ASPカートとは?機能やメリット、選び方のポイントを解説
いくつかあるECサイトの構築方法のなかでも、低コストで手軽にEC事業をスタートできる方法がASPカートです。この記事では、ECサイトの構築を検討している人のために、ASPカートとはどのようなものか、メリットやデメリット、サービスを選択するときのポイントなどを解説します。
ASPカートとは?
ASPカートは、「ショッピングカート機能を搭載したEC構築システム」をクラウド上で提供するサービスです。ECの運営者は、サービス提供会社からECのプラットフォームをレンタルする形でネットショップを開設します。ASPは「アプリケーション・サービス・プロバイダ」を略した言葉で、アプリケーションソフトの機能をネットワーク経由で提供する事業者やサービスのことです。
ASPカートには、ECサイトの構築・運営に必要な標準機能があらかじめ搭載されており、運営者は簡単な操作でECサイトを立ち上げ、商品を販売することができます。
専門知識や経験がなくても短期間でEC事業をスタートできる点、ほかの構築方法に比べてコストが安い点も、ASPの特徴と言えるでしょう。 さらに、システムやセキュリティのアップデートはサービス提供会社側で行われるので、自社によるメンテナンスが必要ありません。
このように、手間や費用を抑えてECサイトの構築と運営ができるASPカートは、初めてEC事業に取り組む企業や小規模でECを行いたい企業に向いています。
Check
そのほかの開発方法についての詳しい解説は下記でご覧いただけます
ECサイトを構築する4つの手法を比較解説!費用感など3つの選び方
ASPカートの標準機能
一般的なASPカートは、ECサイトの立ち上げや運営に必要な次の機能を標準装備しています。
- ECサイトのページを作成する機能
- ECサイトのページをデザインするためのデザインテンプレート
- 購入のために必要な手続きを行うカート機能(決済機能)
- 商品情報を管理する機能
- 在庫を管理する機能
- 顧客情報を管理する機能
ASPカートによっては販促機能や、定期販売、越境通販などの機能を備えているサービスもあります。
Check
ECサイトの機能や運営業務についての詳しい解説を見る
➡ECサイトとは?種類や必要な機能、運営業務を解説
ASPカートのメリット
ASPカートを使うことでどのようなメリットがあるのかを解説します。
初期費用や月額利用料が安い
ASPカートの初期費用は、無料から高くても数十万円程度と、ほかの構築方法に比べてかなり割安です。月額利用料も無料から数千円程度のサービスが中心で、ECをスモールスタートさせたい企業にはうれしい設定になっています。
ただし、固定料金が安いサービスでは、売上に対して支払う手数料率が高めに設定されている場合があるので、確認が必要です。
Check
ECサイトの構築、運営コストについての詳しい解説を見る
➡ECサイト構築費用の相場とは?カート別、料金別に徹底比較
構築期間が短い
ASPでは、サーバーの準備やソフトウエアのインストールといった環境整備に必要な時間がかかりません。
ECサイト自体もフォーマットに従って入力したり、選択肢から選んだりといったシンプルなステップででき上がるため、早ければ取りかかったその日にECサイトを公開することも可能です。
常に新しい機能を利用できる
ASPカートでは、サービス提供会社がシステムの運用保守やアップデートを行います。機能拡充に積極的なサービス提供会社のASPカートを利用すれば、いつでも新しい機能を使ってネットショップを運営することができます。
ASPカートのデメリット
便利なASPカートですが、次のようなデメリットもあります。
機能のカスタマイズができない
ASPカートでは、サービス提供会社が用意した機能を組み合わせてECサイトを構築、運営します。そのため、自社のニーズに合わせてカスタマイズできる範囲は限られています。
規模が小さいうちは標準機能でよくても、ECサイトが成長していくと、マーケティングや顧客管理の機能をもっと充実させたくなるケースはよくあります。
機能追加や外部連携などのオプションが用意されたASPカートもあります。ただしオプション追加によって、想定以上に費用がかかったり、機能面に影響が出たりするケースも。カート選定時には、ある程度の成長フェーズを見越して、将来的な機能追加の可能性も含めて検討しましょう。
デザインの自由度が低い
ASPカートでは、サイトデザインは決められたテンプレートのなかから選びます。そのため、ブランディングを重視した、高いデザイン性を求めるECサイトには向いていません。
ただし最近では、テンプレートを豊富にそろえているサービスや、オプションで凝ったテンプレートを利用できるサービスも登場しています。
ASPカートの種類
代表的なASPカートの種類を紹介します。
Shopify
Shopifyは、世界170カ国以上で活用されている、世界シェアトップクラスのECプラットフォームです。月額料金プランが複数あり、ビジネスの規模やニーズに合わせて適したプランが選べます。最初の3か月間は月額1ドルと低コストで始められる上に、アプリを使うことでさまざまな機能拡張が行えるため、企業規模を問わず幅広い企業で活用されています。
BESE
決済機能やサイトデザイン、解析ツールなどネットショップの運営に必要な機能が揃っており、誰でも簡単にネットショップが始められます。初期費用・月額費用は無料で、商品が売れたときに手数料や利用料が発生する仕組みです。2023年6月にはショップ開設数が200万ショップを超え、ネットショップ開設実績は6年連続でトップとなりました。
STORES
低コストかつ機能やサイトデザインの種類の豊富さが魅力のサービスです。
プロのデザイナーが作った無料のテンプレートが48種類あり、すべてレスポンシブに対応しているので、PCだけでなくスマホで制作できる点も特徴です。フリープランと有料のスタンダードプラン(2,980円/月)がありますが、スタンダードプランのほうが手数料が低くなります。
ASPカートを選ぶときのポイント
さまざまな種類のASPカートサービスのなかから自社に合ったサービスをどのように選べはいいのでしょうか?ASPカートを選ぶときのポイントを紹介します。
販売する商材や販売方法に合っているか
まずは、販売する商材や販売方法に合った機能を持つASPカートを選ぶことが大切です。
例えば、化粧品や健康食品といった定期販売向けの商材であれば、販売回数に応じてフォローメールを自動配信したり、無料サンプルの申し込みと定期販売の案内をセットで行ったりできる、定期販売に特化したASPカートを検討しましょう。BtoBに特化したASPカートや、越境ECに適したASPカートもあります。
初期費用、月額料金、手数料はいくらかかるか?
ASPカートに支払う費用には、初期費用、月額利用料のほか、取引きごとにかかる取引手数料や決済手数料、売上の入金時に必要な振込手数料などがあります。
前述のように、初期費用や月額費用が無料や割安のサービスでは、取引手数料の料率が割高な場合があります。決済手数料や振込手数料の料率も、ASPカートによってさまざまです。
手数料率が高いと、商品は売れているのに利益が伸びないといった事態に陥る可能性があります。ランニングコストは事前にしっかり試算しましょう。
Check
3つの人気ASPの費用比較に関する詳しい解説を見る
➡Shopify、BASE、STORES ― EC開設に人気のASPを徹底比較
決済機能はそろっているか?
クレジットカード、コンビニ支払い、銀行払いなど決済方法の選択肢が多い方が、いろいろなユーザーのニーズに応えられます。ECサイトの顧客層が求める決済方法が複数用意されているかどうかは、必ずチェックすべきポイントです。
Check
ECサイトの決済方法についての詳しい解説は下記でご覧いただけます
ECサイトの決済方法の選び方!種類別に特徴を解説
商品登録数は十分か?
ECサイトで販売したい商品数が余裕を持って登録できるかどうかも、ASPカート選びの基準になります。
ASPカートのなかには、登録できる商品数に上限があり、超過すると追加料金が必要になるものがあります。売りたい商品が登録できなければチャンスロスにつながり、追加料金が発生すればコストが上がってしまうため、事前のチェックが必要です。
管理画面は使いやすいか?
ECサイトの編集や登録などを行う実務担当者が、作業しやすいかどうかも重要なポイントです。多くのASPカートが無料お試し期間を設けています。候補を絞ったら実務担当者に実際に管理画面を操作してもらい、使いやすさを確認しましょう。
ASPカートを使えば、ECサイトを手軽に安く始められる
ASPカートを利用すれば、安い利用料と簡単な操作で、手軽にECサイトを立ち上げることができます。初めてEC事業に取り組む企業にとっては使いやすく、最初に検討すべきサービスと言えるでしょう。現在は、さまざまなASPカートのサービスが提供されています。商材や商品数、欲しい機能に合わせて、自社のEC事業に最適なASPカートを選びましょう。
TOPPANクロレでは、ECサイトのプランニングから構築、開発、運用まで、さまざまなデジタルマーケティング施策をお手伝いします。どのようなお悩みでもまずはご相談ください。