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デジタルマーケティングの導入を阻む“無知の壁”。経営層はこう説得せよ!〜宗像淳氏【後編】

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WEB集客

2020.08.11


デジタルマーケティングの賢者たち(4)宗像 淳氏【後編】

グローバル化、マーケティングツールの多様化、コロナショックの打撃―。BtoBマーケティングは激動の時代を迎え、「マーケティング・営業手法の見直し方が分からない…」と悩む、企業のご担当者様も多いはずです。

前回のインタビューでは、「BtoBマーケの理想形」「コロナ後に有効な手法」などを伺いました。後編の今回は、TOPPANクロレ デジタルマーケティング営業部の鈴木暁雄(すずきあきお)が、コンテンツマーケティングの第一人者である宗像淳(むなかたすなお)氏に、「いざデジタルマーケティングを自社へ導入するときのコツやポイント、成功例」を聞きました。(全2回の後編です。前編はこちら。)

 

新手法を導入したいときは、「役員の耳元でささやく」べし

鈴木:海外に比べて、日本はデジタルマーケティングの導入が遅れています。その障壁とは何なのでしょうか。

宗像氏:大半はトップ層に理解が得られていないことだと思います。人は自分の知らない領域に、財布を開こうと思わないですからね。だからこそマーケ担当者は、役員をその気にさせる努力が必要でしょう。一例ですが、飲み会のたびに役員の耳元で「このツール・サービスが良いんです」とささやき続けたという知人がいました(笑)すると役員のなかで優先度が上がり、導入へこぎ着けたケースもあります。

鈴木:囁くのは大事ですよね。ぼくも役員にこっそりメールを送るのはよくやります。

宗像氏:役員からするとそういう提案をあげてくる社員は喜ばしいものです。ありがたがられていると思います。

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宗像淳氏
株式会社イノーバ
代表取締役

また、今は「石橋をたたいて渡る」企業が多いんですよ。昔は“実験予算”という言葉もあったくらいで、本来有用なものにはもっと投資すべきなんです。そのときマーケターに求められるのは、経営層に対して「この予算は仕込みのためにあって、中長期的にこれくらい成果を出せます」とビジョンを提示できるかどうか。実際、私を含め上層部は「今月カネを使えば来月成果が出る」と思いがちです。

だからこそマーケターは経営層に対して、結果が出るまでに時間がかかるのを前提にデジタルマーケティングの有用性を伝え、新しい手法を導入した先の未来図を共有することが大事ですね。

 

ちょっと無理して“スモールスタート”するのが、成功の秘けつ

 

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鈴木暁雄
TOPPANクロレ株式会社
デジタルマーケティング営業部

鈴木:いざ新しいマーケティング手法を導入するとき、どのように始めるのが最適なのでしょうか。

宗像氏:私は「導入すること」より「導入したあと」が大事だと思っているんですね。

例えばMA・SFAを検討するときにありがちなのが、業務フローの洗い出しなどに時間が費やされ、結局導入につながらないことです。まずは小規模で良いので導入してみて、使っていく中で最適化すればいいと考えています。使ってみることで、「こんな商談を分析したい」「インサイドセールスから営業にこんな申し送りをしたい」といった課題も見えてくるものですから。

まずはスモールスタートでやってみる。そして、「メルマガ配信と合わせてキャンペーン管理もしたい」「顧客のスコアリング項目をカスタマイズしたい」といった理想の運用を実現するために意見を集約して、足りないものを少しずつ追加・強化していくのがいいと思います。

 

ホームページで語るべきは商品スペックではなく、“課題解決”の道筋

鈴木:BtoB企業でデジタルマーケティングの手法を取り入れ、成功している事例はありますか。

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宗像氏:以前、クライアントから「ホームページを見直したい」と依頼をいただいたとき、参考にしたサイトがあります。それは、とある海外の機械メーカーの企業ホームページです。

一般的にホームページは自社商品のスペックを語るものが多いですが、同社の場合は「どうすれば顧客が課題解決できるか」が最優先なんですね。例えば、業界別に商品を検索できたり、商品にどんなメリットがあるかを動画で確かめられたり。また、アフターサポートの中身も丁寧に伝えています。EC機能も備わっており、顧客にとっては“いたれりつくせり”で「もはや営業いらずでは?」と思えるほどです。


これまで日本では、「ホームページの活用に向いていない」と思い込んでいる業界がありました。そうした会社は工場見学や営業の説明頼みだったのですが、最近はどんどんWEBを活用する傾向にあります。営業が商談するときも、ホームページのムービーを見せながらの方がスムーズですからね。またECで売上をカバーできる分、営業はお客様に最新トレンドを伝えたり、アドバイスしたりといったことに注力できます。営業がコンサルタントとしての役割を持つようになれば、その企業のブランド価値も高まるはずです。

 

まとめ―マーケティングと営業が連携し、「オンライン×オフライン」で効果を最大化できる手法を探す

鈴木:コロナ以降、営業活動の“非対面化”が進んでいますが、企業はどう動いていくべきでしょうか。

宗像氏:最近はオンライン商談にも顧客のキーマンが参加するようになり、非対面化の浸透を肌で感じるようになりました。また個人的には、“営業のマーケター化”も進むと考えています。例えば、営業の持つ資料をホームページで展開したり、トップ営業をウェビナーに登壇させて集客したり。オンライン施策も今後増えていくでしょう。

とは言いつつも、オンラインに振り切るのではなく、大事なのは顧客に合わせてその都度最適な手法を選ぶことです。言いかえると、「オンラインとオフラインのかけ合わせ」。商品スペックのように資料で確認できるものはオンラインをベースに、コンペのように熱量や営業姿勢などが重要な場面は対面で、といったイメージですね。ただし、忘れてはいけないのが「顧客が何を欲しがっているか」という顧客の声・ニーズを把握することです。アプローチの手法がどれだけ良くても、中身が伴わない提案は選ばれませんよね。

つまり、マーケティングプロセス全体を通して、顧客のニーズを満たせているか、最適なアプローチ手法を取れているか確認するとともに、営業と連携して運用することが重要だと思います。

鈴木:弊社のデジタルマーケティング営業部でも、参考にさせていただきます。本日はありがとうございました。

kenja004-02_05※このインタビューはWEB会議で実施しました。

プロフィール
宗像 淳(むなかた すなお)氏
株式会社イノーバ 代表取締役 CEO

東京大学文学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(マーケティング専攻)。1998年に富士通に入社し、北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理などの業務を経験。MBA留学後、「インターネットビジネスを手がけたい」という思いから転職し、楽天で物流事業立ち上げ、ネクスパス(現トーチライト)で事業開発部長としてソーシャルメディアマーケティング立ち上げを担当。2011年6月にコンテンツマーケティング支援の株式会社イノーバを設立、代表取締役に就任。

鈴木 暁雄(すずき あきお)
TOPPANクロレ株式会社 マーケティングソリューション本部 デジタルマーケティング営業部 デジタルマーケティング営業グループ 主任

2012年TOPPANクロレ入社。商業印刷物全般、スペースメディア、キャンペーン、WEBマーケティングに従事した後、関連企業のデジタルマーケティング部署に出向。大手製菓メーカー、トイレタリーメーカーを担当。2019年4月よりTOPPANクロレのデジタルマーケティング営業部に所属。アカウントマネージャーとして、顧客の課題解決施策を企画・立案。また、プロジェクトマネージャーとして、社内外のメンバーを統率し数々のプロジェクトを推進中。

 

TOPPANクロレのデジタルマーケティング支援サービス

TOPPANクロレでは、WEBサイトやEC事業の構築・リニューアルも含めた幅広いデジタルマーケティング支援サービスを提供しています。お客様の課題や外部環境を踏まえた上で、企業(またはブランド)の強み・特長を、データに基づいて洞察、咀嚼/翻訳し、課題解決へ向けた戦略プランの設計から運用までをお手伝いしております。

TOPPANクロレが描くDX時代のマーケティング透視図のページでは、当社の「デジタルマーケティング支援サービス」の導入企業のご担当者様や、デジタルマーケティング界の識者の方々へのインタビューを通じて得られた「生の声」を掲載。ぜひお客様のマーケティング活動にお役立てください。

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