業種を問わず、企業にとってSNSを活用したマーケティングは欠かせないものとなってきています。この記事では、SNSマーケティングの概要や主な手法、メリット、成功事例をご紹介します。
SNSマーケティングとは、SNS(Social Networking Service)を利用したマーケティング手法です。
SNSで直接的に商品やサービスを宣伝することだけが、SNSマーケティングではありません。SNSを活用することで、商品やサービスの認知度を上げたり、好感度を高めてブランディングしたり、顧客とコミュニケーションを行ったりなど、さまざまなマーケティングが可能です。最近では、投稿から直接、商品購入ページに誘導して商品を販売できるSNSもあります。
BtoC、BtoBを問わず、企業にとってSNSマーケティングが効果的といえる理由を、以下に説明します。
スマートフォンの普及と回線の高速化にともない、SNSのユーザーは爆発的に増加しました。総務省が発表した「令和6年通信利用動向調査」によると、SNS利用率は全体で79.0%となっており、13 歳から 64 歳の各年齢階層では8割を超えています。
SNS利用者の増加にともない、消費者が商品やサービスの購入・利用を検討する際にSNSで情報を収集することは、今ではごく一般的な行動スタイルとなりました。SNS上でシェアされる口コミやレビューは、第三者発信の情報として信頼を得やすく、購買行動に影響を与えています。
SNSマーケティングには次のようなメリットがあります。
自社の公式アカウントを運用することで、多くのユーザーにリーチすることができます。SNSの運用はテレビCMや新聞に出稿する広告よりも低コストなうえ、自由な頻度やボリュームで情報を発信することが可能です。
さらに、SNSは、投稿がシェアされることで、情報が拡散していくという特徴があります。ユーザーがシェアしたくなるような魅力的な投稿ができれば、短期間でより多くのユーザーの目に触れて大きな効果を発揮するでしょう。
SNSでは、商品やサービスそのものだけでなく、それらを販売している企業やブランドのイメージアップを図ることもできます。継続的に情報発信を行い、ユーザーからの共感を得ることで、企業やブランドへの興味が信頼感へと変わっていきます。
SNSで企業への信頼を高めることができれば、リピーターやロイヤルカスタマーの増加にもつながり、LTV(顧客生涯価値)が向上します。さらに、ロイヤリティが向上した顧客は、SNSの投稿のシェアや友人への口コミなどにより新たな顧客開拓へとつなげてくれることも多いため、長期的な利益を企業にもたらします。
Check
ロイヤルカスタマーや顧客ロイヤリティについて、以下のサイトで詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。
ロイヤルカスタマーとは?その定義と育成のポイント
顧客ロイヤルティとは?3つの向上施策と成功事例を解説
SNSではユーザーと直接コミュニケーションを取れるので、ユーザーと企業との距離が近く、親近感を感じてもらえます。企業からの情報発信だけでなく、ユーザーの投稿へのいいねやコメントへの返信などを通してユーザーとの関係性を強化することが可能です。
SNSでは直接顧客と接することで、商品やサービスがどんな顧客に使われているのかを知ることができます。さらに、他の投稿を参考にすれば、自社のユーザーはどのような年代・性別に属し、どのようなことに興味があるのかなど、細かな顧客情報を獲得することも可能です。また、企業のみでは気づかない、ユーザー目線の意見やニーズを収集し、商品開発に活かすことができます。
一方でSNSマーケティングには次のようなデメリットもあります。
炎上とは、SNSの投稿に非難や誹謗中傷が殺到し、拡散している状態を指します。SNSには拡散力が強いという特徴があるため、ポジティブな情報のみならず、不適切な投稿や不用意な発言、顧客クレーム等が、瞬く間に拡散・批判されることがあります。投稿のチェック体制の整備や運用マニュアルの作成など、リスク管理を適切に行うことが重要です。
SNS運用の担当者には専門的な知識やリテラシーが求められます。継続的な情報発信やリスク管理を行うための体制も必要です。社内で十分なリソースを確保することが難しい場合は、外部企業への委託も検討しましょう。
SNSマーケティングには以下のような手法があります。
それぞれコラムを用意しているので、各手法について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
企業の公式SNSアカウントを運用することで、自社ブランドに関する情報発信を行います。
年齢、性別、仕事、趣味、興味関心など詳細なターゲティングを行ったうえで、SNS上に広告を配信することができます。
フォロワーの獲得やUGC創出を目的とした、SNSを通して行うユーザー参加型の行動喚起施策です。
SNSなど特定のコミュニティにおいて強い影響を与えるインフルエンサー(インスタグラマーやユーチューバーなど)を企業が起用し、消費者の購買行動に影響を与えるマーケティング手法です。
おもにSNSを通して消費者の意見収集を行うビッグデータ活用手法です。消費者のより自由で率直な意見を得ることができます。
SNSマーケティングによく使われるSNSは、X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、LINE、TikTok、YouTubeなどです。それぞれターゲットとするユーザーや活用方法が異なるので、自社の商品やサービス、さらにSNSマーケティングを行う目的に合わせて使い分ける必要があります。
X(旧Twitter)は短文での投稿を主としたSNSで、10代からシニアまで老若男女幅広い層のユーザーがいます。また、リアルタイム性が強くマスコミに取り上げられることも多い、拡散力の高いSNSです。投稿のハードルが低く、ユーザーとのコミュニケーションも気軽に取ることができますが、インパクトのある投稿が炎上しやすいというリスクもあるでしょう。
若い女性ユーザーが多く、写真や動画の投稿がメインです。「インスタ映え」は流行語にもなりました。アパレルや食品など、視覚的に訴求しやすい商品やサービスに向いています。
24時間で投稿が消えるストーリーズ機能や、ライブ配信機能、投稿からECサイトに誘導できるショッピング機能といった多様な機能を活用することができます。
日本でのユーザーは30~50代が多く、比較的年齢層が高いのが特徴です。実名利用で学歴や会社名なども登録していたり、リアルに接している人ともつながっていたりするなど、フォーマルな場として利用しているユーザーも多いです。ユーザーの年齢や職業、趣味を把握しやすいため、広告媒体などのビジネス目的に使いやすくなっています。
友人間や家族間での連絡などにも使われるため、10代からシニアまで老若男女幅広い層のユーザーがいます。拡散力は低いものの、ユーザーに直接メッセージが届くので、公式クーポン配布やセール情報の告知、ユーザーサポートなどにも利用可能です。
TikTokは10~20代の若年層に支持されている、ショート動画のプラットフォームです。拡散力が強いことが特徴で、フォロワー数が少ない段階でも多くのユーザーにリーチできる可能性があります。2025年6月にはTikTok内で商品を販売できるEC機能「TikTok Shop」が日本でも提供開始され、ますます注目が高まっています。
YouTubeは未就学児からシルバー世代まで、非常に幅広い層に視聴されている動画プラットフォームです。長尺の動画も視聴されやすく、自社のブランドや製品について理解を深めてもらえます。Googleの検索結果にも表示されるため、SEO対策を行うことで流入増加が期待できます。
まずは「何のためにSNSマーケティングを行うのか」という軸となる目的を決めることが大切です。
(例)ブランドの認知度アップ、企業からの情報発信、商品の販売促進、ユーザーとのコミュニケーション…など
SNSを通してアプローチしたいターゲットを明確にします。ペルソナも作成することで、発信内容の軸が定まります。
「自社の目的・ターゲットに適した媒体」を選ぶことが大切です。
(例)拡散力の高いX(旧Twitter)を使用してブランドの情報を多くの人へ届ける、ブランディングのためにInstagramで商品の世界観を伝える…など
KPIを設定する際は後で分析できるように具体的な数値で設定することが大切です。
(例)「月間で自社Instagramのフォロワー数を500人増やす」「X(旧Twitter)経由の自社サイトへの流入数を月間50件増やす」…など
SNSマーケティングは専門的なノウハウや継続する労力も必要になります。実施する施策を円滑に運営できるように専任者の設置、チーム化など、SNSマーケティングの運営体制を整えておくことが大切です。
SNS上のインサイトデータを元にKPIの達成度の確認や成功要因、失敗要因の調査・分析を行い、さらに高い成果を得るための改善策を検討することで、次回のSNSマーケティング施策に生かすことができます。
SNSマーケティングを成功させるためのポイントを3つご紹介します。
公式アカウントからの情報発信は重要ですが、プレスリリースのような一般的な投稿や一方的な商品の宣伝投稿だけでは大きな拡散は望みにくいといった面もあります。ユーザーの目を引き、シェアしたいと思われる投稿にするため、投稿の内容やタイミングを工夫する必要があります。
投稿が少なすぎたり、どのSNSでも同じ内容だったりすると、ユーザーが飽きてしまいます。飽きられないためには、定期的に内容に工夫のある投稿を行わなくてはなりません。また、SNSマーケティングは短期的に成果を上げやすい施策ではないため、長期的に運用を行い、地道にユーザーとの関係性を強化していくことが重要です。
SNSでは、各媒体ごとにガイドラインが異なります。ガイドラインに抵触すると、投稿の表示順ダウンや削除、広告の低品質評価による配信数ダウン、アカウントの停止などの恐れがあります。特にSNSキャンペーンを行う際などには応募規定やインセンティブに関するガイドラインをしっかり読み込んで設計していくことが重要です。
各媒体のガイドラインは、変更されることも多いので、公式から出される最新のもので確認するようにしましょう。
84.7万人(2025年7月現在)という驚異的なフォロワー数を誇るのが、シャープ株式会社が運用する公式X(@SHARP_JP)です。ユーモアのある投稿内容や親しみやすい雰囲気、ユーザーとの丁寧なコミュニケーションで人気を集め、「シャープさん」の呼び名で親しまれています。
キッコーマン株式会社の公式Instagramアカウント(@kikkoman.jp)は22.2万人のフォロワー(2025年7月現在)を抱える人気アカウントです。自社製品を使用したレシピを掲載しており、「うどん1週間ローテ」「さっぱりおかず4選」といった、手軽で季節に合ったレシピのまとめ投稿が人気となっています。
SNSマーケティングは、直接顧客とつながり、コミュニケーションができるのが大きな特徴です。商品やサービスの認知度向上に限らず、ブランディングやロイヤリティの向上や顧客情報の獲得など、さまざまな効果が期待できます。しかし一方で、企業のイメージダウンや炎上にもつながるリスクもあります。SNSマーケティングのメリットやデメリットを踏まえたうえで、SNSをうまく活用して成果を上げましょう。
TOPPANクロレでは、企業のSNSマーケティングを支援しています。SNSの運用によるエンゲージメントの向上を支援するほか、SNSでのキャンペーンや広告などの集客施策の企画から実行まで対応しています。SNSマーケティングに関するお悩みがあれば、当社までお気軽にご相談ください。
SNSアカウントの運用支援サービスについては、以下の資料で詳しく説明していますので、ぜひこちらからご確認ください。