SNS運用とは、企業やブランドの認知向上や集客、販売促進などのマーケティング活動のためにSNSを運用することを言います。その大きな柱が以下の3つです。
アカウントの日々の運用
SNS広告の配信
キャンペーンなどのマーケティング施策
運用の柱の一つ目は、SNSアカウントの開設・運営です。
自社のターゲット層が多く利用するSNSを選んで、アカウントを開設します。主に自社の情報や、自社の商品に関する情報やキャンペーン告知を投稿することによって、認知を高めたり、ファンを増やし、ユーザーを自社サイトに誘導することを目指します。ブランドのイメージを正しく伝えるには、投稿の内容(画像やテキスト、デザイン)のトーン&マナーを統一することが重要です。
また、ユーザーと、ダイレクトにコミュニケーションできることもSNSの特徴です。SNSに寄せられたユーザーの声に丁寧に応えることで、ユーザーとの距離を縮めることも期待できます。ロイヤリティの高いユーザーから支持されるSNSに成長させるためには、投稿やキャンペーンなどさまざまな施策を行ってフォロワーを増やすところから、中長期的に取り組む必要があります。
運用の二つ目の柱が、SNSアカウントや自社サイトに集客するためのSNS広告の配信です。SNS広告は、SNSのタイムラインや、ニュース、動画といったコンテンツに掲載する広告です。配信方法を選定することで、フォロワー以外のターゲット層にも効率よく商品をアピールすることができます。販売している商品ジャンルに関心はあるけれどブランドは知らないといった潜在層の獲得にも適していると言えるでしょう。
SNSの種類によって、ボリュームのあるユーザー層(年齢、性別)やターゲティングの方法が異なります。広告を検討するときは、商品やサービスの目的に合ったSNSや広告フォーマットを選びましょう。
SNSマーケティングの施策は広告以外にも多数あります。ここではSNSキャンペーンの施策を紹介します。
有名人や特定の分野で影響力を持つ人(インフルエンサー)に依頼し、自分のSNSで商品を紹介してもらう手法です。
多くのフォロワーがいるインフルエンサーが発信した情報は、拡散されやすく、商品の認知度の向上が期待できます。 ユーチューバーやインスタグラマーの中には、テレビタレントと同等やそれ以上に影響力のあるインフルエンサーも多く、SNSから商品購入につながることもよくあります。
UGC(User Generated Content)は、一般のユーザーが作成してネット上で公開するコンテンツのことで、SNSの投稿やECサイトの口コミも含みます。
SNS時代の今、消費者の購買行動は、一般ユーザーのUGCが認知のきっかけになり、そこからさらにSNS検索で商品情報を検索し、購買し、購買した人がSNSで拡散し…という循環型で集客や売上が上がっていく仕組みが作れます。自社の商品へのポジティブな意見や画像をSNS上に増やしてもらえる施策が必要になります。その仕組みづくりのためには、第一に良質なフォロワーを増やすことが重要になってきます。
その施策として盛んに行われているのがユーザー参加型のSNSキャンペーンです。例えば、ハッシュタグを付けて投稿すると景品が当たるという枠組みや、商品購入が応募の条件(マストバイ)のキャンペーンなど、さまざまなキャンペーン施策に各社が取り組んでいます。
なぜ今、多くの企業がSNS運用に力を入れているのでしょうか。それには主に3つの理由があります。
かつて情報はGoogleなどの検索エンジンで探すものでしたが、現在はSNSでハッシュタグ(#)を使ってリアルタイムな口コミやトレンドを探すユーザーが急増しています。SNSでの発信を強化することで、検索エンジンだけではリーチできない層にアプローチできます。
SNSでの投稿自体に直接的なSEO効果(検索順位を上げる効果)はありません。しかし、SNSで話題になり、企業名やサービス名が言及されること(サイテーション)や、投稿を見た人が自身のブログ等で紹介して被リンクが発生することで、結果として自社サイトの評価向上につながる「間接的なSEO効果」が期待できます。
検索エンジンを利用するユーザーは「すでに特定の悩みがある」顕在層が中心ですが、SNSはタイムラインに流れてくる情報を通じて「まだ自社を知らない」潜在層に自然な形で接触できます。
次に、SNSを運用することのメリットを挙げてみましょう。
SNSを運用する最大のメリットは利用者の多さです。総務省の通信利用動向調査によると、20代ではSNSの利用者が95.0%を占めています。
10代後半から60代までの年代の7割以上、70代も6割以上の人がSNSを利用しています。幅広い年代において、SNSが大きな影響力を持っていることが分かります。
多くのSNSが、ユーザーの性別や年齢、居住地といった属性や、興味関心に関する情報を保有しています。その情報をもとに、自社のターゲットとなるユーザー層をセグメントして広告を配信することができます。
主要なSNSでは、企業アカウントの開設や運用が無料でできます(広告配信は有料。LINEのフリープランはメッセージ1,000通まで無料)。誰でも始めやすく、自由に商品やキャンペーンの情報を発信することができます。
SNSの大きな特徴のひとつが拡散性の高さです。ユーザーが「シェア」「リツイート」すると、フォロワーがまた「シェア」「リツイート」する……というように、自社の投稿が拡散していけば、費用対効果の非常に高いマーケティング施策になります。
ユーザーと直接コミュニケーションがとれることもSNS運用のメリットのひとつです。
また、SNSはユーザーの生の声を聞くソーシャルリスニングの場としても優れています。寄せられたコメントやメッセージを重要な情報と捉えて、ユーザー行動データを分析・検証することも大切で、アカウントや自社サイトの改善、商品の企画開発に役立てることができます。
ググるからタグると言われるように、SNSでハッシュタグを使って情報を検索する人が増えています。アカウントの投稿に、ユーザーがタグりそうなハッシュタグを付け、見つけてもらいやすくすれば、フォロワーの増加や自社サイトの集客につながります。
それぞれのSNSには、ユーザー層や拡散の仕組みに大きな違いがあります。自社のターゲットや目的に合わせて、最適なプラットフォームを選定しましょう。
主なユーザー層: 全世代(全人口の約7割以上が利用)
特徴: 国内最大のユーザー数、高い開封率、ダイレクトな接点
「拡散」よりも、既存顧客との「リピート促進」や「ファン化」に特化したツールです。公式アカウントからのメッセージ配信はプッシュ通知で届くため、メルマガに比べて圧倒的に開封率が高いのが特徴です。クーポン配布やチャットでの問い合わせ対応など、CRM(顧客関係管理)としての役割がメインとなります。
主なユーザー層: 20代〜40代を中心に幅広い
X(旧Twitter)は140字のテキスト投稿をメインとしたリアルタイム性の高いSNSです。
匿名性が高く、本音に近い口コミが集まりやすいため、ソーシャルリスニング(市場調査)にも適しています。2023年の「X」へのブランド刷新以降、長尺動画や音声ライブ(スペース)など、テキスト以外の発信機能も強化されています。
「今」起きているトレンドに合わせた発信が、爆発的な拡散(バズ)を生むきっかけになりますが、一度炎上すると収拾が難しいSNSともいわれており、投稿の内容には注意が必要です。
主なユーザー層: 10代〜40代(女性比率がやや高いが、男性ユーザーも急増中)
特徴: 視覚的な訴求力、世界観の構築、購買への繋げやすさ
Instagramは写真や動画を共有するSNSです。 「映え」る写真だけでなく、最近では「リール(短尺動画)」や「ストーリーズ」の活用が不可欠です。発見タブからの流入を狙うことで、フォロワー以外へのアプローチも可能です。ショッピング機能(Shop Now)との親和性が高く、アパレルや美容、食品などのECサイト運営企業には欠かせないツールです。
主なユーザー層: 30代〜50代(ビジネス層が中心)
特徴: 実名制による信頼性、精度の高い広告ターゲティング
他のSNSに比べてフォーマルな雰囲気があり、BtoB企業のリード獲得やセミナー告知、コミュニティ運営に向いています。実名登録という特性上、属性(居住地、職業、役職など)を絞り込んだ広告配信の精度が非常に高く、少額からでも確実なターゲットに届けられるのが強みです。
主なユーザー層: Z世代〜30代(平均年齢が上昇中)
特徴: アルゴリズムによる高い拡散力、短尺動画メイン
最大の特徴は、フォロワー数に関係なく「コンテンツの面白さ」で表示回数が決まるアルゴリズムです。運用初期でも動画一本で数万人にリーチできる可能性があります。トレンドの楽曲やエフェクトを戦略的に取り入れることで、若年層に向けた認知拡大を劇的に加速させることができます。
SNSの運用を開始するときには、次のような点に注意する必要があります。
プライベートでもSNSを利用している人が多い今、投稿するだけであれば敷居の高い作業ではありません。
しかし、UGCが集まるコンテンツやキャンペーンを企画したり、投稿する画像や動画の制作、フォロワーとのコミュニケーション、広告運用には手間や時間がかかります。社内でどの程度人手を確保できるのかを確認し、一部は外注も検討するといったように、費用対効果を考えて体制を整えましょう。
企業の公式アカウントからの投稿は、いろいろな制約をクリアするために手間がかかることがあります。しかし、投稿が少なすぎたり、どのSNSでも同じ内容だったりすると、ユーザーが飽きてしまいます。飽きられないためには、定期的に内容に工夫のある投稿を行わなくてはなりません。
公式アカウントの運用は頭を使い手間もかかる仕事のため、専任の担当者の育成が必要です。
社内での運用が難しい場合には、外部の支援を受けて運用するという方法もあります。
企業にとってSNSの炎上は大きなダメージとなります。ガイドラインを作り、モラルに欠けた投稿がないように注意が必要です。また、投稿は海外のユーザーからも見られます。異文化への理解やグローバルな視点を忘れずに、投稿の質を高めましょう。
利用者が多く、無料でアカウントが作成できるSNSを、自社のマーケティングに活用しない手はありません。アカウントを適切に運営し、広告を活用して、自社のファンを増やしましょう。
ただしSNS運用には、一定の専門知識や人手、トラブルを防ぐためのリテラシーが必要です。ユーザーとの関係構築にも時間がかかります。丁寧な運用を継続的に行っていける無理のない体制を作れるかどうか、しっかりとした事前準備が大切です。