【EC構築入門編】DtoC事業者必見!今、ECが注目される理由とは?
近年、取引額が右肩上がりで増加しており注目度の高いEC市場ですが、一体どれほどの市場規模があるかご存知でしょうか。私達がよく利用するBtoC ECにおいては、2021年に20兆円を超える取引が行われています。
これからECの構築を考えている方に向けて、「なぜECが注目されているのか?」「EC市場の規模や状況」について、経済産業省の発表した最新のデータも参照しながら解説します。(2023年12月22日更新)
1 ECとは?
ECとはElectronic Commerceのことであり、日本語で電子商取引を指します。ECは、モノやサービスの受発注がネットワーク上で行われるものと定義されており、支払いや配送がオフラインで行われていても問題ありません。
ECの形態
ECは、大きく分けて3種類の形態があります。これは売る側、買う側がそれぞれ、個人なのか法人なのかによって分かれます。
BtoC EC・・・売り手が法人で、買い手が個人 (例)ユニクロ、ヨドバシカメラ
BtoB EC・・・売り手が法人で、買い手も法人 (例)モノタロウ、アスクル
CtoC EC・・・売り手が個人で、買い手も個人 (例)メルカリ、ジモティー
BtoC ECの種類
さらにBtoC ECは扱う商材によって物販系、サービス系、デジタル系に分かれます。
物販系EC・・・食品や化粧品、家電やインテリアなどの「物」を取り扱う分野
サービス系EC・・・コンサートのチケット予約やレストランへのネット予約が該当する
デジタル系EC・・・NetflixやAmazon Prime、電子書籍などを取り扱う分野
2 モール系ECと自社EC
また、個人法人の取引関係とは別軸で、ECの種類は出店方法によって、モール系ECと自社ECに分かれます。
モール系EC
モール系ECとは、楽天市場やYahoo!ショッピングのようにモールの中にお店を出店することです。モール自体の認知度が高いため、集客しやすい一方、サイトデザインに大きな違いを付けられないため、ブランディングは難しいです。
自社EC
自社ECとは、店舗をゼロから自分たちで構築することを指します。サイトデザインを自分たちで決められるため、ブランディングはしやすいですが、店舗そのものをお客様に認知していただかなければなりません。また自社ECは構築に専門知識が必要で、時間がかかることも特徴です。
3 ECを構築するメリット・デメリット
メリット1:24時間いつでもどこでも販売できる
ECは販売スタッフが必要ありません。そのため人件費を考えず365日24時間営業することが可能です。早朝でも深夜でも、お客様が購入したいタイミングでいつ来店しても、販売機会を逃すことがありません。
メリット2:販売チャネルが増え、実店舗とは違うお客様にアプローチできる
距離的に実店舗に来ることは難しいお客様や、実店舗でのアプローチがしにくい法人のお客様、社販など、EC構築によって新たな顧客層を獲得することもできます。
メリット3:顧客データを活用し、より効果的な販売方法で商品を提供できる
実店舗では取得しづらい顧客データを、EC上で取得することができます。それによって、お客様の属性に応じてパーソナライズした情報を届けることで、購買を促進できます。例えばECであれば、お客様が閲覧した商品から、探している商品ジャンルや価格帯がわかり、より的確なレコメンドをすることができます。また、一度買い物かごに入れたが購入に至らなかった、何度も閲覧している、というデータからその人だけにクーポンを配信するということも可能です。
デメリット1:価格競争に陥りやすく、商品購入までに目移りされやすい
インターネットで商品を検索すると、類似商品がいくつも表示されます。価格はお客様にとって、一番わかりやすい比較検討の対象となります。より安い商品が売れていくという価格競争の構図に陥りやすいため、自社商品のみが提供できる付加価値をアピールすることがポイントとなります。
デメリット2:実店舗との連携が難しく、在庫管理が大変
実店舗とECの両方で同じ商品を売る場合、在庫管理が大変になります。さらにモールと自社ECでも在庫を連携する必要があるため、多くの場合、在庫管理システムを導入し在庫の管理を行っています。
デメリット3:実物が見られないため、返品作業が増える可能性がある
EC最大の課題として、実店舗のように実物の商品を見ることができない点が挙げられます。そのためサイズ違いや色違いなどの返品が増え、今まで発生しなかった業務が起こりえます。商品のギャップをなくすため、なるべく多くの写真を掲載したり、より詳細な商品情報を記載する必要があります。
4 BtoCECの市場
BtoCECの市場規模
BtoC ECの市場規模は2022年に22.7兆円へ達しました。
特に市場が大きいのは、「食品・飲料・酒類」が2兆7千億円で、「生活家電・AV機器・PC周辺機器」と「衣類・服装雑貨等」がそれぞれ2兆5千億円となっています。しかしながら、分野によってEC化率が大きく異なります。「生活家電」分野が42%を超えるのに対し、「食品」分野は4%ほどです。食品分野は市場規模が大きいため、EC化が進みにくいことや、食品関係は直接お客様の健康に影響するため、鮮度や安全面での懸念が拭えないことが、食品分野のEC化率が低い要因として考えられます。
しかし、コロナによる巣籠もり需要により多様なサービスが展開されるようになっており、今後もシェアを拡大する可能性はあると言えるでしょう。
スマートフォン経由のEC取引額
また、年々スマートフォンの所持率が増加しており、それに比例する形でスマートフォン経由のEC市場が拡大しています。総務省の調査では、ここ数年でスマートフォンも利用が急激に拡大していることやインターネットを利用している人の半数以上がネットショッピングを利用していることが明らかとなっています。そのため、これからはスマートフォンを第一に考えたコンテンツ制作(モバイルファースト)が重要になってくると考えられます
6 ECの展望
大手ショッピングサイトの台頭やデバイスの普及により、オンラインでの買い物が今や日常的なものとなっています。いつでも注文でき、店舗に赴く手間がかからないECは、生活に欠かせないものとなり、そのニーズは今後も高まっていくことが予想され、EC市場は拡大を続けるでしょう。
今は実店舗のみの経営をしているものの、販路拡大、売上向上のためにEC市場に参入することを検討される方も増えています。
可能性が広がるEC市場ですが、それだけ競合も多くなるマーケットとも言えます。
EC展開を見据えるライバルに後れを取らないためにも、販売したい商材や顧客の性質を踏まえたECの構築・集客施策を準備して、大きな市場に挑戦してみましょう。