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事業者、産地組合、伝産協会、三段階の管理者権限を持たせたオリジナルECモール。伝統的工芸品の振興サポートに一緒に取り組んでいけるパートナーです~伝産協会様の事例【後編】
EC
2022.3.24
実践!リーダーが語る「プロジェクト成功への近道」(5)
一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会様の事例【後編】
2020年の年の瀬に受注が決まり、2021年、年明け早々にキックオフとなった一般財団法人 伝統的工芸品産業振興協会(以下、伝産協会)様のECモール。既存のパッケージでは満たしきれない要件から、フルスクラッチで制作することになり、7月には完成を目指していたので、急ピッチで作業が進みました。
伝産協会様の販路開拓事業の一貫である本ECモールは、産地組合もしくは事業者(工芸士)たちが出品し、配送、返品手続きにも対応し、決済部分を伝産協会が引き受けます。日々手仕事に追われる工芸士たちへの負担が少ないことを徹底的に追及したシステム、UIが目指されました。
後編では制作時のエピソードや説明会、今後の課題や展望をうかがっています。(全2回の後編。前編はこちら)
システムやUIに徹底的にこだわる
ECモール 工芸百貨「匠市(たくみのいち)*」は、国指定の伝統的工芸品産地組合が出店し、事業者(工芸士)自身が出品します。注文が入れば事業者(工芸士)から商品が発送され、返品対応なども事業者(工芸士)に委ねられています。そのため、管理画面はITリテラシーが高くない人でも負担なく出品できるシステムやUIを追求する必要がありました。
また、決済部分は伝産協会様が管理し、売上は月次で事業者(工芸士)を束ねる各237の産地組合に自動的に振り込まれる仕組みを海外のSaaS型決済サービスを使い構築しました。
*匠市サイトは2024年5月末で閉鎖となりました。
「ゼロからの設計はとても難しかったです。ご要望を満たす最適なシステムやデータベースを複雑に組み合わせていったのですが、海外のSaaSサービスだとコミュニケーションにタイムラグが発生して、なかなか思うように進まないこともありました。
TOPPANクロレ株式会社
デジタルマーケティング部
UIについても伝産協会様とご相談しながら、1ページずつ徹底的にこだわって画面を構築していきましたが、構造が複雑なだけに、一つ挙動を変更すると、想定していなかったところに思わぬ影響が広がるんですね。勝田さんがいつもスピーディーに対応してくださったので、とても助かりましたが、ご負担をかけたことも多かったと思います」と語るTOPPANクロレの太田。
これまでTOPPANクロレが取り組んだEC案件の中でも、最も複雑な構造になりました。
全国で開催した説明会もサポート
システム構築が完成後、細かな調整を重ねながら実運用がスタートするまでに、全国の産地組合に向けた説明会を実施することになりました。①工芸百貨「匠市」サイトの紹介、②登録・出店の手順、③受発注管理と3段階の説明会を、オンライン、オフラインで開催されることになり、カリキュラムの準備、事務局やファシリテーターの手配といったサポートもさせていただきました。また、産地組合専用サイトでいつでもご覧いただけるよう動画コンテンツも用意。伝産協会様は、説明を熱心に聞かれる産地組合や事業者(工芸士)たちの姿から、ECへの取り組みが強く望まれていたことを感じたそうです。産地組合や事業者(工芸士)たちが自由に操作を練習できるテスト環境も作り、出品から実際の注文の流れを体験しながらノウハウをご習得いただけるようにしました。
出品数を増やすために
工芸百貨「匠市」の出品手数料は伝産協会様の普及推進事業という位置づけから、産地組合や事業者(工芸士)への負担を極力減らすために、決済システムなどの利用にかかる物理的なコストが最低限補える程度におさえられています。 その一方で現在、工芸百貨「匠市」に出店している産地組合の数を増やしていくことも課題の一つです。
「どうすれば増やしていけるのか、いろいろと策を練っています。二の足を踏んでおられる事情が、サイトの機能的な使い勝手や認知不足といった問題だけであれば、TOPPANクロレさんに手伝っていただいているだけで解消していけるのですが、人手不足やこちらからはわからない事情もあるんですね。たとえば、工芸士さんが普段は別のお仕事を持っていたり、繁忙期だと手仕事で忙しくて、ECの実務なんてやっていられないといった事情もあったり、産地組合の規模も組織もバラバラなので、個別の事情をヒアリングさせていただきながら、それに合わせてケアしていかないといけない段階です。
ただ、作っていただいたテスト環境でトライアルされているところはたくさんあって、そういうところへのお声がけやサポートは積極的に進めています。」(勝田さん談)
一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会
伝統的工芸品の未来を託されて
経済産業大臣指定「伝統的工芸品」を冠するには、①機械により大量生産されるものではなく、製品の持ち味に大きな影響を与えるような部分が職人の手づくり、②伝統的な技術または技法、③伝統的に使用されてきた原材料、④当該伝統的工芸品の製造される地域、等の条件を満たしている必要があります。守り、伝えていく後継者がいないという深刻な事態を迎えているところも少なくないと言います。
「このお仕事が始まる時に、高橋理事からご冗談交じりで“伝統的工芸品の未来は皆さんに任せました”と言われたことを私はずっと考えながらお仕事をさせてもらっています。TOPPANクロレは伝統的工芸品を売ったり買ってもらったりするハードルを下げるお手伝いはできる。
TOPPANクロレ株式会社
デジタルマーケティング部 係長
たとえば、工芸士さんが商品を発送するにしても、貴重品だから梱包一つとっても大変だと思うんですね。そこをたとえばうちの商材のエアーラップが使えないかとか、沼津を拠点に世界中に発送できる伝統的工芸品のロジスティックス機能が持てないかとか、商材的にはライブコマースなんかも相性が良いと思うのでやってみたい。 売り買いのハードルが下がって、循環が良くなると工芸士さんたちが潤うし、もっと創作に集中できるようになるし、後継者不足も解消できるんじゃないかと思います」(鈴木談)。
国指定の文化をしっかり支えていけるよう、これからも、TOPPANクロレは着実にお客様のご要望に応え、事業領域の拡充も進めていきたいと考えます。
TOPPANクロレのデジタルマーケティング支援サービス
TOPPANクロレでは、WebサイトやEC事業の構築・リニューアル、各種プロモーションも含めた幅広いデジタルマーケティング支援サービスを提供しています。お客様の課題や外部環境を踏まえた上で、企業(またはブランド)の強み・特長を、データに基づいて洞察、咀嚼/翻訳し、課題解決へ向けた戦略プランの設計から運用までをお手伝いしております。
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「TOPPANクロレが描くDX時代のマーケティング透視図」のページでは、当社の「デジタルマーケティング支援サービス」の導入企業のご担当者様や、デジタルマーケティング界の識者の方々へのインタビューを通じて得られた「生の声」を掲載。ぜひお客様のマーケティング活動にお役立てください。