉鎖し、老舗のレナウンが破産しています。
しかし、一方でECの伸びは堅調です。例えば、オンワードホールディングスの決算発表によれば、2020年第1四半期の実店舗の売上は前年比46.8%でしたが、ECの売上は前年比150.3%。EC化率も45.1%までに成長しています。若い女性向けに複数のブランドを展開するアダストリアも、2020年の上期における全体の売上は前年比73.1%だったのに対し、ECの売上は前年比125.2%だったと発表しています。

アパレルECの種類と最近の動向

アパレルECは大きく3種類に分けられますが、近年、この範囲を超える新しいジャンルも登場しています。それぞれの特徴と最近の動向を紹介します。

メーカー・ブランド直販系

実店舗を持つアパレルメーカーやブランドが展開するECを指します。大手のメーカー・ブランド直販系では、店舗とECの顧客情報を統合してECアプリ、ECサイト、店舗のどこでも同質の買い物体験ができる、オムニチャネル化が進んでいます。
代表的なアパレルECを展開する企業には、ユニクロやアダストリア(グローバルワーク、ニコアンドほか)、ベイクルーズ(ジャーナルスタンダード、IENAほか)などがあります。NIKEやアディダスといったスポーツブランドもこのカテゴリーに入ります。

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オムニチャネルに関する詳しい解説は下記のコラムでご覧いただけます。
オムニチャネル戦略とは?クロスチャネルとの違い、成功するポイントを解説

モール系

ECモールとは、さまざまなショップが集まるWeb上のショッピングモールです。アパレルECの代表的なモールはZOZOTOWNです。
モールでは、商品がアイテムやサイズ、色といった条件で検索されることが多く、ユーザーはブランドを横断して欲しいものを探します。そのため知名度が低いブランドにも、品質や価格、アピール次第で商品を選んでもらうチャンスがあります。ただしブランドの個性を打ち出すことは難しく、価格競争に巻き込まれやすいという欠点もあります。

個人経営系

実店舗のチェーン展開をしておらず、個人や小規模のメーカー、ブランドが運営するアパレルECを指します。実店舗をベースにECを展開している事業者もいますが、最近はリアルな店舗を持たずに、ECだけで事業を行うD2Cブランドが増えています。

D2CとはDirect to Consumerの略で、メーカーやブランドが自社商品を直接消費者に販売するビジネスモデルを言います。小売店や仲介業者を通さずに、自社のECサイトやSNSなどを使って直接消費者へ販売します。
アパレルでは、個性やコンセプト、メッセージ性がブランディングにつながります。そこで、モデルやファッション系のインフルエンサーを前面に立て、その人のセンスや個性に基いて商品企画や販売戦略を展開。ブランドメッセージに共感する顧客をSNSで集める手法によって成功を収めるD2Cブランドが、いくつも生まれています。

そのほかのアパレルEC

従来のアパレルECの範囲を超えて、次のような方法でも洋服や雑貨のインターネット取引が積極的に行われています。

CtoC-EC

CtoC(Consumer to Consumer)とは、ネットオークションやフリマアプリなどを利用して、一般の消費者同士が行う個人間取引のことです。ヤフオクやメルカリといったサービスを利用したことのある人は多いでしょう。前出の経済産業省によるデータによると、CtoC市場は近年急速に伸びており、2022年には合計2兆 3,630億円に達し、前年から12%以上の伸びを見せています。そのなかでもファッション関係の商品は、中古を中心に盛んに取引されています。CtoC-EC推定市場規模 CtoC-EC推定市場規模

サブスクリプション

アパレルのサブスクリプションは、月額で一定の料金を支払えば、何着でも好みに合った洋服を借りられ、気に入った商品はそのまま購入できるというサービスです。なかにはスタイリストが似合う洋服をコーディネートしてくれるサービスもあり、人気を集めています。

アパレルECの課題

アパレルECには次のような課題があります。

知名度の低いブランドの自社ECは集客が難しい

インターネット上には競合ブランドの情報がひしめき合っているため、新しいブランドや知名度の低いブランドが自社ECサイトを運営する場合は、その多くが集客で苦労します。個性的なブランドであっても、ECサイトに商品を掲載するだけではユーザーに見つけてもらうことはできません。商品やECサイトが検索でヒットするためのSEOやWeb広告、SNSの活用といったマーケティング活動が必須となります。

試着ができないため返品のリスクが高い

ECサイトでは試着ができません。画像だけでサイズや素材感を伝えるのは難しく、交換・返品率が高くなる可能性があります。実店舗のように対面での接客ができないため、コーディネートの提案ができない点も課題です。
ただし最近では、ソリューションの開発が進んでいます。そのひとつが、商品ページに「あなたにピッタリのサイズを知る」といったボタンを設置するサイズレコメンドエンジン「unisize」です。ユーザーが身長、体重、脚の長さやウエスト、よく着るブランドとそこでのサイズといった質問に答えると、該当商品の自分に合うサイズを勧めてくれる仕組みです。BAYCRUE’S STOREやSHIPS、AOKIといったアパレルECで導入が進んでいます。

アパレルECを成功させるポイント

アパレルECは、小さなブランドであっても情熱とアイデア、戦略次第で成功する可能性のあるジャンルです。始める際には次のようなポイントに注力しましょう。

ブランディングを重視する

属性や好みが大きく影響するファッションジャンルで顧客に選ばれるためには、ターゲットをしっかり絞ったブランディングが大切です。
商品のラインナップはもちろん、サイトデザインのテイストや広告戦略、SNS投稿のトーン&マナーといった細部に至るまで、設定したターゲットに合わせる工夫が必要です。ほかにはない新鮮で個性的なコンセプトと、それを表現する緻密なブランディングが、成功の鍵となります。

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ブランド戦略に関する詳しい説明は下記コラムでご覧いただけます。
ブランド戦略とは?具体的な戦略の立て方と成功事例

SNSを活用する

SNSは集客や認知度アップのためだけでなく、サイズ感が伝わりにくい、コーディネートの提案ができないといった課題を解決するためにも使われています。商品をおしゃれに着こなしたスタッフ画像のInstagramへの投稿は、サイズのイメージやコーディネートをリアルに伝える手法として効果的です。Instagramには画像から商品詳細ページに移動するEC機能があるため、紹介した商品をそのまま購入につなげることもできます。
購入した商品を着用した画像に「#ブランド名」のタグを付けて顧客に投稿してもらうキャンペーンを行って、PRにつなげるとともに顧客との絆を深める施策を取っているブランドもあります。
SNSは直接ユーザーとつながることができる便利なコミュニケーションツールです。低コストで情報が広く拡散される可能性もあります。ただし、SNSの種類によってユーザー層や情報の傾向が異なるため、ターゲットによって使い分けましょう。

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SNSの活用法についての詳しい解説は下記のコラムでご覧いただけます。
SNSマーケティングとは?主な手法やメリットと注意点を解説

個性を打ち出すなら独自サイトに注力する

個性を大切にするアパレルブランドの多くが、カスタマイズが制限されるモールへの出店よりも、ブランドコンセプトを伝えられる独自サイトを持つことを選んでいます。モールでは他社との価格競争に巻き込まれやすく、販促にも縛りがあります。独自サイトであれば、思いどおりの価格戦略や販売促進が行えます。さらに丁寧に顧客とコミュニケーションを取り、ブランドのファンを増やすことができれば、将来の経営の安定にもつながります。
ただし、モールには強い集客力があります。人手や予算に余裕があるのなら、モールにも出店して売上を拡大する方法もあります。

アパレルに強いサイト構築サービスを選ぶ

ECサイトを構築する際に利用するサービスにはさまざまなものがありますが、それぞれに得意・不得意があります。ブランドのメッセージやイメージに合ったサイトが実現でき、SNSとの連携やマーケティングの機能が充実しているサービスを選択しましょう。
例えば欧米で「アマゾンキラー」と呼ばれるShopifyは、Webの知識があまりなくてもデザイン性の高いECサイトを手ごろな料金で始められるサービスとして、日本でも人気が上昇中。導入する企業が増えています。

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Shopifyについての詳しい解説は下記のコラムでご覧いただけます。
Shopify(ショッピファイ)がECサイト構築に選ばれる理由とは?特長や事例を紹介

アパレルECの成功事例

最後にアパレルD2Cブランドの成功事例を2点紹介します。

顧客の購入意欲をInstagramで確認してから販売[my clozette

ママ向けに“ただ着るだけでかわいい”日常着を販売している「my clozette」は、マーケティングにInstagramを活用して成功したアパレルECです。発売の1カ月前からInstagramに商品画像を投稿し、顧客の「いいね!」数を参考に価格や販売の可否をぎりぎりまで検討するという手法で、売上を伸ばしてきました。
最初はブログのアフィリエイトビジネスからスタートした事業が、現在では独自サイトに加えて、モールへの出店や実店舗も展開する人気のアパレルブランドに成長しました。

小柄な女性にターゲットを絞りSNSも効果的に活用[COHINA

女性向けファッションブランド「COHINA」の成功のポイントは、身長155cm以下の小柄な女性にターゲットを絞った戦略です。サイト内で洋服を着るモデルの身長もすべて155cm以下にそろえ、「低身長でも美しく着こなせるサイズでつくる」をコンセプトとしています。
Instagramには、身長ごとに最適なコーディネートを紹介する画像を数多く投稿。YouTubeにも公式チャンネルを開設し、動画でもコーディネートや新作アイテムの紹介を行っています。

ターゲットとブランドの個性を見極めて、アパレルECに挑戦を

流行に敏感なアパレル業界では、EC化が比較的早く進んでいます。大手ブランドのオムニチャネル化やサブスクリプションサービス、インフルエンサーを起用したD2Cブランドといった、新しい話題に事欠きません。また、コロナ禍において実店舗が大きなダメージを受けた一方で、多くのECが堅調に売上を伸ばしています。小規模ブランドであってもアイデアや戦略次第で成功のチャンスがあるのが、アパレルECです。ターゲットとブランドの個性をしっかり見極めて、挑戦してみませんか?

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