多言語サイトの作り方 制作するメリットや注意点を解説

近年、インバウンド需要の増加や越境EC市場の拡大など、ビジネスのグローバル化が急速に進んでいます。
海外市場を視野に入れて展開するなら、Webサイトの多言語化は欠かせません。多言語サイトを制作することで、世界中のユーザーに情報を届けやすくなり、販売チャンスの拡大やブランド価値の向上が期待できます。この記事では、多言語サイトが必要な理由やメリット、具体的な作り方について分かりやすく解説します。
目次
多言語サイトとは
多言語サイトとは、自国以外の言語にも対応したWebサイトのことです。
たとえば、日本語のサイトを英語や中国語など特定の地域の言語に翻訳し、その地域や日本在住の外国人に向けて情報発信しているサイトです。
ただ翻訳するだけでなく、国や地域ごとの文化・習慣・ニーズに合わせて情報を提供することが重要です。
近年はインバウンド需要や越境ECの拡大で、外国人に向けた情報発信も重要になっており、多言語サイトを活用する企業が増えています。
多言語サイトが必要な理由
多言語サイトの必要性が高まっている理由としては以下が挙げられます。
-
インバウンド需要の増加
-
越境ECの拡大
-
日本の人口減少と国外市場へのシフト
インバウンド需要の増加
国土交通省のデータ(※)によると、コロナ禍前の2019年まで順調に伸び続けていた訪日外国旅行者数は、2020年以降はパンデミックの影響で約24万人まで激減しました。
しかし、2023年には急激な回復を見せ、2024年には約3,687万人と、過去最高の訪日客数を記録しています。
10年前(2013年)の訪日外国人旅行者数約1,036万人と比べても、コロナ禍で一旦落ちたとはいえ、インバウンド需要が長期的に増加していることは明らかです。
今後も外国人向けの情報発信の重要性は高まると考えられ、多言語サイトの整備は、集客力の強化やブランド価値の向上へと直結します。
※https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shutsunyukokushasu.html
越境EC市場の拡大
経済産業省の調査(※)によれば、日本・アメリカ・中国の3か国間での越境EC市場は急速に成長しています。
たとえば、アメリカが日本や中国から輸入する越境市場は2兆7,144億円、中国が日本やアメリカから輸入する市場規模は5兆7,769億円に達しています。
いずれも前年比を大きく上回って市場が拡大しており、さらに2034年には世界の越境EC市場が2024年の1.01兆USドルから6.72兆USドルに拡大するとも予測されています。
※https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/250826_houkokusho.pdf
日本の人口減少と国外市場へのシフト
一方、日本は人口減少が進んでおり、国内市場の縮小が避けられない状況です。このため、今後は国外市場の顧客や人材に目を向ける動きがさらに加速すると考えられます。
観光客だけでなく、在留外国人や海外の消費者をターゲットにする企業にとっても、多言語対応は重要な手段になるといえるでしょう。
多言語サイトのメリット
多言語サイトを制作するメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
-
海外の顧客が獲得できる
-
インバウンド客の集客が期待できる
-
ブランド価値の向上につながる
海外の顧客が獲得できる
最近ではインターネットの普及により、海外の顧客でも日本の商品を気軽に購入できるようになってきています。多言語サイトの運営により、海外の顧客に直接アプローチすることができるのです。
また、現地の言語で情報を提供することは、商品やサービスへの信頼感を与え、購入や利用へのハードルが下がることも期待できます。
インバウンド客の集客が期待できる
訪日外国人の多くは、旅行前や滞在中にSNSやインターネットで情報収集をしています。
多言語サイトがあれば、外国人ユーザーの目に留まりやすくなり、店舗や施設への集客にもつながります。
特に、飲食店、観光施設、宿泊施設などが自社のサービスを分かりやすく案内することで、訪日中に利用してもらえる可能性が高まるでしょう。
さらに一度良い体験を提供できれば、口コミやSNSでの情報発信を通じて新たな顧客を呼び込む効果が期待できます。再来日時のリピート促進にもなり、長期的な集客効果につながります。
ブランド価値の向上につながる
多言語サイトを用意することで、外国人ユーザーに情報が分かりやすく伝えられ、利用者の満足度や信頼度を高められます。特に丁寧で正確な翻訳や、現地の文化に配慮した表現を用いることで、企業やブランドへの好感度を高める効果が期待できます。
さらに多言語対応によって国外での認知度や信頼度が向上すれば、その地域でのブランド価値が高まり、現地市場での競争力も強化できるでしょう。
また、国際的なブランド力が高まることで、日本国内での評価アップも期待できます。
「海外でも評価されている」という印象が、国内の消費者にも安心感や信頼感を与え、ブランド全体の価値を高める相乗効果が見込めるのです。
多言語サイトのデメリット
多くのメリットがある一方で、多言語サイトには以下のようなデメリットも考えられます。
-
制作と運用が複雑になる
-
制作と運用にコストがかかる
制作と運用が複雑になる
多言語サイトの制作では、通常のWebサイト制作に加え、各言語への翻訳作業や翻訳した内容を正確にサイトへ反映する作業が必要です。
翻訳スタッフの手配や、言語ごとに適したデザイン・レイアウトの実装など、多岐にわたる手間が発生し、作業も複雑になります。
また、一度制作すれば終わりではなく、サイトを更新するたびに翻訳や実装作業の手間がかかります。
複数の言語で一貫性を保つための管理体制を組むようにしましょう。
制作と運用にコストがかかる
翻訳スタッフや翻訳した文章を実装するスタッフの人件費や外注費用が必要となります。
また、運用面でも、サイトの更新や新たなコンテンツを追加するごとに、毎回翻訳費や実装作業が発生します。
そのため、ランニングコストも通常のWebサイトより高くなる可能性があります。
多言語サイトの制作を検討する際は、これらのデメリットを踏まえた上で、メリットとのバランスを考え、予算やリソースを計画的に配分することが大切です。
多言語サイトの作り方
ここでは、多言語サイトの作り方を見ていきましょう。大まかな手順は以下の通りです。
-
ターゲットや翻訳する言語を決める
-
多言語化するコンテンツを決める
-
スケジュールを組む
-
翻訳する
-
URLを決める
-
外国語ページの作成
-
設定・公開
1.ターゲットや翻訳する言語を決める
まずは多言語化するサイトのターゲットと、翻訳する言語を決めましょう。現在のサイトでアクセスの多い国や地域、また将来展開する予定のある国や地域などを考慮して検討することが大切です。発信する国のニーズに合わせて、ターゲット層を明確にして必要な情報を絞っていきましょう。
2.多言語化するコンテンツを決める
次に多言語化するコンテンツを決めましょう。 一般的には日本語サイトの全ページを翻訳するケースが多いですが、すべてのページが必ず必要なわけではありません。 アクセス数の多いページや重要なページに絞って翻訳することもできます。対象とするコンテンツを絞ることで、翻訳にかかる手間やコストを抑えることが可能です。
3.スケジュールを組む
翻訳する言語やコンテンツを確定したら、スケジュールを組みます。
サイトの多言語化を進めるには、翻訳担当や構築担当、コンテンツ担当など複数の担当者が必要です。どの業務にどの人員をアサインするかなど、多言語化するページ数や言語数に応じて割り当てていきましょう。
4.翻訳する
コンテンツが決まったら内容を翻訳します。
翻訳方法としては、自社で翻訳する・AIやツールを使って翻訳する・フリーランスや翻訳会社などに外注するといった方法があります。予算や求める品質に合わせて翻訳方法を選ぶとよいでしょう。可能であれば翻訳後にその国の人にチェックしてもらうことをおすすめします。
5.URLを決める
多言語サイト用のURLを設定します。
主な設定方法には「国別ドメイン」「サブドメイン」「サブディレクトリ」の3種類があるので、目的に応じたURLを設定しましょう。
国別ドメイン
国別に定められたドメインで、日本は「.jp」、アメリカは「.us」といった形になります。
国別ドメインを設定すると、そのページがどの国や地域向けなのかをユーザーが直感的に判断しやすくなります。国別ドメインで多言語サイトを作るときは「example.jp」「example.us」のように、言語(国・地域)ごとに別々のドメインを取得することになるでしょう。
サブドメイン
サブドメインは、既存のドメインの前に文字列を追加して設定する方法です。
「△△.example.com」のような形式で、日本語サイトとして「japan.example. com」、アメリカ向けサイトとして「usa.example. com」といった形で設定します。
ただし、元のドメインが「〇〇.jp」のように国別ドメインになっている場合には注意が必要です。たとえば「usa.〇〇. jp」と設定すると、ドメインとしては日本を示す「.jp」が付いているため、アメリカ向けサイトであっても「日本向け(日本在住のアメリカ人向け)」と検索エンジンに認識されてしまう可能性が高くなります。
サブディレクトリ
3つ目のサブディレクトリは、ドメインの下層に作成されたフォルダ(ディレクトリ)のことです。 「example.com/△△/」のような形でURLを構成します。
運用やSEO対策のしやすさという観点では、このサブディレクトリ方式が扱いやすいケースが多いです。
ただし、サブディレクトリを用いた方法は「example.com/usa /item/」のように階層を増やすこともできますが、あまり深い階層構造にしてしまうと、ユーザーがサイト内で迷子になりやすくなります。階層を深くする場合でも、目安として3階層程度までにしておくのがおすすめです。
6.外国語ページの作成
多言語用サイト用のURLが決まったら翻訳をもとに外国語ページを作成します。日本語を翻訳するだけでなく、レイアウトやデザインもターゲットに合わせることが大切です。
また、日本語と外国語では文字の長さも変わってくるためデザインレイアウトは崩れやすくなります。
言語が切り替わった時の見やすさも意識してチェックするようにしましょう。
7.設定・公開
外国語ページが完成したら、カテゴリとパーマリンクを設定します。
カテゴリはサイト内でページを分類するのに用いるもので、パーマリンクは個別のページを指定するURLのことです。
URL構成は「example.com/△△(カテゴリ)/◇◇(パーマリンク)」のように設定します。
あわせて、headタグ内のメタ情報を書き換える作業も必要です。headタグはページ全体の情報や動作をプラウザや検索エンジンに伝えるための領域で、この中に「link rel="alternate”」を設定することで、多言語化サイトであることを定義付けることができます。
この設定により、ユーザーはブラウザの設定に応じて適切な言語のページを表示できるようになるのです。
公開後は、多言語サイト用のサイトマップを作成して、Googleへ登録することも重要です。
WordPress のプラグインを活用する方法
WordPressで多言語サイトを制作する場合、プラグインを利用することでスムーズに構築できます。代表的なプラグインを紹介します。
-
Bogo
-
Polylang
-
WPML
Bogo
Bogoは計量でシンプル、かつ他のプラグインやテーマの干渉などが少ないという特徴を持つプラグインです。Bogoを導入すると、言語ごとにサブディレクトリを制作してすぐに多言語サイトを制作できます。
このように、言語ごとにサブディレクトリを制作する手法を取ることで、SEOの効果を高めることができるという点もポイントの一つです。
Polylang
Polylangも多言語化サイトを制作できる、無料のプラグインです。
前述のBogoはシンプルな設計で簡単に多言語化できるのに対し、Polylangは有料のPro版もあり、さまざまな機能が用意されているという違いがあります。
なお、BogoもPolylangも自動翻訳機能はありませんが、PolylangにはLingotekというサードパーティ製の自動翻訳プラグインが利用可能です。
WPML
前述のBogoやPolylangは基本無料のプラグインですが、WPMLは有料です。他2つのプラグインと比べて高機能かつ、WPMLに対応した有料テーマが豊富です。また、自動翻訳機能もついています。
以上、多言語化するプラグインはいくつかありますが、それぞれ対応する機能や費用、特徴が異なるので、目的に応じて選択するとよいでしょう。
多言語サイトを作成するときの注意点
多言語サイトを作成する際には、以下の点には注意が必要です。
-
機械翻訳はペナルティの対象となる可能性がある
-
ターゲットに合わせたデザインやコンテンツにする
-
法的リスクも考慮する
-
運用後の管理も決めておく
機械翻訳はペナルティの対象となる可能性がある
Googleでは、機械翻訳されたテキストをそのまま利用するとスパムとみなされペナルティを受ける恐れがあるので注意が必要です。
また、機械翻訳はツールによってはまだ精度が高くないものもあります。不自然なまま利用してしまうとユーザーが読みにくいだけでなく、文化によっては不適切な表現となる恐れも出てくるでしょう。専門家に依頼するか、人の目で念入りにチェックすることをおすすめします。
ターゲットに合わせたデザインやコンテンツにする
国が違えば、ユーザーが好むデザインやコンテンツも異なってきます。
風習や文化・宗教によっては、日本語をそのまま翻訳して掲載すると誤った内容で伝わってしまい、トラブルになる恐れもあるでしょう。
ターゲットの国のニーズも調査したうえで、ユーザーの満足度を高められるサイトを制作することが大切です。
法的リスクも考慮する
国によってプライバシー保護や著作権などの法規制の取扱い・求められるセキュリティレベルは異なります。
知らないうちに法規制に引っかかっていたとならないように、事前にターゲットの国の法規制なども調べておくことが大切です。
運用後の管理も決めておく
多言語サイトは公開して終わりではなく、公開後も定期的な更新作業や問い合わせ対応が欠かせません。
コンテンツの追加や情報の修正を行う際には、どの言語版も常に最新の状態であることをキープする必要があります。
例えば、商品を追加したときは、日本語版では五十音順で表示していても、英語版ではアルファベット順に並び変えるなど、言語ごとに適した見せ方を検討しなければならず、その分必要な工数も増えていきます。
とくに、単純な翻訳サイトではなく各国向けに情報設計を行うグローバルサイトでは、更新フローや管理が複雑になりやすいので注意しましょう。
また多言語サイトでは、翻訳ミスやメッセージの解釈がこちらの意図と異なることも起こりえます。
そのような場合には、問い合わせフォームなどを通じてユーザーの声を収集し、必要に応じて表現を見直すなど、各言語ごとのローカライズを丁寧に行うことが大切です。
こうした運用を安定して続けるためにも、更新フローや担当者の役割分担を含めた運用体制をあらかじめ整え、公開後も計画的にサイトを管理するようにしましょう。
多言語サイトの事例
多言語サイトの実例をいくつか紹介します。
YANMAR
YANMARはディーゼルエンジン分野の世界的リーディングカンパニーで、世界各国でビジネスを展開しています。YANMARのWebサイトは実に多様な言語に対応していますが、数年前は世界各国でそれぞれコーポレートサイトを運用する体制だったため、国によっては古い情報が数年残ってしまっているといったことが起こっていたようです。
現在では、多言語サイトに対応するためのシステムを導入しており、各国のサイトを統合してグローバルコーポレートサイトとしての運用を開始。日本語版のサイトを更新してから、遅くとも1ヶ月程度で他の言語のサイトも更新が完了しているとのことです。
YANMARのように多くの国で多言語サイトを展開するような企業の場合、その運用体制も非常に重要になることが分かる実例だといえるでしょう。
https://www.yanmar.com/select_region/
スクウェア・エニックス
ファイナルファンタジーやドラゴンクエストなど、世界的に有名なゲームを手掛けるスクウェア・エニックス。スクウェア・エニックスの提供するゲームは海外、特にアジア市場での人気も高く、各国の言語に対応したWebサイトが求められていました。特に、ゲーム分野では独自の単語や世界観を考慮した翻訳が必要となりますが、スクウェア・エニックスのサイトではゲームの世界観を損なわず、UIやUXを考慮した翻訳が実現されています。
https://www.square-enix.com/asia/newsportal/en/?_fsi=fGRHAVoc
BANDAI TOYS
BANDAI TOYSはバンダイのトイ事業部が運営する公式サイトです。BANDAI TOYSの提供するおもちゃは世界的に人気の高い商品が多く、ニーズに応えるために、英語と中国語に対応しています。BANDAI TOYSでは日々新たな商品が掲載されますが、こうした商品を追加するたびに多言語で最新情報に更新していく負担は大きなものです。この点、BANDAI TOYSではシステムを導入することでスピーディに多言語翻訳を実現しています。
Webサイトを多言語化してビジネスの可能性を拡げよう
多言語サイトは、海外市場への接点を広げ、顧客満足度や信頼性を高めるうえで有効な施策です。
訪日外国人の増加や海外市場の拡大を踏まえると、多言語サイトの重要性は今度さらに高まっていくでしょう。
多言語サイトは、単に翻訳するだけでは十分ではありません。国や地域ごとのニーズに合わせて設計し、運用体制まで含めて整えることが成果につながります。
サイト全体の見直しや分析もあわせて行うことで、より効果的にWebサイトを運営できるでしょう。
>>TOPPANクロレのWebサイト制作ソリューション
TOPPANクロレでは、ホームページ制作、ECサイトの運用やマーケティング施策の支援をしております。
どんなお悩みや疑問でも、お気軽にご相談ください。
まずはお気軽にお問い合わせください。御社の課題解決のサポートをいたします。


