鈴木:ここ最近は時代が大きく動いていますが、BtoBマーケティングはどのように変化しているのでしょうか。
さらには展示会だけでなく、WEB上でのリード獲得も積極的に行われるようになりました。例えば、ホームページ上のコラムから集客したり、オンラインの業界誌に記事を載せたりという手法です。
これまで日本はデジタルに懐疑的、つまり“会う”ことが至上でした。しかし、顧客がWEBで有益な情報を手に入れられ、気軽に問い合わせもするようになったことで、購買意欲の高いリードが生まれるようになりました。そこから、対面の営業とWEB集客の相乗効果を狙うようになっています。実際のところ、「最近どうですか?」とただ営業が訪問するのと、最新トレンドを学べるWEB上のセミナー。どちらが顧客に役立つかと言えば、答えは明白ですよね。
そして、コロナで経営層の意識も変わってきています。海外ではもともと「売上の5%をマーケ費用に充てる」など、マーケティングに前向きです。しかし日本では「CMO(最高マーケティング責任者)不在」とも言われ、マーケティングに消極的な姿勢でした。ただオンライン施策に注目が集まる今、動きが加速するかもしれません。
鈴木:これからの時代、BtoBマーケティングの“理想のあり方”とはどのようなものでしょうか。
宗像氏:私が思うデジタルマーケティングの必須要素は、「マーケティングプロセスの策定」「リード管理」「リソースの最適配分」です。実はその3つが、「The Model(ザ・モデル)」という理論に理想形としてまとめられています。
「The Model」は、成約までのプロセスを「マーケティング」→「インサイドセールス」→「フィールドセールス(営業)」→「カスタマーサクセス」に分割。この4つがそのまま会社組織の中の各部署になるので、そこに横串を通して連携を図ることで、顧客満足を高めようとする考え方です。
ここにMA・SFA(営業支援システム)を導入してデータを管理すれば、部署間連携もスムーズになります。とはいっても、マーケティングプロセスを構築できていない企業にとっては、導入ハードルが高いかもしれません。まずは「The Model」を参考にして、自社に合ったプロセスを検討するといいかもしれませんね。
こうしたマーケティングプロセスを策定するとき、何より大切なのは「営業の知見」を全体に展開することです。というのも、「顧客がなぜ商品を買ってくれるのか」が分からないと、各部門が最適な行動をとれないからです。例えば、セミナーの内容をどう考えたらよいのか、キーマンをどう探せばよいのか、なども分からないですよね。だからこそ全体のプロセスを組むのは、営業の視座・ノウハウを持っている人、なおかつマネジメント的な考え方ができる人が理想だと言えます。
まとめればBtoBマーケティングを効果的に運用するには、プロセス全体に「顧客に関する知見」を盛り込み、すべての部署がお互いに情報を共有し合うことが大切ということです。
※このインタビューはオンライン会議で実施しました。
デジタルマーケティングの賢者たち(4)宗像 淳氏【後編】
「デジタルマーケティングの導入を阻む“無知の壁”。経営層はこう説得せよ!」はコチラ>>
東京大学文学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(マーケティング専攻)。1998年に富士通に入社し、北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理などの業務を経験。MBA留学後、「インターネットビジネスを手がけたい」という思いから転職し、楽天で物流事業立ち上げ、ネクスパス(現トーチライト)で事業開発部長としてソーシャルメディアマーケティング立ち上げを担当。2011年6月にコンテンツマーケティング支援の株式会社イノーバを設立、代表取締役に就任。
2012年TOPPANクロレ入社。商業印刷物全般、スペースメディア、キャンペーン、WEBマーケティングに従事した後、関連企業のデジタルマーケティング部署に出向。大手製菓メーカー、トイレタリーメーカーを担当。2019年4月よりTOPPANクロレのデジタルマーケティング営業部に所属。アカウントマネージャーとして、顧客の課題解決施策を企画・立案。また、プロジェクトマネージャーとして、社内外のメンバーを統率し数々のプロジェクトを推進中。
TOPPANクロレでは、WEBサイトやEC事業の構築・リニューアルも含めた幅広いデジタルマーケティング支援サービスを提供しています。お客様の課題や外部環境を踏まえた上で、企業(またはブランド)の強み・特長を、データに基づいて洞察、咀嚼/翻訳し、課題解決へ向けた戦略プランの設計から運用までをお手伝いしております。
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