ECサイトクーポンとは?活用目的や発行方法、設定項目を解説
ECサイトクーポンは、ECサイトの売上を伸ばすための代表的なマーケティング施策のひとつです。では、実際にクーポンを発行するときには、どんなクーポンを、どのように用意すればいいのでしょうか? この記事では、これからクーポンを使って集客や販促を行いたいECサイト担当者のために、クーポンの目的や発行方法、設定すべき項目、注意点などを解説します。
ECサイトクーポンとは?
ECサイトクーポンとは、ECサイトが新規顧客の獲得や販売促進のために配布する割引券や商品券のことです。近年は、特定のクーポンコードをECサイトに入力して特典を受けるタイプが主流で、ECサイトの決済ページやマイページ、メールなどにクーポンコードを掲載して、顧客に配布します。
ECサイトクーポンには、キャンペーンとして幅広く配布する通常クーポン、新規会員限定、優良顧客限定のように対象者を絞るクローズドクーポンのほか、誕生月クーポンのように個々の条件に応じて提供するものなどがあり、いずれも、「せっかくもらったのだから使いたい」という顧客の心理に働きかけて購買を促します。
こうしたECサイトクーポンは、紙のクーポンと違って現物を用意する必要がないため、準備にコストがかかりません。また、利用されなくてもECサイトに損失がない点もメリットと言えます。
ECサイトクーポンの目的
ECサイトクーポンは、次のような目的で活用されています。
新規顧客・会員の獲得に
新規の購入や会員登録の特典として割引クーポンをプレゼントすることを謳い、購入や会員登録のあと押しをします。
新商品や新規顧客に向けた販促に
新商品や新規顧客を開拓したい商品に使える割引クーポンを発行します。「安く買えるなら試してみよう」と、初めての商品を購入する顧客の心理的なハードルを下げる効果があります。化粧品や健康食品などのECサイトでよく行われる手法です。
商品を売り切りたい、短期で売上を確保したいときに
シーズンの終わりに売り切りたい商品がある場合や、売上目標の達成まであと少しといったときにも、クーポンが使われます。思い切った割引をすることで、短期間で売上をアップさせることが可能です。
アップセルやクロスセルの施策として
クーポンは、購入を検討している商品よりも上位の高額な商品を選ばせるアップセルや、併せ買いを勧めるクロスセルの施策にもなります。
上位商品を対象とする割引や、複数の商品をセットで購入した場合に割引をすることで、顧客1人当たりの購入金額を増やし、利益率を効率的に上げられます。
Check
アップセルやクロスセルについての詳細はこちらのコラムでもご覧いただけます。
アップセル・クロスセルとは?顧客単価を上げLTVを向上させる施策を解説
既存顧客との関係強化に
既存顧客に対するクーポンは、次の購入を促す施策として活用できます。さらに、しばらく遠ざかっている休眠顧客にクーポン利用によるお得さをアピールし、サイトへの再訪を呼び掛ける手法としても有効です。
カゴ落ち対策に
一度は商品をショッピングカートに入れた顧客が、なんらかの理由で購入をやめてしまうことをカゴ落ちといいます。カゴ落ちした商品に使える割引クーポンをメールで送付することで、その商品に顧客の意識を向けさせます。「一度は購入をやめたけれど、安くなるなら」と思わせて、購入の可能性を高めます。
ECサイトクーポンの発行方法
ECモールに出店している場合には、そのモールの手順に従ってクーポンを発行します。自社でECサイトクーポンを発行するには、主に次のような方法があります。
ECサイト構築プラットフォームのクーポン作成機能
多くのECサイトプラットフォームでは、クーポン作成機能を標準機能として備えています。もし自社のプラットフォームにこの機能があれば、必要項目を入力するだけでクーポンが発行できます。また、ECサイトと連携してクーポンを発行する外付けのアプリを利用する場合もあります。
SNS(LINE、Facebook)のクーポンサービス
SNSを活用したEC展開をしている場合は、そのアカウントを利用して、無料でクーポンを発行できます。
LINE公式アカウントでは、トーク画面やタイムライン上に割引やプレゼント用のクーポンが作成できます。Facebookでは、オンラインでも店舗でも利用できるビジュアル(画像)入りのクーポンが簡単に作れます。クーポンコードや利用規約を追加することもできます。
デジタルクーポン作成アプリ
ECサイトと連携せずに、クーポンだけを簡易に発行したい場合は、デジタルクーポン作成アプリが便利です。ツールでクーポンを作成し、自社のホームページやブログなどに掲載することができます。スマートフォンから無料でクーポンを作成し、QRコードに変換できるアプリもあります。
ECサイトクーポンの設計
ECサイトクーポンを設計するときには、何のためにクーポンを発行するのか、活用の目的を明確にしたうえで、以下の項目を設定します。
割引額または割引率
ECサイトクーポンは効果の高い施策です。集客や売上を拡大するためには、割引率を上げ、配布数をどんどん増やしたいところですが、割り引いた金額の分だけ利益を減らしていることを忘れてはいけません。
利益率を念頭に置いて、クーポンの値引き額や割引率を決めましょう。原価を割らないことは大前提ですが、最終処分や売り切りが目的の場合は、思い切った割引率にする場合もあります。
クーポンの利用期間、クーポン適用開始金額
顧客がクーポンを使える期間を、キャンペーン期間限定、発行から1カ月間というように目的に合わせて設定します。
また、クーポンの適用開始金額を「〇〇円以上購入すると利用可能」というように指定すると、1人当たりの購入額を押し上げることができます。
利用可能回数、重複利用の可否
同じクーポンを期間中に何度も利用できるようにするか、1回だけの利用に制限するかを決めます。「1人1回、先着〇人まで利用可能」といった条件を設定しておけば、想定以上にクーポンが利用される事態を防ぐことができます。
対象商品、対象外商品
クーポンの対象商品も、発行目的に沿って検討することが大切です。
顧客から見ると、対象商品が多いクーポンの方が魅力的です。一方、対象商品を絞れば、季節性の高い商品や在庫が多い商品など、売りたいものを効率的に売ることができます。
汎用(はんよう)性を上げる場合は、正価で売りたい新シーズンの商品や新型モデルの商品についてはクーポン対象外として設定するとよいでしょう。
クーポンの対象者
会員限定にするのか、誰でも使えるクーポンにするのかなど、クーポンを発行する対象顧客を決めます。
ECサイトクーポンの注意点
ECサイトクーポンを効果的に利用するには、次のような点に注意が必要です。
発行しすぎない
ECサイトでやみくもに割引クーポンを発行すると、「安売りブランド」のイメージを持たれてしまう可能性があります。また、顧客がクーポンに慣れてしまい、クーポンが発行されないときに購入を控えるようになることもよくあります。
顧客に特別感を持ってもらうためにも、目的に従ってメリハリをつけて発行することが大切です。
繰り返しになりますが、クーポンの割引分の金額は利益を削って捻出しています。集客・売上アップの効果と利益率とのバランスを見ながら、発行数をコントロールしましょう。
バリエーションを持たせる
いつも同じ内容のクーポン(〇%割引や500円引)では、目新しさが薄れ、顧客に飽きられてしまいます。特典の内容には、タイミングや季節に合わせた工夫が必要です。
例えば、クリスマスプレゼントやお年玉としてクーポンを付与する、割引でなく「送料無料」を特典にする。消耗品であれば増量やオマケを付けるというように、さまざまなバリエーションが考えられます。
誕生月や会員になって1周年のような顧客個人に合わせたクーポンも、特別感を感じてもらえます。
必ず効果測定を行う
クーポンの対象や特典の内容、発行の時期によって、集客や売上がどう変化するかを継続的に測定、分析し、知見を高めていくことも重要です。
クーポンの効果をより明確に把握するために、ABテストを行うのもいいでしょう。例えば、条件を一部変えた2種類のクーポンを、会員番号(奇数/偶数など)によって出し分け、条件によってレスポンスにどのような差があるかを精査します。
こうした比較と分析を行うなかで、より効果の上がる方法を見つけ出し、次の施策に活かします。
ECサイトクーポンを上手に活用して、集客や売上を向上させよう
手軽に実施できてリスクが少ないECサイトクーポンは、新規顧客の獲得や販売促進などの幅広い用途で活用できる、優れたマーケティング施策です。ただし割引率を上げすぎたり、発行数を増やしすぎたりすると、利益が圧迫される可能性もあります。発行の目的を明確にし、内容や頻度を工夫しながら、顧客が注目し、喜んで商品を買いたくなるようなECサイトクーポンを発行しましょう。
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- 投稿者: クロレDIGITAL
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