海外ではAmazonキラーとも言われるカナダ発のECプラットフォームShopify。 先日開催されたShopify Unite 2021というイベントではShopifyのバージョンアップが発表されました。 このバージョンアップで何がどう変わるのでしょうか?EC事業者様が知っておきたい情報を、TOPPANクロレのShopify担当者が3つに絞ってご説明します。 これからShopifyで自社EC構築をご検討中の方、外部に制作委託をご検討の方にもお役立ていただける内容です。
Shopify UniteとはShopifyのパートナー向けに、新機能などが発表されるカンファレンスで、年1回開催されます。2021年は6月29日に開催され、ストアフロント構築をさらに容易にする「オンラインストア 2.0」と呼ばれるアップグレードを中心に発表されました。Shopifyは、このアップグレードでストアのカスタマイズの可能性が劇的に広がるとしています。
EC事業者にとって重要な発表は、このオンラインストア2.0(の一部)です。
ここでは主に次の3点について、これまでとの比較で解説します。
1.テーマのアーキテクチャが更新され、ノーコードで制作できる範囲が広がる
2.ストア管理画面からできることが増えて、商品情報の追加が簡単に
3.テーマとアプリの構造が分離され、スムーズに変更・拡張が可能に
これまでShopifyでは、テーマのオンラインエディタ(ノーコード)で、ページ内項目や表示位置などを設定できるのはストアのホームページだけでした。新しいテーマ「Dawn」のオンラインエディタを使えば、Productsページでもコードを書かずに簡単に新しいページテンプレートを作成して、データ入力ができるようになります。このオンラインエディタのアップデートにより、他のページビルダーアプリが不要になるかもしれません。
この更新されたアーキテクチャに対応したテーマ「Dawn」は2021年8月にリリース予定です。
Shopifyには商品情報などにストア独自の項目を追加する「メタフィールド」という機能がありますが、利用するにはアプリ(「Metafields Guru」など)をインストールする必要がありました。
今回のアップデートで、標準のストア管理画面からメタフィールドの追加ができるようになりました。また、追加項目にはコンテンツタイプ(テキスト、数値、日付など)を指定可能で、不正な値が入力されないようデータを保護することができます。
例えば、商品情報に対して「店舗ごとの商品タイプの設定」を追加した場合、商品管理画面に「店舗ごとの商品タイプの設定」の入力フォームが追加され、オンラインエディタには商品セクションのブロック項目として「店舗ごとの商品タイプの設定」を選択することができます。
Shopifyの魅力には、アプリ追加で機能拡張ができることがありますが、これまで、画面表示に影響があるアプリは、インストール後にテーマのソース(Liquid)に表示用のコードを別途、書き込む必要がありました。今回Theme app extensionというアップデートで、アプリとテーマが分離されるようになり、アプリごとにカスタマイズ画面から追加が可能になりました。アプリ独自の項目を画面に表示する場合、コードを編集する必要はなくなります。テーマエディタでアプリ用のTheme Blockを選択し、挿入位置を指定することでアプリの組み込みは完了します。
また、アプリのアンインストール時に、不要なファイルや記述が残り、表示速度など動作に影響が出るなど、バグ調査や修正が大変でした。このアップデートでアプリがテーマに追加したリソースも削除されるので、構築作業がスムーズになることが期待できます。
上記のほかにも注目しておきたいアップデートがあるのでご紹介します。
テーマのソースをGitHubと連携できるようになり、バージョン管理可能になります。
ページのレンダリングが改善します。決済ページにも適用され、大量のトランザクションへの対応も向上します。
決済ページにおいて、アプリを介してチェックアウトを拡張できるようになります。(従来は決済ページのカスタマイズはShopify Plusアカウントでしか行えませんでした)。
今回のShopify Unite 2021では、EC事業者だけではなく、アプリ開発者や幅広い層に向けた、様々な機能アップデートが公表されました。この記事では、主にEC事業者様向けの情報を3つに絞ってお伝えしましたが、ますますShopifyでの自社>EC構築の魅力を高める内容でしたね。
ノーコード開発の推進によりストア構築のハードルがこれまで以上に下がるので、単純な構築は外部委託なしでチャレンジしてみようという企業様が増えるかもしれません。ヘッドレスコマースによるストアフロントの開発など、Shopifyの拡張ポイントはかなり広いため、全ての情報を追い続けて対応していくのであれば、社外に委託されるのも良いでしょう。
また今回は詳しくご紹介しませんが、アプリ開発においても、開発者がShopifyに支払うレベニューシェアの軽減や様々な機能アップデートが行われました。それにより、現在6000個と言われているアプリの数は、今後、さらに増えることが予想されます。
TOPPANクロレでは、お客様のShopifyストアの構築・運用から独自のShopifyストア運営に基づく広告・CRMの実装実験、オリジナルアプリ開発も行っています。
ぜひお気軽にご相談ください。
Shopify Unite 2021はYouTubeライブで行われ、アーカイブが視聴可能です。
Shopify Unite 2021 | Coding commerce. Together.