ファンマーケティングが近年、重視されている理由としては、次のことが挙げられます。
一方、ファンのファンクラブに対する心理にも変化が見られます。
コロナ禍前のファンクラブは、チケットの先行予約・割引、握手会への参加といった特典やリアルな体験をファンクラブに求める傾向が強く見られました。
入会の動機付けや退会防止策となるファンクラブ特典も進化中です。
かつての主なファンクラブ会員の特典は、「チケット先行予約」や「握手会」といったリアルな体験が主軸でしたが、現在はそれに加え、「アーカイブ配信」「限定チャット」「デジタルコレクション」など、場所に縛られないコンテンツも必須となっています。
ここでは、定番から最新のデジタル活用例まで、10の特典例を厳選して紹介します。
ファンクラブに入会すると会員IDの入った会員証が発行されます。会員証の主流は、会員管理がしやすいオンライン会員証や会員証アプリですが、現物を持ちたいファン向けにリアルな会員証を発行することもあります。
特にスマホを持てない子どもには、キラキラやホログラム、3Dなどを使用した特別なデザインのリアル会員証が人気です。
ライブや舞台、スポーツの試合のチケットなどを取るためにファンクラブに入会する人は多く、先行予約や優待席の確保は依然として特典の目玉です。
最近では、継続年数やアクションに応じた会員ランク別に、前方席やバックステージ招待への応募権を付与する仕組みも増えています。
会員には定期的に冊子やWebマガジンの形で会報誌が届きます。会報誌にはインタビューや特集記事を掲載することが多いようです。
冊子タイプには、写真集並みのクオリティのものやDVD付きなどもあります。
一方、メールマガジンは会報誌よりも頻繁に発行されます。出演番組の告知や最新トピックスなど、タイムリーな情報を掲載するのが一般的です。
ファンの誕生日やクリスマスなどに合わせて、推しから贈られるカードも人気の特典です。誕生日のバースデーメールや、記念日のボイスメッセージなども喜ばれます。
AR技術を使い、カードにかざすと推しが飛び出すといった演出も導入されています。
トークショーや握手&サイン会などのリアルイベントに加え、遠方のファンも参加できる「オンライン生配信」の同時開催が一般的になりました。アーカイブ視聴ができる点も重要なメリットです。
入会時や継続時にほかでは買えないグッズをプレゼントする特典は、多くのファンクラブが採用しています。
また「ファンクラブ会員限定」デザインのグッズ販売や、ライブグッズの「事前予約・会場受取」は、混雑緩和と特別感を両立させる施策として定着しています。
動画の視聴やWeb上のアクションなどにポイントを付与する、ポイントプログラムを導入しているファンクラブもあります。貯まったポイントを限定コンテンツと交換できる仕組みは、継続的なエンゲージメントを生みます。
グッズやデジタルコンテンツを景品にしたファンクラブ限定の「オンラインガチャ」も人気です。
ガチャには、何が出てくるかわからないというゲーム性がありますが、オンラインにしたことで、特別な映像や音楽を流すといった演出、パフォーマンス動画やアニメのワンシーンといった景品の提供が可能になりました。
イベントがない期間でも、ゲーム感覚で推しとの繋がりを楽しめるコンテンツとして人気です。
ファン同士が交流できるスペースです。SNSよりもクローズドな環境で、ファン同士の絆を深められます。
ファン同士が交流し盛り上がることで、推しを応援する気持ちを高め、退会防止につながります。
イベントチケットはデジタル化が進んでいますが、形が残らず物足りないという声も多いようです。
イベント参加の証を「デジタルスタンプ」や「電子チケット」としてコレクションすることで、「いつから応援しているか」が可視化され、ファンの誇りを高めます。
現在のファンクラブは、単なる事務局ではなく、「推しとファンが共に歩むためのプラットフォーム」です。
リアルで会えることの価値を最大化しつつ、日常をデジタルコンテンツで彩る。この「ハイブリッドな体験」を提供し続けることが、これからのファンクラブ運営の鍵となります。時代やファンの心理を敏感に察知し、「入ってよかった」と感じてもらえる価値を創出していきましょう。
参照元:
ぴあ総研「ライブ・エンタテインメント白書(2025年版)」
株式会社ロイヤリティ マーケティング「推し活と幸福度・ウェルビーイングに関する調査(2026年)」
「推し活消費はウェルビーイングの第一歩?(2025年)」第一生命経済研究所
矢野経済研究所「2025 クールジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究 ~消費者調査編~」