ポジショニングメディアとは、自社の商品やサービスの立ち位置を明確にしたWebメディアです。
競合他社との違いや、商品の専門性・強みを特定のターゲット層に向けて戦略的に発信することで、信頼関係の構築や成約を目指すことを目的としています。
競合ひしめく市場でユーザーから選ばれるには、市場内での自社や商品の立ち位置を明確にし、優位性を示すポジショニング戦略が重要になります。
そのポジショニング戦略の一環として効果的なのが、ポジショニングメディアの運営です。
オウンドメディアとは、自社で保有するメディアのことで、自社サイトや採用サイト・ブログ・公式SNSなどが該当します。
不特定多数に向けて情報を発信し、企業の認知拡大や検索流入などが目的です。
ポジショニングメディアもオウンドメディアの一つですが、ポジショニングメディアは、「誰に、何を、なぜ届けるか」を明確に定め、特定のターゲットに対して価値を訴求します。専門性や独自性を発信することで信頼を獲得し、価格ではなく価値で選ばれる状態をつくるのが目的です。
▶オウンドメディアとは?意味やメリット、立ち上げの手順を解説
ポジショニングメディアには以下のようなメリットがあります。
専門的かつターゲットに特化した情報を提供することで、ユーザーの課題解決に貢献できます。
ターゲットを絞って発信するため、特定のユーザーのニーズに応えられ、深い満足感と信頼を得やすいのが特徴です。結果として、購入・問い合わせといったアクションにもつながりやすくなります。
類似商品が多数あると、選ばれるためには価格を下げてアピールすることが必要になってきます。
その点、ポジショニングメディアで商品の価値や優位性をアピールできれば、価格の安さだけで比較されにくくなります。
たとえば、「専門知識を持つスタッフがサポート」「導入後のフォローが充実」など、価格以外の価値に共感してもらえれば、価格が高くても選ばれる理由になります。長期的には利益率の改善にもつながるでしょう。
ポジショニングメディアは、初回の購入や問い合わせだけではく、ユーザーと長期的な関係を築く場として有効です。特定のターゲットに向けて、専門的な情報や最新ニュースなどを継続的に発信することで、ユーザーとの接点を保ち、再訪・リピートを促進できます。
たとえば、商品のメンテナンス方法や活用方法をポジショニングメディアで紹介していれば、何かあったり購入を検討する際に商品を思い浮かべてくれやすくなるでしょう。リピーターが増加すれば、収益の安定性にもつながります。
ポジショニングメディアを構築するには、「誰に」「どんな価値を」「どう伝えるか」という軸を明確にする必要があります。
その際に活用したいのが、マーケティングの基本フレームワークであるSTP分析です。
STP分析をもとにポジショニングメディアを作る大まかな流れは以下のようになります。
STEP1:STP分析でターゲットと立ち位置を明確にする
STEP2:コンセプト設計
STEP3:コンテンツ作成
STEP4:メディア構築(サイト設計・デザイン・CMS)
STEP5:運用と改善
まずは、STP分析を行います。STP分析とは以下の頭文字を取ったマーケティング手法です。
市場を細かくセグメンテーション(細分化)し、その中から狙うべき市場をターゲティングで定めてポジショニングを行い、自社や商品の位置づけを行います。
STP分析を行う際には、ポジショニングマップの作成が役立ちます。
ポジショニングマップとは、タテ・ヨコに2軸の図表に、自社や競合他社を配置したものです。ポジショニングマップを活用することで、市場の全体像や自社の立ち位置が視覚的に確認できマーケティング戦略が立てやすくなるのです。
STP分析により自社のポジションが明確になったら、コンセプトを設計します。自社の強みがターゲットのニーズと一致しているかを確認することが重要です。
設計をもとに専門性・独自性を感じさせるコンテンツを用意します。例として、ノウハウ記事、導入事例、Q&A、インタビューなどがあります。
コンセプトとターゲットに合ったサイト設計、デザイン、CMSの選定を行います。スマホ表示対応やSEO対策も忘れずに行いましょう。
ポジショニングメディアは一度運用スタートすればお終いではなく、適宜効果を測定し改善していくことが重要です。
コンセプト設計時にはKPIを設定しておくようにしましょう。
ポジショニングメディアで注視したい指標は以下のとおりです。
これらの分析をもとにPDCAサイクルを回すことで、より効果的なポジショニングメディアが運用できるでしょう。
ポジショニングメディアを作成・運用する際には以下の点には注意をしましょう。
「誰に向けたメディアか」「どのような価値を提供するのか」が不明確なままでは、メッセージがぼやけてしまいます。競合との違いが伝わらず、読み手に響かないメディアになってしまうリスクがあります。
また、社内でコンセプトが共有されていないと、記事やデザインに一貫性がなくなり、ブランドイメージも損なわれます。運用前に明確な方針とトーンを定義し、全関係者で共有しておきましょう。
ターゲットを具体的にすることで、コンテンツやデザインもおのずと定まってきます。
「30代女性」などの大まかな属性ではなく、ペルソナを設定して「どんな悩みを持ち、どのように情報収集し、どういう価値観で選ぶのか」まで掘り下げましょう。
ターゲット像が明確になると、デザインや導線設計などに一貫性を持たせやすくなります。
ポジショニングメディアでは、自社の優位性のアピールすることが大切ですが、売り込みアピールが強すぎると反対に不信感を持たれる恐れがあります。
コンテンツの表記の仕方によっては、メディアがステマと判断される恐れもあるので、表現や構成は慎重に検討するようにしましょう。
また、ポジショニングメディアでは、自社の強みや実績を前面に出すことが多いため、景品表示法の「優良誤認表示」や「有利誤認表示」に抵触しないよう注意が必要です。たとえば、「業界No.1」「必ず成果が出る」「99%の顧客が満足」といった表現を使う場合は、客観的かつ合理的な根拠が求められます。根拠があいまいなまま掲載すると、行政指導や企業イメージの毀損につながるおそれがあります。
専門性を打ち出すポジショニングメディアでは「信頼性」が命です。誇張表現よりも、信頼できるデータや事例で地道に実績を伝えるようにしましょう。
主張する内容や数字に客観性や公正さがあり、自社だけでなく他社も客観的に評価していることで、ユーザーに信頼性が高いと評価してもらいやすくなります。
自社や商品の立ち位置を明確にして情報を発信するポジショニングメディアは、ユーザーに競合とは異なる優位性や価値を伝えることが可能です。
STP分析に基づいてターゲットを明確化し、戦略的にコンテンツを発信することで、ブランド力の向上やリピーター獲得にもつながります。
「自社サイトの立ち位置を明確にしたい」「集客につながるオウンドメディアを作りたい」とお考えの方は、プロへの相談も視野に入れてポジショニングメディアの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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