会員サイトの作り方 システム構築方法や手順を解説

「会員サイトって本当に必要なの?」「どうやって作ればいい?」とお悩みではありませんか?
顧客のニーズが多様化し市場の変化が激しい現代では、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客との良好な関係性を維持することが重要です。その手段の一つとして注目されているのが「会員サイト」です。
この記事では、会員サイトのメリット・デメリット、具体的な作り方や注意点を分かりやすく解説しています。会員サイトを検討している方はぜひ参考にしてみてください。
「会員サイトの構築を相談したい」「会員制サービスに興味がある」という方ははぜひこちらをご覧ください。
会員サイトとは
会員サイトとは、登録した会員だけが利用できる、専用のWebサイトです。
ほとんどの場合、メールアドレスや名前などの情報を登録することで利用が可能です。会員サイトには、完全に会員専用のもの、一般ユーザーもアクセスできて一部のみ会員限定のサービスであるものなど、さまざまなタイプがあります。
会員サイトを通じて限定情報やサービスを提供することで、既存顧客との関係を深められる一方、情報管理の徹底や複雑なシステムの構築、セキュリティ対策など、会員サイトの運営には多くの注意が必要です。メリット・デメリットをよく理解し、目的に合った形で導入を進めましょう。
会員サイトの種類
会員サイトは公開方法によって、「オープン」「セミクローズド」「クローズド」の3つの種類に分かれます。基本的にセミクローズドかクローズドのどちらかで運営されるのが一般的です。
オープン
オープンは、誰でもアクセスできるサイトです。会員であるなしにかかわらず、すべてのページの閲覧ができます。企業のホームページや会員登録不要のサイトなどがオープンサイトにあたります。
セミクローズド
一部の閲覧・利用を会員に限定するサイトをセミクローズドといいます。例えば、サイトには誰でもアクセスできても、商品の注文やサービスの利用は会員登録がないとできないサイトです。BtoBサイトのように、新規顧客の開拓もしたいけど情報提供は限定したいといった場合に採用されます。
クローズド
会員でなければアクセスできないサイトがクローズドです。クローズドの会員サイトは一般には公開されておらず、利用できるのは特定の条件を満たしたユーザーに限定されます。BtoBサイトや富裕層向けのサービスなど、特定の顧客に限定したサービスや商品を販売したい場合に適しています。
会員サイトを作る目的
会員サイトを作る目的は、企業の特性や提供するサービス、サイトの種類によって異なりますが、主に以下のものが挙げられます。
- 既存会員との関係性強化
- 商品やサービスの販促
- ユーザー調査
- 顧客情報の分析
- 継続的利益(利用)の確保
会員サイトの大きな目的の一つは、顧客との関係性強化です。会員限定の情報や特典を提供することで、顧客の満足度を高め、リピーターやファンを育てることができます。また、会員登録やアンケート、購入履歴から得られる情報を、商品開発やプロモーションに役立てることも可能です。
目的に応じて必要な機能が異なるため、目的を明確にすることが重要です。
会員サイトを作るメリット
会員サイトを作るメリットには、以下のようなものがあります。
- 顧客と良好な関係が築ける
- 固定客の増加・新規顧客の開拓ができる
- ブランド力が向上する
会員サイトでは、会員限定の特典や割引・先行情報などを提供するケースが一般的です。会員限定の情報や優良コンテンツを配信することで特別感を演出し、顧客満足度を高め、関係性を強化することができます。
既存会員の満足度が向上すれば、固定化が見込めるだけでなく、会員でなければ得られない特典を目当てに新規会員を獲得することにもつながります。既存会員・新規会員が増加すれば、商品やサービスの購入が見込まれ、利益の拡大も実現できるでしょう。また、会員限定の特別感や付加価値は、自社やサービスのブランド力向上にもつながります。
会員サイトを作るデメリット
会員サイトには以下のようなデメリットもあります。
- 運営・管理の手間やコストがかかる
- 作成には知識やスキルが必要になる
- 会員が増えなければ効果を得にくい
会員サイトを効果的に運営するためには、継続的に優良コンテンツや新情報を提供し、会員からの問い合わせに対応することが求められます。そのためには、十分なリソースの確保が必要です。
また、個人情報を扱うのでセキュリティ対策は欠かせません。認証システムや会員情報の管理などさまざまな機能が必要となるため、制作には専門的な知識やスキル、コストがかかるだけでなく、メンテナンスなどのランニングコストも必要になるでしょう。
このように会員サイトの運営には時間もお金もかかるため、コストの試算や社内体制の整備をしっかり行うことが重要です。
また、会員数が十分に確保できなければ、会員サイトの効果を最大限に活かすことは難しくなります。新規会員の獲得と同時に、既存会員が離脱しないように工夫することも大切です。
会員サイトを構築する方法
会員サイトを構築する方法として、以下の2つを解説します。
- WordPressなどの無料CMSを利用する方法
- ASP・クラウド・パッケージなどの専用ツールを使う方法
WordPressなどの無料CMSを利用する方法
無料のCMS(コンテンツ管理システム)を使えば、初期費用を抑えて手軽にサイトを作成できます。例えばWordPressの場合、プラグイン(※)を活用して会員制サイトに必要な機能を追加可能です。
無料のCMSであればコストも掛からないため、手軽にスタートできるでしょう。
ただし、柔軟なカスタマイズやセキュリティ対策を行うには、ある程度の専門知識が必要です。また無料サービスであるため、相談窓口がないことや、適宜アップデートに対応する必要があることも覚えておきましょう。 「テンプレートではなく自社独特のサイトが作りたい」「セキュリティレベルを強化したい」といった場合は、ノウハウを身に付けるか次に紹介する専用のツールをおすすめします。
※プラグイン…サイトに新しい機能を追加できる拡張ツールのこと
ASP・クラウド・パッケージなどの専用ツールを使う方法
ASPとは、インターネット経由で提供されるソフトウェアのことです。専用ツールを活用すれば、専門的なスキルがなくてもレベルの高い会員サイトを構築できます。さらに、セキュリティ対策も整っており、高度な会員管理も可能です。
しかし、提供されるテンプレートや機能・管理システムなどはサービスによって異なり、費用も大きく違ってきます。自社で必要な機能や予算などを考慮して、適切なサービスを選ぶようにしましょう。
会員サイトに必要な機能
会員サイトの機能を充実することで、顧客満足度の向上が期待できます。
会員サイトにおいて、ユーザー側と管理側に必要な主な機能は以下の通りです。
ユーザー側の機能 | 管理側の機能 |
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必要な機能は会員サイトの目的や顧客ニーズによって異なるので、自社に合わせて適切な機能を付加できるようにしましょう。
会員サイトを作る前に押さえておきたいポイント
とりあえず会員サイトを作ろうとスタートしてしまうと、失敗しやすくなります。まずは、以下の3つのポイントを押さえましょう。
- 目的を明確にする
- ターゲットを設定する
- 競合を調査する
目的を明確にする
会員サイトの目的によってつくるべきサイトや戦略は違います。
例えば、「新規顧客獲得」と「既存顧客のロイヤリティ向上」では、必要な機能が異なります。情報発信だけが目的の場合は、必ずしもコストをかけて会員サイトを立ち上げる必要はありません。既存のシステムを活用し、メルマガなどで効率的に対応できるケースもあるでしょう。
会員サイトを作る目的や必要性を明確にしていくことが大切です。
ターゲットを設定する
会員サイトのターゲットを具体的にイメージすることで、必要な機能やコンテンツも決めやすくなります。年齢・性別といった大まかな項目だけでなく、家族構成・趣味など、できるだけ詳細に設定することが大切です。
競合を調査する
会員サイトの差別化を図るには、自社独自の価値の提供が必要です。そのために、競合の会員サイトの強みや特徴などを調査し、自社で何が優位に立てるかを検討していきましょう。
会員サイトを作る流れ
ここでは、WordPressで会員サイトを作成する具体的な流れを紹介します。大まかな流れは以下のとおりです。
- ドメイン・サーバーの準備
- テンプレートやデザインの設定
- 会員機能の導入(プラグイン設定、ログイン・登録ページの作成など)
- コンテンツ作成とアクセス権の設定
- テストを最終確認
ドメイン・サーバーの準備
まずは、制作環境を整えるため会員サイト用のドメインとサーバーを用意します。サーバーを用意したらWordPressをインストールしておきましょう。
テンプレートやデザイン設定
会員サイトのデザイン設定を行います。テンプレートが用意されているので、目的に応じたデザインや見やすさ・使いやすさを意識して設定しましょう。
会員機能の導入(プラグイン設定、ログイン・登録ページの作成など)
WordPressの管理画面から会員サイトに必要なプラグインを追加していきます。
会員サイト用プラグインを検索し、選んだプラグインをインストールして有効化しましょう。
WordPressで会員サイトを作成する際の代表的なプラグインには、以下のようなものがあります。
- WP-Members Membership
- Groups
- Simple Membership
- Ultimate Member
プラグインの種類によって機能やコストが異なるため、会員サイトの目的や必要な機能に合わせたプラグインを選びましょう。
たとえば、WP-Members Membershipなら無料で利用でき、シンプルな会員サイトの構築が可能です。初心者でも会員登録ページなどが簡単に作成できるので、はじめて会員サイトを作る人にも適しています。
プラグインを追加後した後は、管理画面からログインや登録フォームなど、会員サイトに必要な設定を行います。
コンテンツ作成とアクセス権の設定
会員サイトが完成したら、公開するコンテンツを作成します。管理画面から新規投稿を行い、コンテンツを作成していきましょう。作成後は、アクセス権を設定して公開します。
テストと最終確認
会員サイトを公開し、会員登録やログイン・コンテンツの公開状況など正常に機能していくかをテスト・確認します。
会員サイトの制作事例
最後に、TOPPANクロレが支援させていただいた企業の、会員サイトの制作事例をご紹介します。
缶つま倶楽部 様
K&Kを展開する国分グループ本社株式会社様は、300年以上の歴史を持つ老舗の食品卸売業者で、コンビーフなどで知られています。
2010年から同社が販売しているのが、お酒に合うこだわりの缶詰「缶つま」です。この新商品をブランド化する際に、缶つまのレシピを投稿できる会員サイト「缶つま倶楽部」の制作を支援させていただきました。
缶つま倶楽部では以下のような施策を実施しています。
レシピを投稿できるぺージの実装
商品紹介ぺージの作成
その他各種コンテンツ作成
メルマガでのオリジナルレシピ毎日投稿
リアルイベントの企画・運営
コラボ企画の実施
結果として、サイトに投稿されたレシピ数は9,000件以上、X(Twitter)フォロワー数は4.3万人、Instagramフォロワー数は1.9万人を達成しています(2024年12月現在)。
参照:K&K 缶つま|Webサイトを軸にブランドをプロモーションし、ファン獲得に貢献
ぐるっぱ 様
ぐるっぱは缶つま倶楽部と同様、国分グループ本社株式会社様へのご提案として制作させていただいた会員参加型のサイトです。
サイトでは、アンケートやモニターに参加することでポイントを獲得でき、貯まったポイントを商品と交換できます。
メーカーやユーザーにとって、それぞれ以下のようなメリットがあります。
- メーカー:アンケートやモニターの結果を商品開発や販売戦略に活用する
- 国分グループ本社株式会社(卸売会社):食のマーカティングカンパニーとしてメーカーに使ってもらえる
- ユーザー:アンケートに答えたりモニターとして参加したりするだけで商品をもらえる、食のWebメディアとしてぐるっぱを認識してもらえる
参照:ぐるっぱ|Webマーケティングツールを構築し、食を通してメーカーと消費者のWin-Winな関係を実現
グローカルミッションジョブズ 様
グローカルミッションジョブズは、地方企業へ都心の優秀な人材の転職をさせる求人サイトを構築したいと考える日本人材機構に提案して制作した会員サイトです。
同サイトでは登録いただいたユーザーの個人情報やアクセス状況(訪問回数や日時・応募状況など)をランク付けし、スコアが可視されるという特徴があります。これにより、ユーザーの状況に応じたパーソナライズされたアクションが可能になります。
結果、地方転職のサイトでは最も多いユーザー数を誇るサイトとなりました。
参照:日本人材機構様|ユーザー情報を可視化し、一人一人に最適化された情報提供を実現
会員サイトの構築ならTOPPANクロレへご相談ください
会員サイトを運営することで、顧客との良好な関係性を維持でき、顧客の固定化や増加による利益の増加も見込めます。目的により必要な機能やデザインは異なるので、方向性を明確にして自社に合ったサイトを作成するようにしましょう。
ただし、会員サイト作成はあくまでスタートラインであり、作ってからの運用が本番です。 会員サイトの成果を得るには継続的な情報発信やアンケート調査・新規会員獲得に分析と手間やコストもかかる点に注意しなければなりません。
TOPPANクロレではファンマーケティングや会員制ビジネスを支援するプランをご用意しています。制作や運用に不安がある、プロのアドバイスを受けながら本格的に会員サイトを運用したいといった方は、下記からお気軽にお問合せください。