現代のデジタル時代において、SNSを始めとするソーシャルメディアは、個人や企業がコミュニケーションをとり、情報を共有するための重要な場となっています。そんなソーシャルメディア上での消費者の声を集め、分析して今後のマーケティングに活用する「ソーシャルリスニング」が注目されています。ここでは、ソーシャルリスニングが注目されている理由やソーシャルリスニングで分かること、行う方法や手順などを解説します。
X(旧Twitter)やFacebook、InstagramなどのSNSは、今や日常生活になくてはならない情報ツールとなっています。こうしたSNSや個人ブログなどに投稿されるユーザーの声を収集・分析してマーケティングに活用する手法を「ソーシャルリスニング」といいます。
ソーシャルリスニングの対象となるメディアには以下のようなものがあります。
近年、消費者のニーズや趣味趣向が多様化し、個々のユーザーに合わせたマーケティングが重要視されるようになりました。そこで、消費者の意見を知りマーケティングに生かす手段として、「ソーシャルリスニング」が注目されています。
従来、消費者の意見を集める方法は、アンケート調査が一般的でした。しかし、アンケート調査は基本的に企業側が準備した質問に消費者が答えるだけであり、自由な意見を収集することが困難です。アンケート回答者のなかには、マイナス評価や否定的な意見を記入するのは気が引けるという人もおり、本音や改善点を探ることが難しいという側面もあります。
一方、ソーシャルメディア上では、ユーザーが正直な意見や感想を日々発信しているため、「消費者のリアルな声」を知ることができます。よりユーザーに寄り添ったマーケティングを行うことができるのです。
総務省の「平成28年度版情報通信白書」(※) によると、多くの消費者が商品やサービスを買う際に、他の購入者のレビューや口コミを参考にしています。
インターネットショッピングサイトでの買い物の際に、「レビューをどのくらい参考にするか」という質問に対しては、20代~50代のどの年代においても「かなり参考にする」「まあ参考にする」という回答が7割以上を占めています。60代においても、その割合は6割以上でした。また、「レビューを読んだことで購入する商品を決定した経験があるか」という質問に対しては、すべての年代にわたって、「何度もある(5回以上)」「何回かある(5回未満)」という回答が8割以上を占めます。消費者の購買行動に影響を与えるレビューや口コミを、企業も参考にしない手はありません。
消費者やユーザーが発信する率直な感想や意見を捉え、動向を把握できるソーシャルリスニングに取り組む意義は大きいといえます。
(※) 総務省「平成28年版情報通信白書」情報資産(レビュー・口コミ等)
ソーシャルリスニングを行うことで、具体的にどのようなことが分かるのでしょうか。以下に解説します。
企業に持つイメージや、ブランドの認知度、ブランドへの評価を、消費者の反応から読み取れます。消費者がSNSで自主的に発信する情報を通じて、どのような商品やサービスが関心を集めているのか、消費者が何を評価し、何に価値を感じているのかを知ることが可能です。
企業へ寄せられる意見や苦情は問題意識を持つ一部のユーザーや消費者からのものですが、ソーシャルリスニングでは広い範囲の中からさまざまな意見や提案を発見できます。ユーザーや消費者の率直な本音や不満は、商品やサービスの改善に活かすうえで信頼性の高い情報といえます。
企業が展開しているPR や広告、キャンペーンなどが、実際にどれほどの効果を挙げているのかを分析できます。例えば、どの時間帯の広告が最もレビューや口コミに結び付いたかなどです。現在では、消費者の反応をタイムリーに把握することも可能なため、次の施策を迅速に打つことが可能となります。
消費者の意見・考えを手掛かりとして、景気の動向や業界のトレンドを把握できます。こうした情報は、潜在的な市場の開拓や、サービスの改善、商品開発などにも活かせるでしょう。
ソーシャルリスニングの基本的な進め方としては、まず、自社や製品・サービスがどのようにとらえられているかを確認します。例えば、X(旧Twitter)の「キーワード検索」や、「Yahoo!リアルタイム検索」などで、社名や商品名といったキーワードを入れ、それらがどのように言及されているかをチェックするとよいでしょう。自社の商品やサービス、ブランドなどについてのおおよその評判が分かったら、他のメディアや他のキーワードなどでもリサーチを行い、必要な情報を集ていきます。
自社内で行うのが難しそうであれば、有料のソーシャルリスニングツールの使用をおすすめします。専用のツールを使えば、自分たちで行うよりも効率的にデータの収集や精度の高い分析が行えます。
ソーシャルリスニングの一般的な流れを紹介します。これらの手順を追うことで、効果的なソーシャルリスニングが可能となります。
最初に、ソーシャルリスニングの目的を設定します。例えば、業界や競合他社のモニタリング、製品やサービスの改善のためのフィードバック収集などが考えられます。
自社内で行わない場合は、ソーシャルリスニングツールを選定します。代表的なツールにはBoom Research、NetBase、Brandwatch、Talkwalkerなどがあります。ツールの選定は、目標や予算に合ったものを選ぶことが重要です。
モニタリングしたいキーワードやフレーズを設定します。これにより、特定のトピックやブランドに関するメンションをトラッキングすることが可能となります。
調査対象となるソーシャルメディアを選定します。主要なものにはX(旧Twitter)、Facebook、Instagram、LinkedInなどがあります。選定する際には、ターゲットがどのメディアを利用しているかを考慮します。
ツールを使用して、設定したキーワードに関連するデータを収集します。これには、メンションされたコメントや投稿、感情分析などが含まれます。リアルタイムでデータを収集することができます。
収集したデータを分析し、トレンドやパターンを把握します。感情分析を行うと、ユーザーの感情や態度の傾向などを理解できます。
定期的にソーシャルリスニングの結果を報告し、そのデータをもとに戦略やプロセスを改善していきます。連続的な改善がソーシャルリスニングの効果の最大化につながります。
これらの手順を踏むことで、ソーシャルリスニングは効果的なマーケティングやブランド管理の手段として活用できます。
ソーシャルリスニングはさまざまなシーンで活用できます。ソーシャルメディアで発信された情報の中には、既存の顧客の声だけでなく、将来的に顧客になりそうな見込み客の声も含まれています。そうした情報を分析することで、これらのターゲット層へのアプローチ方法も見つかるでしょう。ソーシャルリスニングを行って、有益な情報を幅広く集め、マーケティングに活かしましょう。
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