ロイヤルカスタマーとは?優良顧客との違いや育成方法を解説

2021/05/17 09:00:00
販売促進

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ビジネスの顧客は、新規顧客、既存顧客、休眠顧客、優良顧客など、取引の状態や特徴によってさまざまに分類されます。そのなかでも最上位の顧客層として分類されるのが、「ロイヤルカスタマー」です。

商品やサービスの機能・価格面での差別化が難しくなった現代において、収益の基盤を強固にするには、このロイヤルカスタマーの存在が欠かせません。この記事では、ロイヤルカスタマーの定義や優良顧客との違い、育成するメリットや具体的な育成手法まで詳しく解説します。

 

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目次

ロイヤルカスタマーとは?

 

ロイヤルカスタマーとは、企業やブランド、商品・サービスに対して、高い信頼や愛着(エンゲージメント)を持ち、継続的に購入・利用をし続けてくれる顧客のことです。

単に購入金額が多いだけでなく、企業姿勢やブランドのストーリーに共感している点が大きな特徴です。

 

ロイヤルカスタマーと「優良顧客」の違い

 

ロイヤルカスタマーとは? ロイヤルカスタマーと優良顧客の違い

 

「ロイヤルカスタマー」と「優良顧客」は一見同じように思われがちですが、顧客の「心理的ロイヤルティ(愛着や信頼)」の有無に明確な違いがあります。 

項目
定義
購入理由
競合への乗り換え
心理的状態
優良顧客
購入頻度や購買金額が高い顧客
「安いから」「他を探すのが面倒だから」「近いから」
他社が値下げや魅力的な施策を行うと離脱しやすい
行動面のみロイヤリティがある
ロイヤルカスタマー
企業・ブランドに強い愛着と信頼を持ち、継続利用する顧客
「このブランドが好きだから」「このサービスだから信頼できる」
価格や利便性に多少の変化があっても他社に乗り換えない
行動面+心理面の両方で強いロイヤルティがある

 

 

優良顧客とは、商品やサービスを頻繁に購入・利用したり、一度に多くのお金を使ったりする顧客を指します。これらの優良顧客の中には、価格や立地といった「一時的な条件」で選んでいる「見せかけのロイヤルカスタマー」が多く含まれます。競合がより魅力的なキャンペーンを行うと簡単に離脱してしまうリスクを抱えています。 

一方、ロイヤルカスタマーは「信頼や愛着」でつながっているため、競合の商品が多少安い価格になったり、競合店の利便性が上がったりしても、簡単には切り替えません。あらゆる製品・サービスにおいて差別化が難しくなった現代では、このようなロイヤルカスタマーをどれだけ増やし維持していけるかが、生き残りの鍵となるのです。

 

なぜ今、ロイヤルカスタマー育成が重要なのか?

 

現代のビジネス環境において、ロイヤルカスタマーの育成が大事とされる背景には、「市場のコモディティ化」「人口減少による新規獲得難」「Webでの競合比較の容易化」があります。

これまでのように「新規顧客をどんどん集めて売上を伸ばす」というモデルは、新規獲得コスト(CAC)の高騰により限界を迎えつつあります。そこで、限られたマーケティング予算で持続的に利益を上げるために注目されているのが、マーケティングにおける2つの有名な法則です。

 

パレードの法則(2:8の法則)

「売り上げの80%は、上位20%の顧客によって生み出されている」という原則です。新規顧客を広範囲に集めるよりも、全体の2割にあたる上位顧客(ロイヤルカスタマー)の満足度を高める方が、はるかに効率的に売上基盤を維持・拡大できます。

 

1:5の法則/5:25の法則

「新規顧客の獲得コストは、既存顧客維持コストの5倍かかる(1:5の法則)」「顧客の離脱率を5%改善すれば、利益は25%以上改善する(5:25の法則)」とされる法則です。

 

つまり、「新規獲得が難しくコストもかかる現代」だからこそ、既存顧客の離脱を防ぎ、売上の大半を支えるロイヤルカスタマーへ育てることが、最も投資対効果の高い成長戦略となるのです。

 

ロイヤルカスタマーを増やす4つのメリット

 

ロイヤルカスタマーが増えることで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

①安定的な売上をもたらし、LTV(顧客生涯価値)が向上する

 

ロイヤルカスタマーは、企業やサービスに高い愛着・信頼を感じているので、めったなことではブランドをスイッチせず、アップセル(上位プランの購入)やクロスセル(関連商品の購入)に応じやすい傾向があります。そのため、1人の顧客が生涯を通じて自社にもたらす総利益であるLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が著しく高まります。

 

 

②口コミや推奨により、低コストで新規顧客を呼び込んでくれる

 

人には「自分が愛着を持つ良いものを大切な人に教えたい」という心理があります。

勧められた側にも「家族や友人など親しい関係の人からの口コミは信頼できる」と考える人が多いため、ロイヤルカスタマーの口コミは高い訴求力を持っています。

ロイヤルカスタマーがSNSで自社製品を推奨してくれることで、高い広告費をかけることなく、信頼性の高い新規顧客を獲得できます。

 

③サービス改善につながる良質なフィードバックが得られる

 

ロイヤルカスタマーは自社サービスに愛着があるからこそ、「もっとこうなれば良くなるのに」という良質な意見やフィードバックを届けてくれます。顧客の建設的なクレームや意見は、商品やサービスの改善には欠かせません。自社では気づけない改善点や新商品開発の強力なヒントになってくれるのです。

 

④価格競争に巻き込まれにくくなる

 

単なる価格重視の顧客とは異なり、ブランド価値や提供される体験(CX)を評価しているため、安易な値引き合戦に付き合う必要がなくなります。結果として適切な利益率を維持することが可能です。

 

ロイヤルカスタマーを可視化する分析方法(KPI)

 

ロイヤルカスタマーを育成するには、まず「誰がロイヤルカスタマーなのか」「現在のロイヤルティの高さ」を正しく計測・可視化する必要があります。

 

① NPS®(ネットプロモータースコア)の活用

 

顧客ロイヤルティを図る世界的な指標として用いられるのがNPS®(Net Promoter Score)です。

「この商品・サービスを友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」という質問に対し、0~10段階で評価してもらい、以下のように分類します。

  • 9〜10点:推奨者(ロイヤルカスタマー層)

  • 7〜8点:中立者(離脱・定着の分岐点)

  • 0〜6点:批判者(不満・離脱リスク層)

 

NPS®(Net Promoter Score)

 

② 収益性(購買データ)×推奨度の「マトリクス分析」

 

顧客推奨度(NPS®)と収益性(LTVや年間購入額)の2軸で顧客を6つのセグメントに分類します。

 

顧客推奨度と収益性を掛け合わせたマトリックス図

 

(A)最優良顧客層=ロイヤルカスタマー(高収益×推奨者):

収益性が高く、顧客推奨度も高い人はロイヤルカスタマーと言えます。企業にとっては最重要のセグメントであり、この顧客が長くロイヤルカスタマーでいてくれるような施策を打っていく必要があります。

 

(B)最優良顧客の候補者層(高収益性×中立者):

収益性が高いけれど、現在の顧客推奨度は高くも低くもないという人たちです。このセグメントは、いわばロイヤルカスタマーの候補者です。ロイヤルカスタマーに移行してもらうにはどうしたらいいかを考えます。

 

(C)離反候補者層=見せかけのロイヤルカスタマー(高収益性×批判者):

収益性が高い(たくさんお金を使ってくれる)にもかかわらず、顧客推奨度が低い人たちは「見せかけのロイヤルカスタマー」です。この層は収益性が高いだけに、企業としては離れられると困ります。そのため、できるだけ早くこの層の顧客のロイヤルティ向上策を考えるべきです。

 

(D)広報担当者層(低収益性×推奨者):

顧客推奨度が高いのに収益性が低いということは、他人に勧めてはいる(広報する)けれど何らかの理由があって自分は買わない人たちです。「欲しいけれどお店が遠方にある」「好きな商品だが自分には高額すぎる」などの理由が考えられます。

 

(E)無関心・低関与層(低収益性×中立者):

対象の商品やサービス、企業に対してあまり関心がない人たちです。優先順位は低めです。

 

(F)非協力者層(低収益性×批判者):

対象の商品やサービス、企業にまったく興味がなく、ロイヤルカスタマーになる可能性は最も低い層です。この人たちを振り向かせるのはかなり難しいため、対応する優先順位は最も低いと言えます。

 

顧客をロイヤルカスタマーに育てる4つのステップ

 

実際に顧客をロイヤルカスタマーへ育てるための具体的なプロセスを次の4つのステップで解説します。

 

STEP 1:顧客が求める本当の価値(CX)とは何かを考える

顧客をロイヤルカスタマーに育てるには? STEP 1 顧客が求める価値とは何かを考える

 

顧客にとっての製品やサービスの価値とは、「製品・サービスから顧客が得るもの」「製品・サービスを得るために顧客が費やすもの」とのバランスで決まります。

価格を下げたり、送料を無料にしたりといったプロモーションは、「顧客が費やすもの」を減らして価値を高めることを狙った施策です。これらは管理しやすく分かりやすいものです。

 

しかし、顧客の愛着や信頼を高めるには、「顧客が得るもの」を増やしていくことが必要です。具体的には、商品やサービスの質を高めることや、満足感が得られる丁寧なコミュニケーションなどが挙げられるでしょう。

これは言い換えれば「CX(顧客体験)の向上」です。

例)

  • カスタマージャーニーマップを作成し、顧客とのタッチポイント(接点)を洗い出す

  • 顧客が購入・利用のどこでストレス(障壁)を感じているかを検証する

 

 

STEP 2:現在の顧客ロイヤルティを計測・把握する

 

アンケート調査やNPS®を用いて、顧客ロイヤルティの現状を客観的に数値化します。自社に「推奨者」が何%存在し、「批判者」がどのような不満を持っているのかを具体的に把握します。

 

STEP 3:ターゲットセグメントと優先順位を設定する

 

STEP 2で紹介した「収益性×推奨度マトリクス」を活用し、アプローチすべきターゲットの優先順位を決めます。自社のロイヤルカスタマー、優良顧客候補者、離反候補者などの構成比や、離反候補者の売上の割合によっても、優先順位は変わってくるはずです。

 

優先順位付けの例)

  1. 最優先:[C] 離反候補者層の不満解消(売上流出のブロック)

  2. 次優先:[B] 候補者層へのCX向上施策(ロイヤルカスタマー化の引き上げ)

  3. 維持:[A] ロイヤルカスタマーへの感謝還元・ロイヤルティプログラム

 

STEP 4:期待を超えるカスタマーエクスペリエンスを提供する

 

ロイヤルティが育つ最大の瞬間は、「事前に持っていた期待を超えた体験をしたとき」です。

顧客は期待どおりの体験ができれば満足を感じますが、それだけでは足りません。事前に持っていた期待や予測を超えた体験を提供されることによって感動が生まれ、愛着や信頼、すなわちロイヤルティが育ちます。

ステップ1で掘り下げた「顧客が求める価値」をもとに、もっと喜んでもらうにはどうしたらいいか、期待を上回る価値をどう提供するか、知恵を絞りましょう。

例)

  • 個別化した対応:過去の購買履歴を元に商品やサービスを薦める・接客する

  • 一貫した体験設計:店舗・ECサイト・サポートセンターなど、すべてにおいて高品質な対応を行う

  • コミュニティや限定特典:ロイヤルカスタマー限定のイベントに招待し特別感を演出する

 

ロイヤルカスタマー施策でよくある3つの失敗と対策

 

ロイヤルカスタマーの育成は事業の持続的成長に不可欠ですが、アプローチを誤ると多大なコストと時間をかけたにもかかわらず、期待した効果が得られないケースも少なくありません。ここでは、多くの企業が陥りがちな3つの典型的な失敗パターンと、その具体的な解決策を解説します。

 

失敗1:インセンティブ(ポイント・値引き)だけに頼ってしまう

 

失敗の背景・原因:

「ポイント何倍キャンペーン」や「継続割引」などの特典は、手軽にリピート購買を促せるため多くの企業が採用します。しかし、これらは「お得だから買う」という心理的動機しか生みません。結果として集まるのはブランドへの愛着がない「見せかけの優良顧客」であり、他社がさらに安い価格やお得な特典を提示した瞬間に簡単に流出してしまいます。

 

対策(どう改善すべきか):

金銭的・機能的なメリットだけでなく、ブランドへの共感や信頼を高める施策をセットで設計しましょう。

たとえば、会員限定イベントへの招待、新商品の先行体験、開発秘話の共有など、「このブランドのファンで良かった」と感じられる特別感や体験型コンテンツを提供することが大切です。

 

失敗2:売上データ(購買額)だけを見て顧客を判断してしまう

 

失敗の背景・原因:

「毎月利用してくれているから、自社のファンに違いない」と購買データだけで判断してしまうパターンです。実際には「解約手続きが面倒だから続けている」「他に適当な代替サービスがないから消極的に使っている」という不満を抱えた「離反候補者(見せかけの優良顧客)」である可能性があります。企業側が不満のサインを見逃していると、競合に魅力的な新サービスが登場した際、一気に解約・乗り換えが進むリスクがあります。

 

対策(どう改善すべきか):

購買金額や利用頻度といった「定量データ(行動データ)」に加えて、NPS®や顧客アンケートなどの「定性データ(心理データ)」を掛け合わせて分析しましょう。「売上は高いが推奨度が低い顧客」を早期に発見し、どのような不満やストレスを感じているのかを把握して優先的に改善アプローチを行うことが重要です。

 

失敗3:部署ごとに施策が断片化・サイロ化している

 

失敗の背景・原因:

マーケティング、営業、EC担当、カスタマーサポートなどの各部署が、それぞれの個別KPI(CVRや問い合わせ対応件数など)のみを追いかけ、顧客情報を共有できていないケースです。顧客視点で見ると「購入前と購入後で言っていることが違う」「毎回同じ説明をカスタマーサポートでさせられる」といった不感症が生じ、企業への不信感・愛着の低下につながります。

 

対策(どう改善すべきか):

全社共通の重要指標(KGI)として「顧客体験(CX)の向上」や「LTV・NPSの改善」を掲げましょう。カスタマージャーニー全体(認知〜購入〜サポート)を通じて、どの部署・どのタッチポイントで接してもブレのない一貫した高品質な体験を提供できるよう、顧客データの一元管理と部署間連携を強化します。

 

ロイヤルカスタマー育成の成功事例

 

【B2C事例】コミュニティ・限定プログラムによる愛着形成

 

あるアパレル・アウトドアブランドでは、単にポイントを還元するだけでなく、ファン限定のイベントや新商品体験会を開催。顧客同士や開発担当者と直接コミュニケーションをとれる場を設けることで、ブランドへの「共感」と「熱量」を高め、高いLTVと口コミ拡散を実現しています。

 

【B2B / SaaS事例】カスタマーサクセスによる併走型サポート

 

あるB2Bツール企業では、契約後のカスタマーサクセスチームが顧客の事業目標達成に向けた伴走支援を徹底。「使い方がわからない」というストレスをゼロにし、活用ノウハウを能動的に提案することで、顧客の期待を超える体験を提供。解約率(チャーンレート)を劇的に下げ、他社への紹介件数を増加させました。

 

ロイヤルカスタマーを増やし、事業を長期的に成長させよう

 

企業にとって最重要顧客層であるロイヤルカスタマーは、その企業や商品、サービスに対して愛着と信頼を持っている人たちです。商品を繰り返し購入したり、他者に商品を推奨したり、さまざまな角度から企業に長期的に貢献してくれます。ロイヤルカスタマーを増やすことは簡単ではありませんが、優先順位を決めて、顧客が本当に求めているものは何かを掘り下げ、CX(顧客体験)を着実に向上させることで道は開けます。

 

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