オウンドメディアリクルーティングとは?注目される背景やメリット・デメリットを解説

近年、注目されている採用手法に「オウンドメディアリクルーティング」があります。従来の求人サイトを利用するよりも、自社に適した人材を確保しやすい手法ですが、具体的にどのようなものか分からないという方もいるでしょう。この記事では、オウンドメディアリクルーティングの基本やメリット・デメリット、手順などを分かりやすく解説します。
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オウンドメディアリクルーティングとは?
オウンドメディアリクルーティングとは、「オウンドメディア」を活用した採用手法のことです。Owned Media Recruitingを略して「OMR」とも呼ばれます。
オウンドメディアとは
オウンドメディア(owned media)とは、自社が管理・運営するメディアを指します。
自社のホームページやブログ、Webサイトだけでなく、InstagramやX(旧Twitter)、FacebookなどのSNSアカウントもオウンドメディアに含まれます。オウンドメディアリクルーティングでは、これらの中でも特に採用に関連するメディアを指すことが一般的です。
オウンドメディアリクルーティングの具体的例としては、「自社サイトやSNSで社内の雰囲気を発信する」「自社の採用サイトを運営し求職者を集める」などの採用活動が挙げられるでしょう。
オウンドメディアリクルーティングは、自社の魅力を求職者に伝え、企業への理解を深めてもらうことで、より適した人材を確保することを目的としています。
求人サイトとの違い
オウンドメディアリクルーティングと求人サイトの大きな違いは、以下のとおりです。
オウンドメディア | 求人サイト | |
ユーザー層 | 顕在層・潜在増 | 顕在層 |
情報拡散性 | 高い | 低い |
即効性 | 期待できない | 期待できる |
カルチャーフィット | 期待できる | 期待できない |
求人に関する情報を掲載するという点では、求人サイトも自社の採用サイトも同じです。しかし、掲載できる内容は大きく異なります。
求人サイトは掲載内容のフォーマットが決められ、文字数やデザイン・画像枚数などは自由にできません。さらに、掲載期間も決まっており延長する場合は追加料金が発生します。
一方、オウンドメディアであれば、制限なく自由に自社の情報を発信できます。採用に関する情報だけでなく、社内の雰囲気や社員インタビューなどを掲載して自社の魅力を求職者にアピールすることが可能です。
また、求人サイトは求職顕在層へのアプローチであるのに対し、オウンドメディアリクルーティングでは潜在層にもアプローチできるという違いもあります。求人サイトは、その企業をすでに知っている人かたまたま求人情報を検索してヒットした人にしか情報を届けられません。
その点、オウンドメディアでは、例えばSNS発信なら企業を知らない人にも企業の魅力を届けることが可能です。ただし、求人サイトは即効性が期待できるのに対し、オウンドメディアリクルーティングは即効性が出にくいという特徴もあります。
オウンドメディアと求人サイト、どちらかに絞るのではなく、上手に組み合わせることでより効率的な採用活動が目指せるでしょう。
オウンドメディアリクルーティングが注目されている背景
オウンドメディアリクルーティングは、外部サイトや委託会社などに依存せず、自社で一貫して採用活動を行う積極的な手法として注目されています。その背景を詳しく解説します。
採用難易度の上昇
現在の日本の採用市場は売り手市場が続いています。少子高齢化に伴う労働人口の減少は採用市場にも大きな影響を与え、2024年8月の有効求人倍率は1.23倍と、2014年以降1.0を上回る高水準を維持しています。
売り手市場で優秀な人材を確保するのは容易ではありません。特に、知名度の低い企業や魅力を発信できていない企業は、採用の難易度がさらに上がる傾向にあります。
このような背景から、自社の魅力を自ら発信し求職者との接点を長期的に築く手法として、オウンドメディアリクルーティングが注目されているのです。
働き方に対する価値観の多様化
近年、ライフ・ワークバランスの重視やリモートワークの普及による働き方の多様化により、求職者の持つニーズも複雑になっています。そのため従来の求人サイトでの画一的な情報発信では、十分に自社の魅力や価値観を訴求することが困難です。このような状況下で、多様なニーズに応えた情報の発信ができるオウンドメディアの重要性が高まっています。
インターネットの普及による情報収集手段の多様化
インターネット・スマホの普及により、求職者の情報収集手段も多様化しました。企業を選ぶ際には求人サイトやホームページの採用情報だけでなく、口コミサイトやSNSなど多様な媒体から情報を収集し比較しています。 特に、TwitterやInstagram、LinkedInなどのSNSで、社員の投稿や企業に関する情報を確認する傾向が強まっています。「リアルな声」が信頼されやすく、公式サイト以上にSNS情報を重視する人も増えています。このように多様化する情報収集方法に対応するためには、企業も幅広い媒体でアプローチする必要があります。 その手法としてオウンドメディアリクルーティングが求職者へのアプローチとして注目を集めているのです。
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オウンドメディアリクルーティングのメリット
オウンドメディアリクルーティングのメリットとして、以下の4つが挙げられます。
- 自社の魅力をより詳しく伝えられる
- 採用ミスマッチを減らせる
- 潜在層にアプローチできる
- 採用コストを削減できる
自社の魅力をより詳しく伝えられる
自社のメディアなので発信する情報に制限はありません。 画像や動画・文字数・デザイン・発信回数などを目的や内容に合わせて自由に調整できるので、自社の魅力を十分に伝えられます。
例えば、職場の雰囲気や社員インタビューなども画像や動画と組み合わせることで、伝えられる情報量は格段に増えます。伝えたい情報や媒体に応じて最大限自社の魅力をアピールできるのは、大きなメリットといえるでしょう。
採用ミスマッチを減らせる
企業理念や職場の雰囲気・働く様子などを発信し、情報に共感し理解を深めた人材を確保することで採用ミスマッチを防ぎやすくなります。 採用ミスマッチが起きる大きな原因は、企業による情報発信不足で理解度の低いまま入社してしまうことです。 入社後に「思っていたのと違う」となると、早期離職につながりやすくなります。
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採用ミスマッチについて、以下のコラムで詳しく解説しています。
採用ミスマッチとは?原因から対策まで徹底解説!
潜在層にアプローチできる
オウンドメディアリクルーティングは、将来の就職層や今は自社を知らない人など求職潜在層にアプローチできる手法です。たとえば、SNSで魅力的な投稿ができればユーザーによる拡散が期待でき、自社を知らないユーザーが投稿を見てくれる可能性があります。自社を知らない層や将来の転就職層に良いイメージを持ってもらえれば、将来の就職活動で自社が候補に挙がる可能性が出てくるでしょう。顕在層だけでなく潜在層にまでアプローチできるため、長期的に採用効率アップにつながります。
採用コストを削減できる
オウンドメディアリクルーティングでの採用が軌道に乗れば、求人サイトや人材紹介会社の利用を削減でき、採用コストの減少につながります。SNSサービスの多くは無料で利用できるため、自社メディアならコンテンツなどの作成に費用がかかったとしても掲載期間延長の料金を気にすることなく掲載できます。メディアの運営にプロの手を借りるとしても、人材紹介会社を利用するより費用を抑えられる可能性もあるでしょう。
長期的な採用コストの削減につながるので、採用コストを多くかけられない企業にも適しています。 ただし、運用するメディアの選定や投稿内容の決定など、オウンドメディアリクルーティングで採用効率を上げるのは容易ではありません。SNS運用などはプロの手を借りることも検討するとよいでしょう。
オウンドメディアリクルーティングのデメリット
オウンドメディアリクルーティングのデメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
- 作成・運用にはリソースが必要
- すぐに成果につながりにくい
- 社員の協力が不可欠
制作・運用にはリソースが必要
オウンドメディアリクルーティングは短期的な効果を得にくく、中長期的な取り組みが必要です。 魅力的なコンテンツを継続的に発信し続けるには、企画や作成など多くの手間や時間がかかります。 採用担当者が制作や運用も併用するとなると、負担が大きくなってしまうでしょう。リソースが必要な点は理解し、選任をおく・プロの手を借りるなど、担当者の負担を軽減できる仕組みづくりも必要です。
すぐには成果につながりにくい
オウンドメディアリクルーティングを始めてすぐに、その年の応募が急増するというケースはほとんどありません。企業認知度アップや潜在層へのアプローチから始まってようやく応募の効果につながっていくため、成果が出るまでに年単位で時間がかかることもあります。サイトやSNS投稿を整えただけでは訪問者は増えないので、広告など集客手段との併用も必要です。
また、オウンドメディアリクルーティングは、人事部門だけでなく、マーケティング、広報、経営陣などさまざまな部署の協力が必要となります。短期的に成果が出ないことは社内で共有し、長期的な視点で取り組むようにしましょう。
社員の協力が不可欠
オウンドメディアリクルーティングでは、社員インタビュー・経営陣のインタビューなどで社内の雰囲気を伝えることも効果的です。そのため、社内の協力は不可欠です。社内でオウンドメディアリクルーティングが周知されていないと、発信内容とリアルな社内に乖離が生まれやすく採用ミスマッチにつながる恐れがあるので注意しましょう。
オウンドメディアリクルーティングを実施する手順
オウンドメディアリクルーティングを実施する大まかな手順は、以下のとおりです。
- 目的・ターゲットを明確にする
- 自社の魅力を整理する
- 運営体制を整備する
- コンテンツを制作する
- 効果測定を行う
目的・ターゲットを明確にする
目的やターゲットによって、オウンドメディアリクルーティングで活用する適切な媒体や発信内容は異なってきます。とくに、ターゲットは年齢や家族構成・趣味など細かく設定することが重要です。ターゲットが明確になれば利用する媒体やアピールポイントなどが決めやすくなるでしょう。
自社の魅力を整理する
自社で働く魅力を整理していきます。まずは、ささいな魅力でもいいのでたくさん見つけていくことが大切です。社内でアンケートをとるのもよいでしょう。また、自社だけでなく他社の魅力も調査しておくと、自社独自の魅力や弱みの発見に役立ちます。
この際、魅力だけでなく弱みやデメリットも整理しておくようにしましょう。自社のメリットばかり発信しデメリットを隠していると、採用ミスマッチにつながりやすくなります。弱みやデメリットは改善点などポジティブな情報と一緒に発信することで、求職者へのアピールにもなるでしょう。
運営体制を整備する
オウンドメディアリクルーティングは継続的・長期的に取り組む必要がありため、運営体制を整備することが重要です。すでにいる採用担当者が兼任するとなると負担が大きく、本来の採用活動にも支障が出る恐れがあります。オウンドメディアリクルーティングは片手間で行っても効果は得にくいものです。選任するにせよ既存の人材を活用するにせよ、体制や役割を明確にするようにしましょう。
コンテンツを制作する
ターゲットに即した媒体を選び、コンテンツを制作して投稿していきます。
代表的なコンテンツは以下のとおりです。
- 経営陣の考え方や企業理念
- 社員インタビュー
- 職場の雰囲気
- 福利厚生や社内イベント
- 自社の商品やサービス など
効果測定を行う
運用を開始したら定期的に効果測定を行い、改善していくことが大切です。「採用サイトのPV数」や「求人応募数」・「内定者の採用アカウント接触率」など事前に目標数値を設定し、それに対しての結果の評価・分析を行い、改善策を検討していきましょう。
ただし、前述したようにオウンドメディアリクルーティングは短期的な効果は得にくい点に留意することが大切です。実際にオウンドメディアリクルーティングで入社した社員にインタビューするなど、目には見えない効果も確認してみるとよいでしょう。
オウンドメディアリクルーティングの成功事例
ここでは、オウンドメディアリクルーティングの成功事例をいくつか紹介します。
サイボウズ
グループウェアの開発・販売を行うサイボウズのオウンドメディア「サイボウズ式」。 サイボウズ式では、社員のインタビューや現場の実態など、多様な働き方を推進するサイボウズならではのさまざまな働き方の考えを発信しています。
https://cybozushiki.cybozu.co.jp/
大京警備保障
TikTokで注目を集め認知度が大きく向上したのが、警備サービスを提供する大京警備保障です。社員の日常や現場の雰囲気を魅力的な動画で配信して、若者世代の関心を大きく引きました。
https://www.tiktok.com/@dkykeibi_tokyo
メルカリ
メルカリの「人」を伝える、をテーマとしたメルカリのオウンドメディア「mercan」。社員の働き方を魅力的につたえ、社内の雰囲気や職場環境のアピールにつながっています。
https://careers.mercari.com/mercan/?_abasid=097159b0-c9cc-4857-8ac9-6fdae4e8892e
オウンドメディアリクルーティングで自社に合った人材を採用しよう
オウンドメディアリクルーティングを活用することで、自社の魅力を十分に伝え理解を深めた人材の確保につながり、中長期的な採用効率のアップが期待できます。また、採用コストを抑えやすいというのもメリットの一つです。しかし、オウンドメディアリクルーティングは短期的な効果を得にくく、運営にはリソースも多く割かねばなりません。効率よく運営するには専門的な知識やスキルが必要になるので、専門家への相談も検討することをおすすめします。
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