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“展示会”頼みのBtoBマーケティング脱却のために。今使うべき新手法とは?〜宗像淳氏【前編】

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WEB集客

2020.08.03


デジタルマーケティングの賢者たち(4)宗像淳氏【前編】

グローバル化の加速、マーケティングツールの多様化、コロナショックによる打撃――。 BtoBマーケティングの世界は、今まさに激動の時代を迎えています。「正直、どこからマーケティング手法・営業手法を変えればよいか分からない…」と悩む、企業のご担当者様も多いのではないでしょうか。

経営者やマーケターに向けたスペシャルインタビュー「デジタルマーケティングの賢者たち」では、お客様のマーケティング課題や事業課題に対して、TOPPANクロレが毎回さまざまなスペシャリストの方々から、ビジネスの成功に向けた金言を引き出しています。

今回登場するのは、コンテンツマーケティングの領域で260社以上の支援実績を誇る、株式会社イノーバ 代表取締役 宗像淳(むなかたすなお)氏です。聞き手はTOPPANクロレ デジタルマーケティング営業部の鈴木暁雄(すずきあきお)が務め、「BtoBマーケティングの理想形」「コロナ後に有効な手法」などをひもときます。マーケティング活動で迷った際、ふと立ち返る“手引き”になれば幸いです。(全2回の前編。後編に続きます。)

 

マーケティングは「人海戦術」から「オンライン戦略」へ

鈴木:ここ最近は時代が大きく動いていますが、BtoBマーケティングはどのように変化しているのでしょうか。

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宗像淳氏
株式会社イノーバ
代表取締役

宗像氏: ひと言で言えば、「オフライン中心」から「オフラインとオンラインの融合」に変わってきたと思います。

これまでBtoBの企業には、展示会という分かりやすいリード獲得の手段がありました。「マーケが名刺をもらったので、あとは営業が人海戦術で成約へ」というのが一般的な流れでしたよね。

ただ、ここ数年でMA(マーケティングオートメーション)ツールが発達して、名刺を有効活用できるようになりました。顧客情報を一括管理し、メルマガの配信やキャンペーンの案内といった形で定期的にリードに接触することが可能です。

メールマーケティングと呼ばれていますが、これにより実際に商談機会の創出ができるようになったことで、従来であれば営業の担っていた領域をマーケ担当者がカバーできるようになったのです。営業が唯一の顧客接点だった頃に比べて、商談までの流れがスムーズになったと言えますね。

さらには展示会だけでなく、WEB上でのリード獲得も積極的に行われるようになりました。例えば、ホームページ上のコラムから集客したり、オンラインの業界誌に記事を載せたりという手法です。

これまで日本はデジタルに懐疑的、つまり“会う”ことが至上でした。しかし、顧客がWEBで有益な情報を手に入れられ、気軽に問い合わせもするようになったことで、購買意欲の高いリードが生まれるようになりました。そこから、対面の営業とWEB集客の相乗効果を狙うようになっています。実際のところ、「最近どうですか?」とただ営業が訪問するのと、最新トレンドを学べるWEB上のセミナー。どちらが顧客に役立つかと言えば、答えは明白ですよね。

 

コロナは、マーケティング手法を見直す“転換期”でもある

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鈴木暁雄
TOPPANクロレ株式会社
デジタルマーケティング営業部

鈴木:コロナショックによって、BtoBマーケティングにはどんな変化がありそうですか。

宗像氏:海外では「2年間、展示会は無理だろう」とも言われているほど、世界的に大きな打撃を受けています。コロナ以前のマーケティング手法に戻れない可能性もあるでしょう。その点、日本ではコロナ後を見越して、今を“仕込み”の時期と捉える企業も多いようです。普段忙しくて考えられなかった分、今前向きに改革を進めています。

関心の矛先は、主にオフラインで効果のあった展示会の機能をオンラインでどうカバーするかですね。

展示会はマーケティングプロセスにおいて、リードの獲得や企業の認知度向上という役割を担っていました。それをカバーできる例として、メール経由でホワイトペーパー(有用な情報をまとめたお役立ち資料)を送ったり、ウェビナー(ウェブ上のセミナー)を案内したり。また、SEO対策コンテンツマーケティング(ホームページ上のコラムで有用な情報を発信する手法)で自社サイトへの流入を増やしたり。特にウェビナーは、弊社でも参加者がコロナ以前と比べると約7倍集まっており、有効な手段だと感じています。

そして、コロナで経営層の意識も変わってきています。海外ではもともと「売上の5%をマーケ費用に充てる」など、マーケティングに前向きです。しかし日本では「CMO(最高マーケティング責任者)不在」とも言われ、マーケティングに消極的な姿勢でした。ただオンライン施策に注目が集まる今、動きが加速するかもしれません

 

マーケティングのプロセス全体に、“営業”の知見を織り込もう

鈴木:これからの時代、BtoBマーケティングの“理想のあり方”とはどのようなものでしょうか。

宗像氏:私が思うデジタルマーケティングの必須要素は、「マーケティングプロセスの策定」「リード管理」「リソースの最適配分」です。実はその3つが、「The Model(ザ・モデル)」という理論に理想形としてまとめられています。

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「The Model」は、成約までのプロセスを「マーケティング」→「インサイドセールス」→「フィールドセールス(営業)」→「カスタマーサクセス」に分割。この4つがそのまま会社組織の中の各部署になるので、そこに横串を通して連携を図ることで、顧客満足を高めようとする考え方です。

ここにMA・SFA(営業支援システム)を導入してデータを管理すれば、部署間連携もスムーズになります。とはいっても、マーケティングプロセスを構築できていない企業にとっては、導入ハードルが高いかもしれません。まずは「The Model」を参考にして、自社に合ったプロセスを検討するといいかもしれませんね。

こうしたマーケティングプロセスを策定するとき、何より大切なのは「営業の知見」を全体に展開することです。というのも、「顧客がなぜ商品を買ってくれるのか」が分からないと、各部門が最適な行動をとれないからです。例えば、セミナーの内容をどう考えたらよいのか、キーマンをどう探せばよいのか、なども分からないですよね。だからこそ全体のプロセスを組むのは、営業の視座・ノウハウを持っている人、なおかつマネジメント的な考え方ができる人が理想だと言えます。

まとめればBtoBマーケティングを効果的に運用するには、プロセス全体に「顧客に関する知見」を盛り込み、すべての部署がお互いに情報を共有し合うことが大切ということです。

kenja004-01_05※このインタビューはオンライン会議で実施しました。

デジタルマーケティングの賢者たち(4)宗像 淳氏【後編】
「デジタルマーケティングの導入を阻む“無知の壁”。経営層はこう説得せよ!」はコチラ>>

プロフィール
宗像 淳(むなかた すなお)氏
株式会社イノーバ 代表取締役 CEO

東京大学文学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(マーケティング専攻)。1998年に富士通に入社し、北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理などの業務を経験。MBA留学後、「インターネットビジネスを手がけたい」という思いから転職し、楽天で物流事業立ち上げ、ネクスパス(現トーチライト)で事業開発部長としてソーシャルメディアマーケティング立ち上げを担当。2011年6月にコンテンツマーケティング支援の株式会社イノーバを設立、代表取締役に就任。

鈴木 暁雄(すずき あきお)
TOPPANクロレ株式会社 デジタルマーケティング営業部 主任

2012年TOPPANクロレ入社。商業印刷物全般、スペースメディア、キャンペーン、WEBマーケティングに従事した後、関連企業のデジタルマーケティング部署に出向。大手製菓メーカー、トイレタリーメーカーを担当。2019年4月よりTOPPANクロレのデジタルマーケティング営業部に所属。アカウントマネージャーとして、顧客の課題解決施策を企画・立案。また、プロジェクトマネージャーとして、社内外のメンバーを統率し数々のプロジェクトを推進中。

 

TOPPANクロレのデジタルマーケティング支援サービス

TOPPANクロレでは、WEBサイトやEC事業の構築・リニューアルも含めた幅広いデジタルマーケティング支援サービスを提供しています。お客様の課題や外部環境を踏まえた上で、企業(またはブランド)の強み・特長を、データに基づいて洞察、咀嚼/翻訳し、課題解決へ向けた戦略プランの設計から運用までをお手伝いしております。

TOPPANクロレが描くDX時代のマーケティング透視図のページでは、当社の「デジタルマーケティング支援サービス」の導入企業のご担当者様や、デジタルマーケティング界の識者の方々へのインタビューを通じて得られた「生の声」を掲載。ぜひお客様のマーケティング活動にお役立てください。

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