【2025年最新版】EC市場規模の現状は?BtoCやBtoB、越境などカテゴリ別の状況とトピック

経済産業省による令和6年度 電子商取引に関する市場調査報告書によると、2024年のBtoC-ECの市場規模は26兆 1,225億円となり、前年比+5.1%の拡大です。新型コロナウイルス感染症の影響により2021年から2023年に急速に拡大したEC市場規模は、2024年には落ち着きをみせつつも堅調な上昇傾向が続いています。
すでにECに取り組んでいる事業者の方や今度EC事業を展開していきたい事業者の方にとっては、ビジネス戦略を立てるうえでもEC市場の現状や今後の動向を理解しておくことが重要です。
この記事では、2025年9月に経済産業省が発表した「令和6年度 電子商取引に関する市場調査報告書」のデータを参照しながら、BtoC、CtoC、BtoB、越境ECのカテゴリごとにECの市場規模に関する現状やポイントを解説していきます。
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目次
BtoC-ECの市場規模
まずは、日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模をみていきましょう。
2024年の市場規模は、26兆1,225億円となり、2023年の24兆8,435億円から1兆2,790億円増(増加率+5.1%)です。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で 2020 年に「巣ごもり需要」として消費者の間で EC の利用が急激に拡大したのち、スマホの普及が一段落したことや、消費者の実店舗回帰の機運が高まるなどしたことで、物販における EC 利用の伸びは年々鈍化してきています。
とはいえ、2021年で前年比+7.35%、2022年+9.91%、2023年+9.23%、2024年+5.1%と、市場規模は拡大しており、依然として上昇傾向は続くと見られています。

BtoC-EC 市場規模の経年推移
(市場規模の単位:億円)
グラフで分かる通りBtoC-EC 市場規模は、物販系分野・サービス分野・デジタル分野の3つで構成されています。それぞれの分野別市場規模の推移は以下のとおりです。以降では分野別に詳しくみていきましょう。
| 2023年 | 2024年 | 増減率 | |
| A.物販系分野 | 14兆6,760億円(EC化率9.38%) | 15兆2,194億円(EC化率9.78%) | 3.70% |
| B.サービス系分野 | 7兆5,169億円 | 8兆2,256億円 | 9.43% |
| C.デジタル系分野 | 2兆6,506億円 | 2兆6,776億円 | 1.02% |
BtoC-ECの市場規模及び各分野の増減率
物販系分野の市場規模
2024年の物販系分野の市場規模は、前年から5,434億円増加の15兆2,194億円(前年比+3.70%)となっています。また、全ての取引に対するEC取引の割合を示すEC化率は9.78%(前年比+0.40%)となり、市場規模、EC化率とも上昇傾向にあります。

物販系分野の BtoC-EC 市場規模及び EC 化率の経年推移
(市場規模の単位:億円)
物販系分野の市場規模における業種別の内訳は以下のとおりです。

物販系分野内での各カテゴリーの構成比率
(市場規模の単位:億円)
もっとも市場規模が増加したのは「食品、飲料、酒類」(3兆1,163億円/前年比+6.36%)です。反対に、「書籍、映像・音楽ソフト」は、前年に対してわずかに縮小傾向にあります。それ以外のカテゴリは数値に差はあるものの、市場規模は増加傾向です。
また、市場規模の上位である「食品、飲料、酒類」、「生活家電、AV 機器、PC、周辺機器等」、「衣類・服装雑貨等」、「生活雑貨、家具、インテリア」の4カテゴリで物販系分野の市場規模の約74%を占めています。
サービス系分野の市場規模
サービス系分野のBtoC-ECの市場規模は前年の7兆5,169億円から7,087億円増加の8兆2,256億円(前年比+9.43%)となりました。昨年に比べると伸びが鈍化しているとはいえ、引き続き3分野のなかでもっとも増加率が高く、市場規模の拡大に大きく寄与していることがわかります。
サービス系分野の業種別の市場規模は以下のとおりです。

サービス系分野の BtoC-EC の市場規模(▲は減)
サービス系分野で市場規模がもっとも大きかったのは、昨年に引き続き旅行サービスとなり、前年比+10.32%の3兆5,249億円です。増加率では金融サービスが前年比+16.59%と2023年の増加率をさらに上回る成長を見せています。
旅行サービスのカテゴリは、旅行代理店への申込や航空機利用、バス利用、ホテルや旅館の宿泊費で構成されます(ビジネスユースである出張は除外)。国内旅行については2023年にコロナ禍前の約9割まで回復し、2024年もその規模を維持したとみられます。海外旅行については着実な回復を見せつつも、円安や物価上昇の影響によりコロナ禍前の水準には達していません。
オンライン旅行市場をみてみると、スマホ普及・コロナ禍の影響により旅行事業者によるオンラインサービスの提供は当たり前となり、予約経路もオンラインが主流になりつつあります。そんな中、対面サービスの価値を見つめ直す動きが現れ、対面サービスとオンラインサービスを適切に使い分ける例も広まっています。また、今後はSNSやAIを活用した先進的サービスの提供が、市場獲得競争の争点となるでしょう。
金融サービスは、株式市場の好調を背景にオンライン取引の活性化などにより昨年を上回り大きく増加を見せています。
飲食サービス及びチケット販売は、2020年~2021年にかけてコロナ禍の影響により大きく市場規模が落ち込みましたが、2023年にはコロナ禍前の2019年を上回り回復を見せ、2024年も堅調に増加しました。
一方、フードデリバリーサービスはコロナ禍脱却後の実店舗回帰の影響により、市場規模が減少に転じています。
デジタル系分野の市場規模
デジタル系分野の市場規模は、前年の2兆6,506億円から270億円増加の2兆6,776億円(前年比+1.02%)です。
デジタル系分野の業種別の市場規模は以下のとおりです。

デジタル系分野の BtoC-EC 市場規模(▲は減)
市場規模がもっとも大きいのはオンラインゲームで1兆2,553億円ですが、前年比-0.58%となり、2022年から前年比マイナスが続いています。一方、市場が堅調に拡大しているのは有料音楽配信(前年比+5.84%)、有料動画配信(前年比+3.31%)です。
有料音楽配信は、月額等一定期間の定額制で好きなだけ楽しめるサブスクリプション型配信サービスが市場拡大に寄与していると考えられます。日本レコード協会による2024年年間音楽配信売り上げ実績は、サブスクリプションと広告収入をあわせたストリーミングの売上が前年107%の1,132億円と成長を続けており、音楽配信年間売上全体におけるシェアは91.8%まで拡大しています。一方、ダウンロードは前年の93%と縮小傾向です。
有料動画配信については伸び率がやや鈍化していますが、有料音楽同様にサブスクリプションサービスの拡大が市場拡大の後押しとなり、市場は堅調に増加しています。
巣ごもり需要により2020年、2021年と市場が大きく拡大した電子出版は、2022年、2023年の伸び率は鈍化、続く2024年の市場規模も6,722億円(前年比+0.58%)のほぼ横ばいです。しかし、市場規模は前年に引き続き最高記録を更新しています。
電子出版の市場をけん引する電子コミックは、電子書籍市場においてシェア9割に達しました。一方、電子コミックを提供するサービスやアプリが多数リリースされており飽和状態とも言え、ユーザー獲得が困難な状況になりつつあります。そのようななか、独占・選考配信やオリジナル作品などのコンテンツの強化や海外向け展開、NFTの付与など、付加価値を高めて差別化を図る事例も現れています。
BtoC-ECに関連するトピック
国内のBtoC-EC市場に関連するトピックをみていきましょう。
実店舗の位置付け・役割の変化
これまでも実店舗とEC店舗の最適な融合が模索されていましたが、コロナ禍を機に実店舗の存在意義を再考し、消費者の行動変化に対応する動きが見られました。さらに、2023年以降の実店舗回帰傾向も落ち着きを見せてきたことからも、ECと実店舗を融合させる取り組みが定着しつつあります。
具体的なECと実店舗の融合の取り組みとしては、以下が挙げられます。
オンライン接客
オンライン接客とは、インターネットを介して双方向のコミュニケーションを取る接客方法です。効果や特性の分かりづらい商品で、専門性を有するスタッフによるオンライン接客は有益な手段となり、アパレル販売や化粧品販売を中心に広がりを見せています。さらに、近年は家具や家電、食品といった業種でも導入が進んでいます。
また、実店舗のスタッフに対しても貢献相応分のインセンティブを支払うといった実績管理の仕組みが整備されているケースも見られます。
ショールーミング化店舗
ショールーミングとは、実店舗で現物をチェックしECで購入する消費者行動です。実店舗側からはネガティブな印象を抱かれやすい行動ですが、コロナ禍を機に消費者ニーズに即した販売スタイルとして取り入れる店舗が増えています。
たとえば、実店舗に試着用商品のみを置いて在庫を保有しないことにより、省スペースで運営できるというメリットも生まれます。また、店頭で収集した消費者データを、商品開発に活用したりECでの売上拡大につなげるケースも増えています。
EC 購入商品の店舗受け取り
ECで購入した商品を店舗で受け取るサービスは「BOPIS:Buy Online Pick-up In Store」と呼ばれ、消費者は送料の負担がなく、自分のタイミングで受け取れる、受け取り時に試着や返品ができるといったメリットから、アメリカなどで浸透しています。
日本では消費者が自宅配送を望む傾向からあまり浸透していませんが、衣料品に関しては試着や返品・交換が可能な点で通常のECとの差別化が見込めることから利用率が高い傾向があります。企業側にとっても、物流コストを圧縮できる、ECから実店舗に送客できるといったメリットがあることから、今後の展開が期待されます。
物流コスト上昇への対応
EC市場拡大にともない、宅配便取扱個数も増加しています。国土交通省の発表する宅配便取扱個数の推移は以下のとおりです。

年度別宅配便取扱個数の推移 (単位:億個)
2023年度は2022年度とほぼ横ばいの上昇とはいえ、2009年度の31億3,700万個に比較すると上昇率は約60%となっています。
一方、宅配大手3社の宅配便取扱個数の推移は以下のとおりです。

宅配大手 3 社の宅配便取扱個数 (単位:億個)
大手3社の宅配便取扱個数は、2023年の46.4億個に対して2024年は46.9億個と、2022年から横ばいの推移となっています。
EC市場の堅調な推移というプラス要素がある一方、消費者の実店舗回帰による宅配需要の弱含み、物価の高騰、DtoCでのメーカー自身による配送などのマイナス要素が均衡していることから、このような傾向になっていると考えられます。
また、2024年はトラックドライバーの残業規制などの強化により輸送力が不足する「2024年問題」も大きく懸念されました。しかし、2025年2月までの段階では、規制による物流関係の大きな事故や混乱は発生していません。その要因としては、運送事業者だけでなくEC事業者などの荷主が輸送網の集約や共同配送の構築、混載便サービスの拡大といった物流効率化のための努力をしたことが考えられます。
とはいえ、2024年問題は2024年だけの問題ではなく、今後も留意が必要です。EC事業者は、2024年問題や物価高騰などを機にした輸送価格改定による物流コスト上昇への対応に迫られています。配送方法の見直しや送料改定、送料無料バーの引き上げなどでの物流コスト上昇分の転嫁・相殺の対応は、今後も継続的に行う必要があるでしょう。
万全な情報セキュリティ対策
ECでの購入に対してセキュリティ面の不安を抱くユーザーは多いものです。ユーザーが安心して取引できるように、万全の情報セキュリティ対策を講じることは欠かせません。
以下グラフは、インターネット利用に対して「不安を感じる」「どちらかといえば不安を感じる」の回答の内容を示したものです。

インターネット利用における不安の内容(複数回答)
特に、個人情報やインターネット利用履歴の漏洩に不安を感じる人が9割近いことが分かります。氏名や住所、電話番号といった情報の漏洩は、クレジットカードの不正利用につながりかねない重要な問題です。
実際、EC市場の拡大にともない、クレジットカードの不正利用の発生数も増加傾向にあります。ECではクレジットカードを決済として利用する機会が多いことからも、不正利用の件数の増加が前述のインターネット利用の不安結果に反映されていると考えられます。
こうしたなか、一般社団法人日本クレジット協会を中心に設立された「クレジット取引セキュリティ対策協議会」は、2020 年 3 月に「クレジットカード・セキュリティガイドライン」を取りまとめました。2024年には最新改訂版が発表され、関係事業者ごとに講じるべき具体的な対策などが示されています。
スマートフォンへの対応
2023年における世帯当たりのスマートフォン普及率は90.6%となり、EC取引においてもスマートフォン経由での取引額が増加傾向にあります。以下は、スマートフォン経由の物販分野のBtoC-EC市場規模です。

BtoC-EC(物販)におけるスマートフォン経由の市場規模
スマートフォン経由の市場規模は2023年から7,723億円増加の9兆3,904億円(前年比+9.0%)、スマートフォン比率も2023年の58.7%から2024年は61.7%と拡大傾向にあります。また、過去数年のスマートフォン経由の市場規模の推移は以下のとおりです。

スマートフォン経由の物販の BtoC-EC市場規模の推移
2016年は31.9%であったのに対し、2024年には61.7%と急成長を続けているのが分かります。一方、スマートフォンの普及とは相対的にパソコンの保有率は減少傾向にあり、EC市場でもパソコンからスマートフォンへの移行が継続的に進んでいるのです。
スマートフォン経由利用がパソコン経由と異なる特徴として、事業者がスマホアプリとしてサービスを提供できる点にあります。スマホアプリでは、プッシュ通知機能を用いて利用者に対してコミュニケーションを図れ、利用者側も通知を見てすぐにサービスを利用することが可能です。このように、スマホアプリは利用者の利便性が高く、企業側にとっても関係性を築く手法として期待できます。
スマートフォン経由のEC利用率は今後も増加すると見込まれており、今後もスマートフォン経由の導線をいかに確保するかが重要なポイントです。スマホカメラや決済の活用だけでなく、最近は動画再生機能やSNS連携といった新たなEC体験を提供する企業も現れています。また、各スマホアプリの仕組みや、スマートフォンから見た商品の見え方、効果的な広告の打ち方なども研究していくことが求められるでしょう。
SNSの活用
LINE、X(旧Twitter)、InstagramなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は各年代層での利用が広がっています。以下は、総務省の「令和6年通信利用動向調査」によるSNS利用状況のグラフです。

SNSの利用状況(出典:総務省「令和6年通信利用動向調査」)
SNSの利用率は全体で81.9%(前年比+1.1%)となり、もっとも利用率が高いのが20~29歳の95.0%です。しかし、70~79歳66.0%、80歳以上51.3%、6~12歳でも40.9%と幅広い年齢層で利用されていることが分かります。
ユーザーが買い物する際の情報源としてSNSの活用は定着化しており、実際、InstagramやTikTokではEC機能を備えているなど、ECとの連携が進んでいます。今後もSNSの利用率は高水準で推移すると考えており、EC事業の展開にはSNSを活かしたマーケティングが欠かせないでしょう。
ただし、SNSはサービスによって特徴や利用者層が大きく異なります。視覚的効果を狙いやすいInstagramや拡散力の強いXなど、各SNSの特徴などを理解しターゲットや商品に合わせてECでの戦略を立てていくようにしましょう。
CtoC-ECの市場規模

CtoC-EC 推定市場規模
2024年のCtoC-EC市場規模は、2023年の2兆4,817億円から2兆5,269億円(前年比+1.82%)と拡大を続けています。
CtoC-EC(個人間の電子商取引)はフリマアプリとネットオークションの売上をもとに推計され、市場規模の主導となるのはフリマアプリ市場です。フリマアプリは2012年ごろから登場し、市場規模が急激に拡大、今度も市場の拡大が見込まれています。
ただし、CtoC取引は単純な個人間にとどまらず、実際にはBtoB、BtoCの取引も含まれています。上記市場規模にもそれらが含まれている点には注意しましょう。
CtoC-ECに関連するトピック
CtoC-ECに関連するトピックをみていきましょう。
国内リユース市場
CtoC-EC市場は中古品販売、いわゆるリユース市場の一形態ともいえるため、リユース市場の現状を押さえておくことも大切です。
国内リユース市場には、CtoC-EC市場や実店舗及びECのBtoC 中古品売買市場などが含まれ、その市場規模は2024年には3.1兆円となり、さらに2030年には4兆円規模に達すると見込まれています。
リユース市場は、コロナ禍を契機として家の整理に伴う出品が増加した一方、実店舗の需要が減少したことから2022年以降の伸び率はやや鈍化しているものの、市場拡大が続いています。その要因としては、2022年から2023年にかけては店舗需要の回復やインバンド需要の増加、2023年から2024年にかけては節約志向や環境課題に対する個人の意識の高まり、インバンド需要によるブランド品市場の拡大などが挙げられます。また、Z世代を中心に、リユース品に対する抵抗感の薄れや再販価値を意識した購買行動の増加なども加わり、今後も国内リユース市場は拡大すると見られます。
一次流通と二次流通の連携拡大
二次流通市場は、一次流通によって製造・販売された製品が消費者によって流入することによって市場が形成されます。一方、一次流通事業者側から見れば二次流通市場は一次流通を侵食する敵対関係のように見られることもあるのです。
しかし、近年は二次流通を入り口にブランドの認知が広まる、二次流通のために新品が購入されるといった新たな需要が生まれるといった考えから、一次流通事業者と二次流通事業者との連携の動きが見られます。
たとえば、二次流通事業者と一次流通事業者が利用者のデータを連携し、一次流通事業者は二次流通されることを前提に値付けや販売戦略を立てる、二次流通事業者は一次流通事業者の商品カタログなどをもとに出品時の商品情報入力を省けるようにし出品を促すといったケースです。
このような一次流通事業者と二次流通事業者の連携は拡大が予測され、双方の市場規模の拡大が期待されています。
取引環境の整備の取り組み
- CtoC-ECでは偽ブランドなど不適切な出品が社会問題となるケースもあります。2024年には購入者が破損などを理由に返品を求め、出品された商品とは別の商品が返送されるといった事例も話題となりました。
そのような背景から、CtoC-ECのプラットフォーム事業者は、安心・安全な取引環境の提供や不正出品防止、顧客サポート体制の強化、補償拡大などに取り組んでいます。たとえば、ITを駆使した出品時の監視機能や真贋鑑定サービス事業者との連携、出品基準やルールなどの厳格化が挙げられます。
また、今後はプラットフォーム事業者によるガイドライン策定やユーザー間の返品トラブルへの関与の強化、AIを活用した不正行為検知システムの構築なども行われていくと見られます。
このような安心・安全な取引ができる環境の整備が進められることで、トラブルを懸念する消費者の参入を促すことにつながり、さらなる市場拡大が期待されているのです。
BtoB-ECの市場規模
2024年のBtoB-EC市場規模は、514兆4,069億円(前年比+10.6%)です。また、「その他」業種を除くEC化率は前年から3.1ポイント増の43.1%となっています。

BtoB-EC 市場規模の推移
財務省の法人企業統計によると、多くの業種でBtoBの商取引市場規模が拡大しており、結果としてBtoB-EC市場規模の拡大につながっています。
BtoB-ECに関連するトピック
BtoB-ECに関連するトピックをみていきましょう。
IP網化にともなうINSネットの廃止によるBtoB-ECの変化
2024年1月のINSネットサービス終了にともない、同サービスをインフラとするEDIの仕組みはインターネットEDIへの移行が進んでいます。
全国の固定電話をつなぐNTTの固定電話網(PSTN)は契約数の減少や設備が2025年に維持限界を迎えるといった理由からIP網への移行が進められ、2024年12月に全ての移行が完了したことが発表されています。各事業においてはINSネットの代替として、新しいデジタル通信モードや通信プロトコルの導入、業務プロセスや情報の送受信方法の見直しが求められます。
適格請求書等保存方式(インボイス制度)への対応
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2023年10月からスタートした適格請求書等保存方式(インボイス制度)への課税事業者側の対応が進んでいます。
2024年9月に公表された調査によると8割近くの企業で対応済みという状況であり、そのうちシステムで対応しているのは全体の49.6%、システムを利用せずに対応しているのが28.6%です。一方、7割以上の経理担当者が業務負担の増加などに課題を感じています。業務負担の増加に対応するために、各企業でシステムの導入や業務フローの改善が期待されるでしょう。
越境EC市場規模
越境ECとは、国境を超えたEC取引のことです。たとえば、海外のECサイトから商品を購入する、反対に日本や相手国のECサイトで海外向けに商品を販売するといった方法があります。
以下は、予測を含む世界のBtoC-EC市場規模です。

世界のBtoC-EC 市場規模(単位:兆 US ドル)
世界のBtoC-EC市場規模は、2024年で6.09兆米ドル、EC化率は20.1%と推計されており、2028年には8.09兆米ドル(EC化率22.9%)まで上昇すると予測されています。国別のEC市場シェア率は以下のとおりです。

2024年国別 EC 市場シェア
中国が50.4%と大半を占め、次いで米国(19.6%)、英国(3.6%)となっています。日本も4位につけていますがシェア率は2.8%にとどまり、中国や米国には遠く及びません。反面、中国や米国などの大きな市場規模のシェアを取りにいくことでビジネスチャンスを広げる可能性があると言えます。
「インバンド対応ECについて知りたい」「ECをサポートしてもらいたい」などインバンド対応のECについてお悩みの方はこちらの資料をご覧ください。
世界の越境EC市場は、2024年時点で1.01兆米ドルと推計され、2034年には6.72兆米ドルまで拡大すると予測されています。2025年から2034年の平均成長率は約23.1%と推計されており、市場規模の拡大が期待されているのです。
越境ECが拡大する背景として、消費者目線では、越境ECの認知度向上や自国にない商品や限定品への取得欲求、自国より安価で信頼性の高い商品の存在、決済手段の多様化などが挙げられます。事業者目線で見れば、ターゲットを拡大しようと積極的にマーケティングを行う事業者の増加や物流レベルの向上、AIを活用した自動翻訳といったシステムの普及などが挙げられるでしょう。
越境ECは国を超えてグローバルに展開できるので市場規模が格段に広がります。人口減少により市場規模が縮小する恐れのある日本だけでなく、海外も視野に入れたEC運営を行うことで、ビジネスチャンスが広がる可能性があると言えます。
越境ECについて詳しく知りたい方は、こちらの資料をご覧ください。
今後も拡大が見込まれているEC市場でビジネスチャンスを広げよう
ここまで、経済産業省による令和6年度 電子商取引に関する市場調査報告書をもとに、BtoC、CtoC、BtoBのEC市場規模の現状やポイントなどをお伝えしました。コロナ禍を機に急拡大したEC市場は、2022年以降上昇が緩やかになりつつも2024年も堅調に拡大しています。
すでにECに取り組んでいる方やこれから取り組んでいきたいと考えている方は、本記事を今後のEC運営の参考にしてください。
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