好調だったECサイトの売上が最近伸び悩んでいると感じたら、サイトのリニューアルを検討する時期かもしれません。ただ、ECサイトのリニューアルやリプレイスには時間とお金がかかります。しっかりタイミングを見極めて、入念に計画を立てましょう。この記事では、リプレイスも含めたリニューアルを行うタイミングや計画策定のポイント、実際の手順などを解説します。
ECサイトのリニューアルを検討する大きなタイミングは、売上や利益が落ちたり伸び悩んだりしているときです。売上が伸びているのであれば、デザインや機能が古くなっていても、コストがかかるリニューアルを急ぐ必要はありません。
しかし、売上が以前のように伸びない場合には、何が問題となっているのかを早急に確認し、解決策を取るべきです。もし次のような問題があるときには、リニューアルを検討してみましょう。
導入時には最新だったシステムも時間がたつと老朽化して、セキュリティが弱くなる、新しいインターネット技術に対応できなくなる、といった問題が起きます。システムが古いと動作が遅くなり、業務効率が落ちる場合もあります。
ASPで構築したECサイトはサービスプロバイダがシステムを最新に保ちますが、オープンソースやパッケージを利用している場合は対策が必要です。
事業の規模が大きくなるにつれ、ECサイトに必要な機能は変わります。商品管理や会員管理、決済管理などの機能が足りないと、人手による作業が増え、コストがふくらんで利益を圧迫する可能性があります。
マーケティング系の機能が十分でなく、販促施策が思うように行えない、希望する外部システムとの連携ができないといった場合には、競争力が落ちてしまいます。
スマートフォンやタブレットなど、ECサイトもモバイルへの対応はもはや必須です。Googleの検索アルゴリズムも、Webサイトがモバイル対応しているかどうかを重要視しています。
PC用のサイトしかない場合には、スマートフォン対応のECサイトを用意する、機器の画面に合ったレイアウトを表示するレスポンシブデザインを導入するといった変更が必要です。
上記のような課題を解決するためのECサイトのリニューアルが決まったら、まずは目的や予算、スケジュールを検討します。詰めが甘いと、予算やスケジュールが超過する、ユーザー流入が逆に減ってしまうといった事態もあり得ます。
リニューアルの最終的な目的は売上の最大化ですが、そこに至る具体的な目的として、サイトの「どこ」を「どう」改善するかを定めましょう。そして「何」を「どの程度」達成するかといった明確な数値目標を立てます。
リニューアル方法は、今までの集客努力を無駄にしないように考えて選択しましょう。例えば、SEOを強化してきたページもURLを変えてしまえば流入が止まってしまいます。URLを変えずに移行できるのが一番ですが、変更する場合は元のURLからリダイレクトするようにします。
最も大切なことは、顧客にとって分かりやすく、利用しやすいECサイトにすることです。UI(ユーザーインターフェース:閲覧や入力のしやすさ)やUX(ユーザーエクスペリエンス:顧客体験)を重視してデザインを選びましょう。
ECサイトのさまざまな業務を行っている各担当者の声を反映することも必要です。現場の使い勝手の良さが、結果的にミスのないスムーズなサイト運営につながります。
社内の確認時間、オープン前のテストや新しいフローのトレーニングに必要な時間も考慮して、無理のないスケジュールを作りましょう。
ECサイトのリニューアルは、一般的には次のような手順で行います。
リニューアルをプロジェクト化し、メンバーを集めます。メンバーは、ECサイトの現在の担当者、チームリーダー、決定権を持つ人で構成します。
現在の担当者は、ECサイトの現状や業務フロー、社内のルールを知るうえで重要です。業務効率を上げる方法も実態に基づいて検討できます。
チームリーダーは、チームの先導とまとめ役です。メンバーから情報を集め、それをまとめて計画に落とし込みます。リニューアルの実務を管理、推進し、開発会社との交渉や連絡の窓口になります。
決定権者とは、常に状況を把握したうえで一定の範囲内で判断を下せる人です。プロジェクト内に決定権者がいると、決裁のスピードが上がり、責任の所在もはっきりします。
「何のためにリニューアルをするのか?」という目標を共有し、リニューアル後のECサイトの完成像をプロジェクトチーム内で明確にします。
そのうえで開発業者へ提示するRFP(Request For Proposal:提案依頼書)を作成します。RFPとは、開発会社にリニューアルに必要な要件や実現したい業務を具体的に示して、提案を依頼する書類です。
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RFPについての詳しい解説は下記でご覧いただけます。
RFP(提案依頼書)とは?ECサイト改修を成功させるために必要な項目や作成のポイント
■RFPのまとめに役立つ資料はこちら
➡【サイト制作・リニューアルをお考えの方へ】Webサイト制作準備シート(Excel形式)
制作実績や強みに着目しながら、新しいECサイトを理想どおりに実現できそうな開発会社を複数選び、RFPを使ってリニューアルの要望を伝えます。各社の提案を比較し、希望に最も近い提案をした開発会社を選びます。
ECサイトを制作するときに、依頼側の要望を開発会社が具体的な要件に落とし込み、互いの認識をすり合わせる重要な工程が要件定義です。
要件定義の出発点となるのが、業務要件の定義(業務フローの確認)です。現在のECサイトでは受注後にどのような流れで処理を行い、商品を配送しているかといった業務フローや社内ルールを開発会社に伝え、効率を上げるための具体的なプランを検討します。
次に、どういった方法で新しいサイトを作るかといったシステム要件、どんな機能を搭載するかといった機能要件、ECサイトのデザインやセキュリティなどに関する非機能要件などを細かく定義し、コンセンサスを取ります。
各要件についての互いの認識にギャップがなくなったら、開発会社が設計、開発を始めます。
設計や開発の期間中は定例会議を開き、進捗状況、今後のスケジュール、必要な準備などを確認します。サイトデザインや商品情報の登録画面、ページ遷移などが希望どおりになっているかを細かく確認し、必要に応じて修正を依頼します。
開発会社が開発をしている間に、リニューアルオープンに向けて準備をします。
リニューアルによって運用の手順が変わる部分がないかを確認し、あれば運用ルールを更新して社内で共有します。
商品データや顧客データ、受注データなどを新しいシステムに移行する場合は、事前に作業方法や注意事項を確認しておき、新システムが立ち上がった段階で移行させます。
開発会社とはリリース後も連携が取れるようにしておきます。万が一エラーやシステムトラブルが発生したときに、対処やサポートを依頼するためです。
新サイトが完成したら、外部とのデータ連携に問題がないかを確認し、実際に購入手続きをするテスト運用を行ったあとに、いよいよ公開です。
既存顧客が迷わないようにお知らせメールを送り、あわせてリニューアルキャンペーンのような集客施策を行うといいでしょう。
公開後は一定の期間を空けて、リニューアルの成果検証を何回か行います。旧サイトの課題が解決できているか、売上の推移や顧客のサイト上の動きなどを確認し、課題があれば修正をして、ブラッシュアップしていきます。
ECサイトをリニューアルすべきタイミングは、売上が落ちたり伸び悩んだりしているときです。伸び悩みの原因を探り、どのようなリニューアルをすれば売上と業務効率を上げられるのかを考えます。リニューアルでは、開発会社とのコミュニケーションがとても重要です。打ち合わせや定例会議を繰り返し開催して、認識のギャップをなくし、意思の疎通を図ることが、リニューアルを成功させる秘訣(ひけつ)です。リニューアル後は成果検証と修正を行い、理想のECサイトに成長させていきましょう。
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