母集団形成とは?手法や成功のポイントを解説

「応募者が集まらない」「応募者はいるが、求める人材が見つからない」といったお悩みを抱える採用担当者は少なくありません。
質が高く適切な数の母集団を形成することで、応募者を増やし自社にマッチした人材を獲得できるようになります。この記事では、母集団形成の意味やメリット・具体的な流れや手法から成功のポイントまで分かりやすく解説します。
「採用の計画から立ててほしい」「採用サイトを作りたい」「SNSを活用した採用について知りたい」など、採用に課題をお持ちの方は、こちらの資料をご覧ください。
母集団形成とは?
採用活動においての「母集団」とは、自社に興味を持ち応募してくれる人(採用候補者)の集団です。よって、「母集団形成」とは、この応募者を獲得するための活動を指します。
採用活動では母集団の「量」と「質」が重要です。そもそも母集団の量が小さい=応募者が少ないと、採用の選択肢そのものが限られてしまいます。その結果、求める人材が獲得できないだけでなく、必要な人数の確保すら難しくなるケースも少なくありません。
また、ただ母集団の量が多ければいいわけではありません。応募者数が必要以上に多すぎると、採用プロセスが煩雑になり余計な手間やコストがかかります。さらに、応募者数が十分でも自社が求める人材が集まらなければ、「採用したい人がいない」「採用しても採用ミスマッチが起きてしまう」といった問題が起こりやすくなります。
理想的な母集団とは、自社が求める人材が適切な人数で揃っている状態です。このバランスが整っているほど、効率的で効果的な採用活動が実現できます。「量」と「質」のバランスを意識した母集団形成が、採用活動の成功において非常に重要となるのです。
母集団形成が重要視される背景
母集団形成が重要視される背景として、「人材獲得競争の激化」が挙げられます。
近年の採用市場は、少子高齢化の影響により売り手市場が続いています。総務省のデータによると、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、2050年には2021年から29.2%減少し5,275万人まで落ち込むと予測されています。
一方、有効求人倍率は2024年11月で1.25倍と、2014年以降一貫して1.0倍以上の高い水準を維持しています。こうした状況下で、企業が優秀な人材を確保するには、効率的な採用活動が欠かせません。応募者数を増やすだけでなく、自社が求める人材を集めることが求められます。
そのため、「質」と「量」のバランスが取れた母集団を形成することが、採用活動において重要視されるようになったのです。
母集団形成を行うメリット
母集団形成するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 採用活動の効率化
- 採用ミスマッチの防止
- 採用コストの削減
採用活動の効率化
母集団を形成することで応募人数を予測しやすくなり、採用活動を効率化できます。たとえば、内定者10人を目的とした場合、一次選考で50人、二次選考で30人というように採用プロセスごとの必要人数を逆算して計画を立てられます。これにより予算や選考に必要な時間も見極めやすくなり、無駄のない採用活動が行えるでしょう。
一方、母集団形成を行わずに採用をスタートすると応募人数の予測ができず、必要以上の応募数で手間が増えたり、逆に応募者不足でコストが増えるリスクがあります。仮に、想定人数と異なっていたとしても、母集団形成によって早い段階で計画を見直せる点も大きなメリットです。
採用ミスマッチの防止
採用ミスマッチを防ぐには、求職者に十分な情報を提供し企業や働き方を理解したうえで応募してもらうことが必要です。母集団を形成する時点で質を意識してアプローチすることで、採用ミスマッチを防止しやすくなります。また、採用ミスマッチが減少することで定着率アップや採用コストが無駄にならないなどのメリットにもつながってくるでしょう。
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採用ミスマッチについて、詳しくは以下のコラムでご覧いただけます。
採用ミスマッチとは?原因から対策まで徹底解説!
採用コストの削減
応募者が集まらなければ採用が長期化し採用コストもアップします。反対に、必要以上に集まり過ぎてもプロセスに時間がかかりすぎてコスト増加につながりかねません。また、自社に合わない人材を採用しても早期で離職されれば、それまでのコストが無駄になります。
母集団形成を行うことで、適切な人数と質の高い応募者を集め、これらの無駄なコストを抑えられます。さらに、採用ミスマッチが減ることで、離職による再雇用のコストも軽減され、全体的な採用費の最適化が期待できます。
母集団形成の流れ
母集団形成の基本的な流れは以下の通りです。
- 採用目的を明確にする
- ターゲットの設定
- 採用人数の決定
- 手法の決定
- 採用スケジュールの決定
- 実施・改善
採用目的を明確にする
採用目的によって適切な採用方法は異なります。たとえば、退職による欠員補充なら中途採用、将来活躍する人材を育成するなら新卒採用というように採用方法は異なってきます。まずは、現状の課題を洗い出し、採用目的を明確にしましょう。
ターゲットの設定
質の高い母集団を形成するには、求める人材を明確にすることが重要です。現在活躍している社員や将来必要な人材像をもとに、具体的なターゲットを設定します。また、現場の意見を取り入れることも、より自社に適した人材の確保につながるでしょう。
採用人数の決定
過去の採用実績や事業計画を参考に、必要な採用人数を決定します。この際、最終的な採用人数だけでなく、採用プロセスごとの段階で必要な応募者数も割り出しておくと良いでしょう。
手法の決定
ターゲットに最適な手法を選びます。手法には、SNSや求人サイト、イベントなどがあります。具体的な手法については後ほど詳しく解説します。
採用スケジュールの決定
いつまでに人材が必要かを確認し、逆算してスケジュールを立てます。とくに、新卒採用は例年同じ時期に一斉にスタートするので、他社に遅れてしまうと優秀な人材の確保が難しくなります。余裕を持ったスケジュールを作成することが大切です。
実施・改善
実際に採用活動をスタートし、応募者の状況を定期的にチェックして改善を図ります。特にSNSなどを活用している場合は、ツールごとの効果を分析しましょう。結果を分析して課題を特定し、適宜改善していくことで、求める母集団形成につながっていきます。
母集団形成の手法
自社に適した母集団を形成するには、適切な手法を選ぶことが重要です。ここでは、母集団形成の代表的な手法をいくつか紹介します。
求人サイト・情報誌
就職サイトや転職サイト、紙媒体の求人情報誌などを活用する方法です。多くの求職者にアプローチでき、自社で運用する手間を削減できます。ただし、発信情報には媒体ごとに制限があるため、自社の魅力を十分にアピールしにくく競合に埋もれてしまいやすくなります。また、広告費用などのコストもかかるため、費用対効果を十分に検討することが大切です。
人材紹介サービス
人材紹介会社であれば、自社が求める条件にマッチした人材を紹介してくれるので、効率的な母集団の形成・人材の確保が可能です。しかし、人材紹介サービスは成功報酬型であるため、費用も高額になりがちな点に注意が必要です。
SNS
近年採用で主流になりつつあるのがSNSの活用です。InstagramやX(旧Twitter)、Facebookなどを活用して企業の魅力を発信することで、就職顕在層だけでなくまだ求職活動をしていない潜在層にもアプローチが可能です。
SNSサービスの多くが無料で利用できるので、軌道に乗れば採用コストの削減にもつながります。 しかし、成果が出るまでには時間がかかることが多く、魅力的なコンテンツを継続的に発信するにはリソースやスキルも必要になります。自社で対応が難しい場合は、プロへの相談も検討するとよいでしょう。
採用オウンドメディア
自社の採用サイトやブログなど、自社運営のWeb媒体を活用する方法です。他社媒体のように発信する情報に制限がないため、目的に合わせて自社の魅力を十分にアピールでき、質の高い母集団の形成が期待できます。
しかし、採用オウンドメディアは短期的な効果が見えにくく、初期費用などのコストが高額になるケースもあるので注意が必要です。
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採用オウンドメディアについて、詳しくは以下のコラムでご覧いただけます。
オウンドメディアリクルーティングとは?注目される背景やメリット・デメリットを解説
リファラル採用
社員や取引企業から人材を紹介してもらう手法をリファラル採用といいます。
すでに自社で活躍している社員による紹介なので、自社について理解を深めているケースが多く、求める人材の獲得や入社後の定着率向上が期待できます。
しかし、社員経由での募集となるため大きな母集団は形成しにくくなります。また、普段から社員が紹介したいと思えるような、魅力的な職場環境を作っていくことが大切です。
採用イベント
合同説明会や学内説明会、自社の説明会などを利用して母集団形成を行う方法もあります。複数の企業が集まる合同説明会であれば、自社を知らない層にもアプローチできますが、短い時間のなかで効果的にアピールするための工夫が求められるでしょう。
一方、自社説明会では、自社の魅力を十分アピールできるものの、認知度が低いと参加者を集めるのが難しく、専門的なノウハウも必要です。また、オンライン説明会や採用動画の活用は、より多くの人にアプローチできる手法として、近年取り入れる企業が増えています。
母集団形成を成功させるポイント
母集団形成を成功させるには、以下のポイントを意識することが大切です。
- 全社を巻き込んで取り組む
- 求める母集団に適した手法を活用する
- 方針に一貫性を持たせる
全社を巻き込んで取り組む
母集団形成時に企業の魅力を発信する際には、採用担当部門だけでなく全社の協力が欠かせません。経営陣や現場社員が発信に参加することで、より求職者の理解を深められます。
また、必要な人材や選考基準などは現場のニーズに基づいて設定することも大切です。全社を巻き込むことで、質の良い母集団の形成につながっていくでしょう。
求める母集団に適した手法を活用する
求めるターゲットに的確にアプローチできる手法を選ぶことで、効率よく母集団形成ができます。SNSと求人サイトを併用するなど、複数の手法を組み合わせて運用するのも効果的でしょう。自社に合った運用方法を実施・改善しながら見つけていくことが重要です。
方針に一貫性を持たせる
採用方針に一貫性がないと、情報を受け取る求職者も混乱し求める人材とは違う母集団が形成される恐れがあります。とくに、複数の媒体を組み合わせる場合は、媒体ごとに発信内容が異なると求職者も離れやすくなるので注意が必要です。計画段階で求める人材や方針、コンセプトを明確にし、一貫性のある採用活動を行うようにしましょう。
自社に適した母集団形成で採用効率をアップさせよう
自社に合った質と量の母集団を形成することで、応募数アップや自社にマッチした人材の獲得が可能になります。母集団形成時にはターゲットや目的を明確にし、適切な手法でアプローチしていくことが大切です。SNS採用やオウンドメディアなど、ターゲットに適した手法で母集団を形成し、効率的な採用活動を行っていきましょう。
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