「リードナーチャリング」とは、見込み客に対して継続的にアプローチを繰り返し、購入・導入へのモチベーションを高めていく一連の施策を指します。「商品の内容をよく確認する」「ほかの類似商品・サービスと比較する」「信頼できる購入先か確認する」等、よく調べてから購入するインターネット行動に適した取り組みです。今回は、リードナーチャリングについての概要とメリット・デメリット、どんな商品やサービスがリードナーチャリングに向いているのかについて解説します。
「ナーチャリング(nurturing)」とは、英語で「養育する」「育てる」の意味です。そして「リード」とは、マーケティング用語で見込み客(自社の製品やサービスに興味があり、今後取引する可能性の高い顧客)のことを意味します。
リードナーチャリングは、時間をかけて顧客を育成することから、水や肥料(=情報)を十分に与え、作物が収穫できるようになるまでじっくりと育てる農業にも例えられます。また、ドリップ・マーケティングと表現されることもあります。コーヒーをドリップで落とすときのように、滴(=情報)がコーヒーカップにぽたり、ぽたりと落ちていくイメージです。滴が十分にカップにたまれば「飲みごろ」、つまり購入・導入のタイミングです。
リードナーチャリングは、企業が顧客に対して適切な情報を与え続けることで、対象となる商品・サービスをより詳しく知るきっかけを提供すると同時に、顧客がそれをもたらしてくれた企業に対してエンゲージメント(顧客との良好な関係)を確立し、信頼感を醸成する施策でもあります。
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顧客エンゲージメントに関する詳しい解説は下記でご覧いただけます。
顧客エンゲージメントとは?なぜ大切なのか?向上のポイントを解説
リードナーチャリングが重要であると考えられるのは、以下のような理由があります。
現代は誰もが簡単にインターネットであらゆる情報を検索できる時代です。消費者は商品の購入前に、その商品についての口コミや価格の比較、SNSでの反応など、情報収集を十分に行うことが一般化しています。そのため、購入に至るまでの期間が以前に比べて長期化している傾向にあります。
また、リードを多く獲得しても、すぐに成果につながらない場合、その後のアプローチまで手が回らずそのまま放置してしまう休眠顧客が増加しています。
特にBtoBのビジネスにおいて、購買までのプロセスは長期化する事が多く、その間放置してしまうことで、顧客となる可能性を逃してしまうことになるのです。
顧客が購入を決断するタイミングは、顧客によってそれぞれ異なります。リードナーチャリングによる顧客への適切な情報提供は、顧客のモチベーションを高めるだけでなく「備忘録」のような作用をし、購入に踏み出すよいきっかけとなることもあります。
また、もともとそれほど興味関心がなかった顧客に対しても、休みなく情報を提供することで興味を抱いてもらいやすくなります。
特にBtoC向け商品・サービスにおいて、リードナーチャリングによって顧客が信頼感を持つと、顧客は自発的にブログやSNSなどでその情報を共有・拡散します。そのため、大きな資本投下をせずとも情報を拡散することが可能になります。
ただし、リードナーチャリングには注意点もあります。顧客が望んでいる情報以外を配信したり、あまりにも頻繁に配信し続けると、顧客は不快に思い、それらを遮断するようになってしまうのです。
どのくらいの頻度で情報が不快になってしまうのかは、顧客が購入に踏み切るタイミングと同様に顧客によって異なります。提供した情報に対する顧客のレスポンスを常に把握しながら、適切な内容や頻度を決定しましょう。
リードナーチャリングは、「複雑で分かりにくい」「比較や検討などをして決定までに時間がかかる」「高額な」商品・サービスに向いています。例えば生命保険、損害保険、自動車、不動産などがそれに当たります。
また、上記要素に加えて、「競合商品が多く、ブランドチェンジがしにくい」商品・サービスにも適しています。例えば生鮮以外の食料品・飲料、日用品、化粧品などがそれに当たります。
B to B向け商品・サービスの場合は、ほぼすべてに適用できるでしょう。なぜなら、B to B取引では、社内稟議で複数の人間が比較・検討に関わることが多いため、意思決定までに時間がかかる傾向にあるからです。また、意思決定がロジカルに行われるため、判断材料となる情報提供が好まれるのです。
リードナーチャリングを実施するに当たって最も大事なのは、「顧客情報を適切に管理し、随時更新していくこと」です。顧客が商品・サービスのどの点に興味を持ったのか、提供した情報のどれにアクセスしたのかを素早く把握し、より詳しい・新しい情報を準備し、顧客が対象となる商品・サービスを購入・導入に至るまで、休みなく繰り返していきます。
なお、顧客情報の管理システムを使えば、情報の作成、配信だけでなく、配信作業の自動化・定期化、顧客レスポンスの分析と事前に設定したシナリオに沿った情報の抽出など、PDCAサイクルを効率的に回すことができます。顧客数や企業規模に合ったシステムを選択しましょう。
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