自社でECサイトを構築するにはさまざまな方法があります。中でも、特別な技術がなくても手軽にサイトを立ち上げられるとして、今、注目されているのがASP。ASPも種類は豊富ですが、国内で人気が高いのは、Shopify(ショッピファイ)、BASE(ベース)、STORES(ストアーズ)の3つです。このコラムでは、ECサイトの構築を考えている方や、どのサービスを選べばよいか迷っている方のために、3つのASPそれぞれの概要を紹介したうえで、料金や特徴を比較します。
ASPは、Application Service Provider(アプリケーション・サービス・プロバイダ)の略で、アプリケーションソフトの機能をインターネット経由で提供するサービスや事業者を指します。ECサイトを構築するASPは、専門知識がなくても手軽にECを始められ、費用も抑えられるとして、近年人気が高まっています。
Shopifyは、世界170カ国以上、数百万店舗以上のストアで利用されている、カナダ発のECプラットフォームです(※1)。Shopifyには、次のような特徴があります。
Shopifyの月額費用はプランによって異なり、ベーシックが25米ドル、スタンダード69米ドル、プレミアム299米ドルです(※年払いのディスカウント適用価格)。どのプランも、最初の1か月間は月額1米ドルで利用できます。上位プランは、月額費用は上がりますが1件当たりの取引手数料の割合が下がるため、取引数が多いほど割安になります。
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Shopifyの料金プランの詳しい解説は下記でご覧いただけます。
Shopifyの手数料はいくらかかる?料金体系とプランごとの料金を詳しく解説
Shopifyは決済機能が豊富で、各種のID決済や代引き(連携サービスを利用)にも対応が可能です。また、独自のオンライン決済サービス「Shopifyペイメント」を利用すれば、取引手数料と振込手数料が無料になるという大きなメリットがあります。
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Shopifyペイメントの詳しい解説は下記でご覧いただけます。
Shopifyペイメントとは?特徴とメリット、そのほかの決済サービスも紹介
Shopifyは基本的な機能を備えていますが、Shopifyアプリを利用することで多様な機能が追加できます。Shopifyアプリは8,000種類以上(※2)あると言われており、ECサイトの運営管理や外部システムとの連携、業務効率化に役立つアプリのほか、SEO対策やカゴ落ち対策といったマーケティング施策に使えるアプリも豊富です。
ただしShopifyアプリは多くの企業が開発、提供しています。外国企業が提供するアプリのなかには日本語のサポートがないものもあったり、アプリ同士が干渉し合ってうまく機能しないこともあるので、選定には注意が必要です。
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Shopifyアプリの詳しい解説は下記でご覧いただけます。
【厳選Shopifyアプリ10】売上拡大につながる、使いやすい定番アプリを紹介
Shopifyは世界中で使われているASPなので、多言語・多通貨に対応するアプリが充実しています。海外を対象にした越境ECを考えている場合は、Shopifyを検討してみましょう。
Shopifyストアの商品を楽天市場で販売する場合、商品情報の登録や在庫管理、発送処理、売上管理などを、Shopify側で一元的に行うことができます。
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Shopifyと楽天の連携についての詳しい解説は下記でご覧いただけます。
【Shopifyと楽天の連携】Shopifyから楽天市場に出店が可能に!メリットや注意点を解説
※1、2とも出典:https://www.shopify.jp/
BASEは、マザーズに上場しているBASE株式会社が運営するASPです。売りにしているのは“3つの項目を埋めるだけでショップが開設できる” ほど、誰でも簡単に制作できるハードルの低さです。国内では190万以上のショップがBASEを利用しています(※)。
BASEではサイト構築にかかる初期費用、月額利用料が無料です。スタンダードプランは、商品が売れた段階で、売上金額の3%のサービス利用料と3.6%+40円の決済手数料を支払います。この費用は、ほかの2社の有料プランに比べて高めの設定になっています。
この他、月額料金が16,580円(※)、決済手数料が2.9%のグロースプランもあります。
※年払いの1ヶ月当たりの料金。月払いの場合の月額料金は、19,980円となります。
BASEでは、BASE Appsというアプリを使って機能の追加が可能です。BASE Appには、配送日指定や予約販売、顧客管理など、ECサイト運営に役立つ機能がそろっています。まずはシンプルな機能でスタートし、必要に応じて機能を充実させることができます。
主なアプリは無料ですが、一部に有料のものやアプリ内課金が必要なものもあります。
BASEで構築したショップの情報は、1,100万人以上が利用するショッピングアプリ「Pay IDアプリ」に掲載されます。また、全国の商業施設へのポップアップ出店をサポートする独自のサービスもあります。
ヘイ株式会社が運営するSTORESは、初めてECに取り組む人にも分かりやすく、簡単なのに本格的なECサイトを構築することができるASPです。
STORESではフリープランと有料のベーシックプラン(2,980円/月)のどちらかを選択します。フリープランでは売上に対して5%の決済手数料が必要ですが、ベーシックプランではこの料率が3.6%に下がります。
立ち上げ当初はフリープランを選択し、売上が増えてきたらベーシックプランに切り替えることもできます。
STORESは、定期販売や予約販売の機能、メールマガジンの配信、クーポン、Instagram販売連携などをもともと備えています。電子チケットやデジタルデータを販売する機能もあります。
スタンダードプランを選べば、ECサイトに動画を埋め込む機能や、代引き支払い、アクセス解析などの追加機能も利用できます。
商品の保管、梱包、発送を代行する倉庫サービス(有料)が利用できるのも、STORESの特徴のひとつです。商品を指定倉庫に送っておき、発注があったらダッシュボード上で出庫指示を出すという簡単なフローで利用できます。
ここからは、サイトを構築する際に気になるポイントについて、3つのASPを比較します。まずは料金と手数料を見てみましょう。
Shopify | BASE | STORES | |
---|---|---|---|
初期 費用 |
無料 | 無料 | 無料 |
月額 料金 |
33~399 (年払いの場合は25~299米ドル) |
無料 | フリープラン:無料 ベーシックプラン:2,980円(クレジットカード払いの場合は初月無料) |
決済 手数料 |
3.25~3.85%※ | スタンダードプラン:3.6%+40円 グロースプラン:2.9% |
フリープラン5% ベーシックプラン3.6% |
取引 手数料 |
Shopifyペイメント利用の場合、無料 | (名称はサービス利用料)スタンダードプラン:3% グロースプラン:無料 |
無料 |
入金 手数料 |
Shopifyペイメント利用の場合、無料 | 【振込手数料】 一律250円 【事務手数料】 2万円未満: 500円 2万円以上: 無料 |
【振込手数料】 一律275円 【事務手数料】 1万円未満: 275円 1万円以上: 無料 |
※Shopifyペイメントの決済手数料はクレジットカードの種類によって異なります。
どのサービスも初期費用はかかりません。BASEとSTORESでは、売上が入金される際の振込手数料や事務手数料(入金額が少ない場合)が必要です。Shopifyでは「Shopifyペイメント」を利用すると、取引手数料と振込手数料が無料になります。
次に、各サービスで利用可能な決済方法を比較します。
Shopify | BASE | STORES | |
---|---|---|---|
クレジット カード |
Visa MasterCard JCB American Express |
Visa MasterCard JCB American Express |
Visa MasterCard JCB American Express Diners |
コンビニ 決済 |
〇 | 〇 | 〇 |
銀行振込 | 〇 | 〇 (三井住友銀行) |
〇 |
キャリア 決済 |
〇 | 〇 | 〇 |
ID 決済 | Apple Pay Google Pay Shop Pay Amazon Pay PayPal |
Amazon Pay PayPal |
楽天ペイ PayPal Amazon Pay※ |
代金引換 | 〇 | × | △ ベーシックプランのみ |
後払い | 〇 |
〇 (Pay ID) |
〇 |
※STORESのAmazon Payはベーシックプランのみ可能。
最も柔軟に決済方法を選択できるのはShopifyです。連携サービスを利用することによって、代引きや後払いにも対応できます。
規模が小さいうちは、売上をすぐに運転資金に回すケースが多いため、入金サイクルは気になるところです。
Shopify | BASE | STORES | |
---|---|---|---|
入金 サイクル |
【Shopifyペイメントの場合】 「毎週」又は「毎月」を選択できる |
振込申請から10営業日 最短で翌営業日に振り込まれる「お急ぎ振込」あり ※1 |
月末締め翌月25日払い 翌日振込が可能になる「スピードキャッシュ」あり ※2 |
※1:BASEの「お急ぎ振込」には振込み申請した金額の1.5%の手数料がかかります。利用には審査が必要です。
※2:STORESの「スピードキャッシュ」は、最低2カ月前後の利用実績があり、振込対象売上が1万円以上のショップが利用できます。申請金額に対しフリープラン3.5%、スタンダードプラン1.5%の手数料がかかります。
自社ECの個性を表現するために、サイトのデザインは十分吟味したいものです。ASPでは、用意されているデザインテーマ(テンプレート)から、好きなものを選んでサイトを構築します。
Shopifyには、10以上の無料テーマと170以上の有料テーマがあります(※1)。「健康と美容」「おもちゃとゲーム」といった業界別やカタログサイズ(商品数)別に、適したテーマを検索することができます。
BASEには、デザインパーツで自由にカスタマイズできる無料のショップテーマと、デザイナーが作成したワンランク上の有料テーマがあります。有料テーマは80種類以上あり、現在も増加中(※2)。「BASE デザインマーケット」から選択します。
STORESは48種類の無料テーマを用意(※3)。POP系、COOL系、NATURAL系、SIMPLE系といったテイスト別に選ぶことができます。全体的にシンプルなデザインですが、メニュー項目の位置や内容を簡単にカスタマイズできます。
※1:出典 https://themes.shopify.com/themes?locale=ja
※2:出典 https://design.thebase.in/tag/all
※3:出典 https://stores.jp/ec/shopdesign
ASPを選ぶ際には、それぞれの特徴を理解したうえで、自社の状況に合ったものを選ぶとよいでしょう。
例えば、初めてECサイトを開設する個人や、実店舗のプラスアルファとして開業する小規模なECであれば、初期費用の低いBASEが取り掛かりやすいと考えられます。より積極的に事業拡大を見据えているなら、売上の上昇に従って手数料率を下げられるShopifyを、オペレーションにあまり人手をかけたくないなら、倉庫サービスが使いやすいSTORESを、といった選択が考えられます。
各Webサイトには、利用者の声やサイトの実例がたくさん載っています。ぜひチェックして自社の事業に合ったASPを選んでください。
事業規模が一定以上になると、費用面のメリットが大きくなるのがShopifyです。ECに本格的に取り組みたい場合は、Shopifyを選択肢に入れることをおすすめします。TOPPANクロレでは、ShopifyによるECサイト構築をサポートしています。どんなことでもご相談ください。