【2025年最新版】EC化率の最新動向を徹底解説!BtoC・BtoB市場の現状と分野別トピックス

2025/11/07 02:46:01
EC

【2025年最新版】EC化率の最新動向を徹底解説!BtoC・BtoB市場の現状と分野別トピックス


EC化率とは、商取引の市場規模全体のうち、EC(電子商取引)が占める割合を示す重要な指標です。EC化率は、自社の商品やサービスがEC市場でどれだけ浸透しているか、また今後の成長余地を判断するうえで欠かせません。

この記事では、2025年9月に経済産業省が公表した「令和6年度 電子商取引に関する市場調査報告書」のデータをもとに、最新のEC化率の現状を、BtoC(消費者向け)、BtoB(企業間取引)の分野別に分かりやすく解説します。

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目次

BtoC市場のEC化率は着実に増加 

 

物販分野における2024年のBtoC-EC市場規模は、15兆2,194億円に達し、前年の14兆6,760億円から約5,435億円増加しました。これに伴い、EC化率は9.78%となり、前年から0.40ポイント増加しています。

 

コロナ禍の急成長から「安定した増加」へ

 

新型コロナウイルス感染症の影響により、2020から2021年にかけてEC化率は急激に伸びました。2022年、2023年と増加のペースは緩やかになったものの、2024年は再び0.40ポイント増と伸長しており、ECでの購入が消費行動として定着し、安定した増加傾向が続いていることが分かります。

物販系分野のBtoC-EC市場規模及びEC化率の経年推移

物販系分野のBtoC-EC市場規模及びEC化率の経年推移
(市場規模の単位:億円)

 

 

物販系分野BtoCの業種別EC化率

 

次に、物販系分野BtoCEC化率を業種別の市場規模とともにみていきましょう。業種別の市場規模、EC化率は以下のとおりです。

 

物販系分野のBtoC EC市場規模

物販系分野のBtoC EC市場規模

 

物販系分野のBtoCを業種別にみると、市場規模が最も大きいのは「食品、飲料、酒類」で3兆1,163億円、次いで「衣服、服飾雑貨等」が2兆7,980億円です。
一方、EC化率が最も高いのは「書籍・映像・音楽ソフト」で56.45%と半数を超え、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」が43.03%で続いています。

このように、市場規模とEC化率には大きな差異があり、各分野でECの浸透度や競争環境が異なることがわかります。

また、EC化率の伸び率に注目すると、「書籍・映像・音楽ソフト」が+3.00ポイントで突出して高く、次いで「生活雑貨、家具、インテリア」が+1.04ポイントと高成長を見せています。これは、EC化率がすでに高い分野(書籍・映像・音楽ソフト)でも成長の勢いが衰えていないこと、および、EC化率が中程度の分野(生活雑貨、家具、インテリア)でECへの移行が加速していることを示しています。

 

 

物販系分野の7分野のトピックス

 

ここでは、EC化率の伸び率が高い順に、各分野の市場トピックスを解説します。

 

書籍・映像・音楽ソフト(伸び率:+3.00ポイント)

 

書籍・映像ソフト、オンラインコンテンツを除く音楽ソフトから構成される分野です。
2024年のEC化率は56.45%(前年比+3.00ポイント)と7分野で最も高く、伸び率も他分野を大きく上回っています。

この分野は、消費者があらかじめ購入したい商品が決まっており、実店舗とEC店舗での商品価値がほとんど変わらないという特徴があります。型番や商品名さえわかれば店舗の比較がしやすいことからECとの相性の良い分野です。

とくにコロナ禍以降の巣ごもり需要で電子出版の市場規模が拡大傾向にあったこともEC化率が高い要因といえるでしょう。ただし、2024年は前年比プラス0.59ポイントと横ばいにとどまっています。

また、映像・音楽ソフトについても、動画配信サービスの普及を背景に需要が減少しており、EC市場規模は微減傾向にあります。EC化率は上昇しているものの市場規模が縮小しているため、今後はECでの競争がさらに激化すると予想されます

 

 

生活雑貨、家具、インテリア(伸び率:+1.04ポイント)

 

「生活雑貨、家具、インテリア」は、一般家具やインテリア、台所用品などの家事雑貨だけでなく、洗剤といった家事消耗品や寝具類も含まれる分野です。
2024年のEC化率は32.58%で、伸び率は+1.04ポイントと高水準を維持しています。市場規模も2兆5,616億円(前年比+3.62%)と拡大傾向にあります。

日用品や家具消耗品は、コロナ禍の外出控えによりストック需要が増加してから、ネット購入が定着しています。2022年以降伸び率は鈍化したとはいえ、依然としてストック需要・ネット購入需要の増加傾向は見られます。

またこの分野は、送料を考慮した単価の低い日用品のまとめ買いニーズや、消耗品のサブスクリプション利用、クイックコマース(ECを介した即時配達サービス)の利用拡大など、ECと非常に相性の良い特徴があります。

一方、家具、インテリアについても、実店舗の成約なく豊富なラインナップを取り揃えられる点でECとの相性が良く、今後もEC市場規模は拡大すると考えられます

 

 

自動車、自動二輪車、パーツ等(伸び率:+0.52ポイント)

 

「自動車、自動二輪車、パーツ等」分野のEC化率は4.16%と7分野中最も低い水準ですが、伸び率は+0.52ポイントと上位に入りました。ただし、2023年は前年比-0.32%であったことからも、EC化率が進みにくい分野と考えられます。

この分野は高額商品が多く、実際にモノを見て購入したいというニーズが強いこと、パーツの取り付けには専門知識が求められることなどが、EC化が進みにくい要因と言えるでしょう。

ただし、2024年には中古車を通販で購入する「バディカダイレクト」がスタートするなど、EC化が進まない要因をカバーできるサービスが登場しており、ECニーズがないわけではありません。工夫次第でビジネスを拡大できる可能性を秘めています

 

 

衣服、服飾雑貨等(伸び率:+0.50ポイント)

 

  • 「衣服、服飾雑貨等」は、衣類(インナーウエア・アウターウエア)、服装雑貨(靴、鞄、宝飾品、アクセサリー)、子供服、スポーツ用品で構成される分野です。

    2024年のEC化率は23.38%、伸び率は+0.5ポイントです。市場規模自体は2兆7,980億円(前年比+4.74%)と物販分野で2番目に大きい規模です。
    コロナ禍で市場規模は大幅に拡大しましたが、2022年以降は上昇が鈍化し、実店舗回帰が進みました。また、ファッション業界は環境負荷の大きさやサスティナブルファッションへの関心の高まりといった要因から短期サイクルでの買い換えを控える価値観への変化が見られます。

    しかし、コロナ禍によるEC購入の習慣化をうけ、以下のようにECと実店舗の在り方を見直すOMO(Online Merges Offline)の取り組みが進んでいます。

     ・ECサイト上の商品を店舗に取り寄せて試着してから購入するサービス
    ・サイト上から来店予約やスタイリング提案を受けられるサービス
    ・オンライン接客
    ・バーチャル試着やAI接客
    ・メタバースやNFT進出

    この分野のEC化率は23.38%とまだまだ伸びる余地は十分あります。InstagramなどのSNSとの相性の良さからも、今後も新規参入が増えていくと考えられるでしょう

 

 

化粧品、医薬品(伸び率:+0.25ポイント)

 

「化粧品、医薬品」は化粧品全般や医薬品、及び美容・健康関連器具で構成される分野です。2024年のEC化率は8.82%で伸び率は+0.25ポイント、市場規模は1兆150億円(前年比+4.54%)と堅調です。

この分野は、百貨店やドラッグストア、コンビニなどの実店舗が充実しており、カウンセリングなどの対面販売が適している商品が多いことから、EC化率は低い水準にあります。

しかし、コロナ禍で店頭販売が厳しくなった時期に、Web広告やバーチャルメイクアップツール、ライブコマースなどの手法でECに注力した結果、EC市場が拡大しました。コロナ禍以降も、行動制限解除によるメイクアップ用品需要の拡大、近年のメンズ美容の定着などを要因に、EC市場は堅調に推移しています。

また、医薬品については2020年のオンライン服薬指導の解禁、2023年の電子処方箋のスタートなどのオンライン化整備の加速により、市場拡大が期待されています。ただし、2025年2月の薬機法改正により若年者に対する一部の医薬品のインターネット販売は不可となっています。そのため、医薬品分野については今度の動向を注視する必要があるでしょう

 

 

食品、飲料、酒類(伸び率:+0.23ポイント)

 

  • 「食品、飲料、酒類」分野の市場規模は3兆1,163億円(前年比+6.36%)と、7分野の中で最大規模ですが、EC化率は4.54%、伸び率は+0.23ポイントと低めに推移しています。その要因としては以下が挙げられます。

    ・生鮮食品の扱いの難しさ
    ・実店舗の充実
    ・配送料の負担が大きい
    ・利益率が低い商品が多い

    この分野に参入している企業はGMS(総合スーパー)、EC特化ネットスーパー、EC大手企業、飲料専門事業者、通販事業者、菓子メーカー、酒類販売業、百貨店などバラエティに富んでいるのが特徴です。とくに、コロナ禍を契機とした食品・飲料のEC購入の定着により、ネットスーパでの市場規模が拡大傾向にあります。

    ネットスーパー事業は作業負荷の大きさや配送コストの負担増という課題もありますが、近年は自社と委託との効率的な組み合わせや、クイックコマースの利用、単価上昇のための生鮮食品やオーガニック食品などの取り扱い充実といった取り組みを見せている企業も現れています。

    一方、当該カテゴリでECの売上が増加しているのが健康食品分野です。この分野は2024年のサプリメントの健康被害問題を受け、市場にマイナスの影響があったと考えられます。しかし、メインユーザである高齢者のEC購入の移行や健康増進・ダイエットなどの消費者ニーズをとらえた商品投入などにより、市場規模の拡大は継続しています。
    また、機能性を有する健康食品はECとの相性もよいことからも、今後も市場規模の拡大が期待できます。

 

 

生活家電、AV機器、PC・周辺機器等(伸び率:+0.15ポイント)

 

「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」分野のEC化率は43.03%と高い水準ですが、2024の伸び率は+0.15と7分野で最も緩やかでした。市場規模は2兆7,443億円で、伸び率自体は低いものの、市場規模、EC化率は物販分野の中でもここ数年上位を占めています。

2024年は円安や高騰するコストを背景に価格が上昇する一方、消費者の買い控え傾向も見られましたが、省エネ製品や高価格帯の美容家電のニーズは衰えず、結果として市場規模拡大につながりました。

この分場は事前の調査で商品の特徴が理解しやすく、ECとの相性がよい分野とされています。とはいえ、高額であることから実際に商品をみたいというニーズもあり、Amazon等の大手ECプラットフォームと大手家電量販店・通販事業者との対立構造となっているのが特徴です。

また、市場拡大とともに実店舗の新たな役割が模索されてきたという点も特徴に挙げられます。たとえば、実店舗と電子棚の価格をリアルタイムで連動させる、店内での商品撮影・SNS投稿の解禁などによりECに誘導する取り組みを行う企業も現れています。

さらに、近年は家電ECにおけるリユース・リサイクル市場の拡大傾向もあり、今度も市場規模の拡大が期待されています。

 

 

BtoB市場のEC化率

 

BtoB(企業間取引)のEC市場も拡大が続いています。2024年のBtoB-EC市場規模は514兆4,069億円に達し、前年比+10.6%と大幅に拡大しました。「その他」分野を除くEC化率は、前年比+3.1ポイントの43.1%となり、4割を突破しました。

 

BtoB-EC市場規模の推移

BtoB-EC市場規模の推移

 

BtoB-ECの市場規模は、コロナ禍で落ち込んだ2020年を底に回復傾向が続いています。2024年はインバウンド増加による外食・ホテル需要の拡大、原材料費高騰による価格の引き上げといったことを要因に市場規模が拡大し、それに伴いEC化率も伸びていると考えられます。

 

 

BtoBの業種別EC化率


BtoBの業種別EC化率、およびEC市場規模の推移は以下のとおりです。

 

BtoB-EC市場規模の業種別内訳

BtoB-EC市場規模の業種別内訳

 

EC化率が高いのは、製造業の輸送用機械(88.6%)、次いで食品(81.3%)、電気・情報関連機器(76.6%)の順となっています。これら上記3業種は、EC化率の伸び率も高いのが特徴です。
全体としてすべての業種でEC化率は増加傾向にあり、今後の市場規模拡大や供給体制の整備により、さらなるEC化の増加が期待されます

 

 

今後のEC化率に注目しビジネスを拡大していこう

 

ここまで、経済産業省の「令和6年度 電子商取引に関する市場調査報告書」を元に、BtoC、BtoBそれぞれの市場規模とEC化率、EC化の現状について解説してきました。
コロナ禍の拡大傾向が落ち着きつつも、市場規模、EC化率ともに緩やかな上昇傾向が続いています。ただし、分野によってEC化率の現状は大きく異なります。EC化率が高い分野は競争の激化や価格競争の傾向がみられますが、伸び率が高い分野は新たな需要の顕在化やビジネスモデルの変革が起きている可能性を秘めています。

ビジネス戦略を立てる際には、EC化率の「現状の高さ」だけでなく、「伸び率」から読み取れる市場の変化のスピードと方向性を深く分析することが、成功への鍵となるでしょう。

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