Web広告運用のポイントとは?内製と外部委託それぞれのメリット
比較的低コストで始められてレスポンスが把握しやすいことから、多くの企業で活用されているWeb広告。その運用は、社内で行うか、専門業者に委託するかに分かれます。では、これからWeb広告を始める場合はどちらを選択すべきなのでしょうか。今回は、Web広告の基礎知識から運用するのに必要なスキルやコツ、内製と外部委託のメリット、デメリットを見つつ、効果的なWeb広告運用のポイントをお伝えします。
Web広告とは?
Web広告とは、インターネットを利用するユーザーに向け表示される広告です。テレビや新聞などのマス広告が原則として広告会社を通して固定の広告枠を買い付けるのに対し、Web広告では予算や配信対象、配信期間、配信方法を選択し、自分たちで取り回していくこと、つまり運用が可能です。Web広告の市場は右肩上がりの成長を続けており、2019年には総売上が初めて2兆円を突破し、テレビメディア広告を超えました。Web広告には運用型広告と非運用型広告がありますが、今では全体の約8割を運用型広告が占めています(2019年日本の広告費/電通)。
Web広告の課金形態
Web広告には、期間を決めて広告を掲載する広告枠の買取りのほか、次のようなものがあります。
インプレッション課金
広告が「表示された回数」によって課金。一般的には1,000回表示当たりの課金です。
クリック課金
広告が「クリックされた回数」によって課金。1クリック当たりの課金額を自分で設定します。
成果報酬型課金
購入や資料請求など、あらかじめ決めた目的が達成された回数によって課金。主にアフィリエイト広告の課金形態です。
その他、動画広告であれば再生回数が、SNS広告ではエンゲージメント数(シェア、フォロー、クリック回数)も課金の対象となります。
Web広告のメリット
Web広告には次のような長所があります。
- ターゲットが絞りやすい
- 効果測定がしやすい
- 掲載途中で設定やクリエイティブの変更、改善が可能(運用ができる)
- 低コストで始められる
こういった特長によってWeb広告の市場は急成長を果たしました。また、これらはWeb広告をより手軽に、効果的にするために発展してきたアドテクノロジー(インターネット広告における技術)によって実現したものですが、その技術は現在も進化を続けています。
Web広告の種類
Web広告を運用することは、広告の配信先や配信内容(クリエイティブ)、掲載金額(入札単価)などを変動させながら、費用対効果の最適化を目指すことです。運用型広告とは、このような発注・出稿方式を取るWeb広告のジャンルを指します。一方で、特定の広告枠を購入し、同じ内容のWeb広告を掲出し続ける広告のジャンルが非運用型広告です。
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Web広告の費用対効果を上げる施策についてこちらのコラムで詳しく解説しています
費用対効果とは?その意味や計算方法、Web広告における4つの向上施策も解説
以下では、さまざまな種類があるWeb広告の中から運用型広告と非運用型広告の代表的なものを紹介します。
運用型広告
・検索連動型(リスティング)広告
キーワードに広告を結び付け、ユーザーがそのキーワードで検索すると検索結果ページに表示される広告
・追跡型(リターゲティング)広告
過去に広告主のサイトを訪問したユーザーが、別サイト(提携したサイト)を見ると表示される広告
・ディスプレイ広告
Webサイトやアプリの広告枠に画像、動画、テキストなどを配信する広告。属性や関心によるターゲティングが可能。複数のメディアの広告枠をネットワークしたアドネットワーク経由で買い付けることが多い
・SNS広告
Facebook、Twitter、Instagram、LINEといったSNSのプラットフォームに配信する広告
非運用型広告
・純広告
特定の媒体の広告枠を買い取ってそこに表示させる広告
・アフィリエイト広告
個人や企業が自分のWebサイトやブログに掲載する成果報酬型の広告
・タイアップ記事広告
相性の良いWebメディアと協力し、そのコンテンツの形で情報を提供する広告
上記に挙げた以外にも、Web広告にはさまざまな種類があります。Web広告についてさらに詳しく知りたい方は、以下のコラムや無料eBookをご活用ください。
Web広告の運用とは?
前述のように、Web広告の運用とは広告を出している期間中に広告枠や予算やターゲット、広告クリエイティブの改善を行うことを言います。
多くの運用型広告では、掲載枠の優先順位がオークションによって決まります。運用型広告を始めるには、そのオークションに入札する金額や配信地域、配信期間、ターゲットを自分で設定します。担当者は、広告がスタートしたら、広告の掲載位置や表示回数、クリック率、広告を見てWebサイトを訪れた人の動きなどのデータを、モニタリングします。そしてそれらの設定を細かく調整して(運用して)、費用対効果を向上させ、高い成果が出るように、広告の精度を上げていきます。
こういった運用は内製(インハウス)※1で行うこともできますが、外部委託も可能です。内製と外部委託それぞれの特徴については、後ほど解説します。
※1 内製(インハウス):業務を外部の事業者に委託せずに、自社の組織や人員で運営すること
成功するWeb広告運用の4つのポイント
Web広告を運用する場合、成果を上げるためにはいくつか重要なポイントがありますが、そのなかでも必須なものとして次の4点が挙げられます。
1.広告の対象と目的を定める
運用型広告は、目標とする成果を効率良く上げるために行う取り組みです。では、目標とする成果とは何でしょうか? Web広告では自社の商品に対する認知・関心度によってユーザーを「低関心層」「潜在層」「顕在層」に分けて考え、ターゲットに向けた広告の目的を確認し、最適な広告の手法を選択します。
低関心層向け
自社の商品のジャンルに関心の薄い「低関心層」には、できるだけ幅広い層にリーチして印象を残し、認知を広げることが広告の目的となります。多くの人が集まるWebサイトの広告枠に掲載し、インパクトのあるデザインや内容で訴求できるディスプレイ広告が適しています。
潜在層向け
自社の商品のジャンルに関心はあるが自社商品の購入は考えていない「潜在層」には、対象ジャンルに関する情報を集めている層に対象を絞り、自社の存在をアピールすることが広告の目的となります。検索連動型広告のほか、同じ関心を持つ人が集まるサイトやブログの記事型の広告も有効です。
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潜在層向けのWeb広告については、こちらのコラムでも詳しく解説しています。
潜在層と顕在層の違いとは?潜在層に効果的なWeb広告とその手法を解説
顕在層向け
関心も知識もあり、情報収集や比較検討をしている「顕在層」には、自社の商品・サービスを「選んでもらう」ことが広告の目的です。検索連動型広告や追跡型広告が適しています。期間限定のキャンペーンやイベントといった背中を押す訴求が効果的です。
目的を定めることで、多くの人に見てもらうことを目指すのであれば「表示回数」を、検索連動型広告で自社サイトに誘導するならば「クリック数」を、というように運用の際に重視すべきKPI(目標の達成度を評価する指標)が明確になります。
2.モニタリング
モニタリングとは、広告の配信状況をチェックしてKPIの達成状況を確認することです。アクセスデータを何となく見てしまうことがないように、どのタイミングで何を確認するのか、どんな判断を下すのかを事前に決めておきましょう。
例えば、日次では各指標の前日比を見て異常値がないか確認する、週次ではその月のKPIまでの達成状況と前週対比を確認して、次週以降の改善施策を立案する、といった具合です。
3.分析
広告の成果を把握して次のアクションにつなげるためには、データの分析が重要です。アクセスデータを見ることで、運用によって各指標がどう推移したか、動きのあったキャンペーンは何かといった変化を読み取ります。ただし、数値の上下に一喜一憂するのではなく、「なぜそうなったのか?」という変化の要因と課題を明らかにすることで、次の改善策につなげる必要があります。その際、アクセスデータは運用に左右されるだけでなく、競合や社会の動向、天候などからも影響を受けるということも意識しておきましょう。
4.改善のための取り組み
分析を行って要因と課題が分かったら、改善施策を考えます。検索連動型広告で広告の表示回数を増やしたい場合は、キーワードを追加したり、入札単価を上げて表示順位を上げたりといった対策が考えられるでしょう。指標ごとの改善施策はさまざまに考えられますが、限られた予算や人手ですべての手を打つことはできません。その改善策によって出る効果を推定し、最も大きな効果が上がる施策から優先的に行います。
そして対策を行ったら、その成果を必ず検証し、次の課題を特定したらまた改善策を立てるというように、PDCAを回します。
Web広告運用に必要なスキル
Web広告を内製で運用すれば利益率は当然高くなります。ただし、Web広告やWebマーケティングの知識、経験がなければ、すぐに成果を上げるのは難しいと言えるでしょう。ここでは、Web広告を内製で成功させるために必要なスキルを紹介します。
Web広告に関する知識
Web広告の種類や課金方法に加え、Web広告の種類別メリット、デメリットも知っておく必要があります。検索連動広告のWebサイトの順位を確認、改善するためのGoogle サーチコンソールや、アクセスデータを取得し解析するためのGoogleアナリティクスといったツールが使えると、なおいいでしょう。
Webマーケティングに関する知識
より幅広いWebマーケティングの知識も必須です。自社のWebサイトやブログ、SNSの特徴や活用方法についての理解や、アクセスデータや分析指標に関する基礎知識は欠かせません。Web上での集客、顧客管理、成果創出の流れも把握します。特にSEO(検索エンジン最適化)の基本はしっかり押さえておきましょう。
ユーザーの行動や心理を把握、想定する力
Web広告で成果を上げるには、アクセスデータの数字を理解するだけではなく、そこからユーザーの行動や心理を把握、想定する力も必要です。ユーザーの行動が予測できれば、最適な広告の選定、キーワードの選択、広告クリエイティブの向上がしやすくなります。
内製と外部委託のメリット・デメリット
最後に、内製でWeb広告運用を行う場合、運用を外部に委託する場合、それぞれのメリットとデメリットを見ていきます。
内製のメリット
コスト低減
社内にWeb広告の知識、経験を持った社員がいる場合、外部委託にかかる費用がなくなるために広告予算を低減できます。外部とのやりとりにかかる時間も減って、業務効率が向上する可能性もあります。
運用のノウハウを蓄積できる
広告の予算配分、キーワードの選定、広告クリエイティブといった運用に関するノウハウが社内に蓄積でき、スタッフも成長できます。
内製のデメリット
専門知識を持った人材確保が必須
社内に専門知識を持った人材がいない場合、採用、育成にコストと時間がかかります。また、専門知識を持ったスタッフがいても、専門の業者に比べると最新情報の入手が難しかったり、新たなツールの活用に手間取ったりする可能性はあります。
外部委託のメリット
専門知識を持った人材の採用・育成コスト低減
自社で専門知識を持った人材を採用・育成するコスト・時間がかからないうえ、利用したいときだけ依頼する形も取れて、固定費削減につながります。
商品開発、サービス改善に集中できる
運用を外部に委託すれば、それに割く人手や時間を商品開発やサービス改善に充てることができます。その分、コンテンツ自体の質の向上が期待できます。
外部委託のデメリット
委託先の選定も手間と時間が必要
Web広告代行業者の数は多く、自社に最適な委託先を選定するのは意外に手間と時間がかかります。委託先を決めたあとも相手との意思疎通に手間取る場合があります。
このようにWeb広告の内製・外部委託には、ともにメリット・デメリットがあります。自社の状況とリソースを見きわめて選択をしましょう。
Web広告運用は自社のビジネスに合った選択を
Web広告はマス広告に比べ、低コストでの運用が可能です。さらに運用を内製で行えばよりコストを抑えられますが、成果を上げるためには、Web広告の知識や運用スキルを持った人材が必要です。そのため、人的なリソースや投資コストに見合う利益が得られるかといった視点から、内製にするか、外部委託にするかを検討して、自社のビジネスに合った選択をしましょう。
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