ECサイトでは、多くのユーザーが商品を選ぶ際にレビューを参考にします。そのため、現在ではほとんどのECサイトがカスタマーレビュー機能を搭載しています。しかし、レビューがあまり集まらなかったり、「ネガティブなコメントを書かれたら不安」といった悩みを持つ担当者の方もいるでしょう。そこでこの記事では、カスタマーレビューの活用法や増やし方のほか、低評価レビューへの対応方法について解説します。例として、Amazonのカスタマーレビューについても詳しく紹介します。
カスタマーレビューとは、「商品やサービスの購入者・利用者が投稿する、商品やサービスに対する意見や感想」のことです。そうした意見を投稿できる機能やサービスを指すこともあります。
実際に手に取って商品を確認できないECサイトでは、購入者が投稿したカスタマーレビューを参考にサイズや使い勝手などを判断しています。つまり、カスタマーレビューから購入の可否を決めるユーザーが多く、重要な判断材料となっているのです。
総務省の調査(※)によると、ECサイトを利用するときにレビューを「かなり参考にする」「まあ参考にする」人は20~40代で8割弱、50代、60代でも6割以上に達しています。
※出典:総務省「平成28年度情報通信白書」
カスタマーレビューには、商品そのものだけでなく、サイトの使い勝手や配送状況、梱包、問い合わせへの対応といった企業の取り組みに対する声も多く寄せられます。そうした企業評価のレビューもまた、消費者の購買行動を左右します。
こうしたことから、現在ではAmazonや楽天市場などの大手ECサイトをはじめ、ほとんどのECショッピングモールがカスタマーレビューを公開しており、顧客が星の数で満足度を表す採点やレビューの投稿を積極的に集めています。
顧客から寄せられたカスタマーレビューには多くの販売者やメーカーが注視しており、その評価やコメントを活用して、マーケティングや、商品・サービスの改善に取り組んでいます。
次に、カスタマーレビューにはどんなメリットがあるのかを整理します。
カスタマーレビューは、ユーザーにとっては直接的な利害関係のない第三者からの情報です。多くのコメントは顧客の「良かったから人に勧めたい」「ここに不満があったので注意を喚起したい」といった気持ちから書かれています。
これから購入を検討するユーザーはそうしたカスタマーレビューに共感したり、参考にしたり、さらには高評価、悪評価に関わらず、リアルな意見が忖度(そんたく)なく掲載されていることが、商品やECサイト自体にも信頼感につながり、その信頼感が結果的にコンバージョン(商品購入)につながります。
カスタマーレビューは、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の一種と考えられます。検索エンジンはUGCの多いサイトを高く評価するため、良質のカスタマーレビューがたくさん掲載されているサイトは、検索結果の上位に表示されやすくなります。
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下記のページでは、UGCについてより詳しく説明しています。
UGCとは?マーケティングで注目される理由と特徴、活用方法を解説
顧客の評価や生の声には、商品やサイトを改善するヒントが詰まっています。
なかには低い評価やネガティブなコメントもあるでしょう。そうした声も謙虚に受け止めることにより、商品やサービスを積極的に見直し、より良いものにする契機にできるのです。
カスタマーレビューのコメントは、積極的にマーケティングに活用されています。その例を紹介します。
ECサイトでは伝えきれない使用感を顧客が書いてくれることで、商品情報を補完することができます。
例えば、衣類や靴のようにサイズ感を伝えることが難しいジャンルでは、顧客が自分の体形(サイズ)と商品のフィット感などをカスタマーレビューとして投稿してくれたら、購入を検討する人の参考になります。レビューの入力欄にサイズの項目を設ける、なるべくサイズを書いてもらうよう依頼するといった方法により、購入を検討している人にとって役に立つレビュー情報を増やせます。
カスタマーレビューのなかでも、トップレビュー(評価の高いコメント)は、ECサイトにとっての宝物です。トップレビューをピックアップして、ECサイトのトップページや商品説明の中に掲載しましょう。
顧客の目から見た商品の魅力を分かりやすく伝えることで、新たなユーザーの関心を引くことができます。
ECサイトを閲覧しているユーザーに「あなたにおすすめの商品」を表示するのがレコメンド機能です。レコメンド(recommend)は文字通り「おススメ」ですので、評価の星の数で、ほかの商品との比較がしやすくなり、ユーザーの利便性が上がります。
カスタマーレビューを精査することにより、商品やサービス、ECサイトの改善につながるヒントが見つかります。
例えば、レビューに「色やデザインが思っていたものと違った」という意見が多ければ、商品の画像や詳細情報の内容を見直す必要があります。
このように重要な意味を持つカスタマーレビューですが、待っていたら自然と集まるようなものではありません。レビューを積極的に増やすには、次のような方法があります。
顧客に商品が届き、商品を使い始めたタイミングで、到着の確認や商品のコンディション、使い勝手などを尋ねるフォローアップメールを送り、そのなかでレビューの投稿を依頼します。心遣いを感じさせるメールの中であれば、「声を聞かせてください」というメッセージを違和感なく伝えられます。
商品を送るときに同梱する文書の中でも、カスタマーレビューを依頼します。お礼の商品や次に使えるクーポン券などの特典とともに依頼することで、前述のメールと同様、顧客に自然に受け止めてもらえます。
良い内容であれ、悪い内容であれ、カスタマーレビューに対してきちんと返信をしていると、ほかのユーザーからも投稿されやすくなります。自分の投稿にも丁寧に対応してくれるだろうと、信頼感を持たれるためです。
レビューを書いた顧客に次回の割引やポイントを贈るといった、特典付きのキャンペーンも有効な施策です。
ただしやりすぎると、信ぴょう性の低いレビューが多く集まり、読んだユーザーに不信感を持たれる可能性があるので注意しましょう。
顧客にとってレビューを書くのは面倒な作業です。入力項目が多いと、途中でやめる人も出てきます。投稿フォームの項目は必要なことだけに絞り、できるだけ簡単に入力できるようにして、投稿する顧客の離脱を防ぎます。
低い評価やネガティブなコメントは謙虚に受け止め、商品やサイト、サービスを見直すために積極的に活用しましょう。
ネガティブなコメントには返信をし、その事象が起きた状況や理由、今後の改善点などを丁寧に説明します。顧客の不満を理解し、問題を解決しようとする企業としての誠実な姿勢を示すことが大切です。
そうすれば、評価した人だけでなくレビューを見るユーザーも、顧客の声をしっかりと受け止める企業として信頼感を抱くはずです。そのときは面倒に感じるかもしれませんが、適切な対応をすることによって、ピンチをチャンスに変えることができます。
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顧客のクレームと再購入率には相関関係があることを示した「グッドマンの法則」について、下記で詳しく説明しています。
グッドマンの法則とは?クレーム対応は顧客満足度を上げる好機!
カスタマーレビューを集めるときには次のような点に注意をしましょう。
レビュー投稿では、ステルスマーケティング(※)やサクラを使った“やらせ”は絶対にいけません。ユーザーに疑われてしまうと、ECサイトや企業自体の信頼を大きく損ないます。
また、特典付きの投稿キャンペーンを行うときは、賞品金額の上限を定めた景品表示法に違反しない範囲で企画を立てることも大事です。
さらにECモールによっては、キャンペーン内容に規制を設けている場合があります。
例えば楽天市場では、「これから購入する商品のレビュー投稿を約束すると、その代金を割り引く」といった特典を認めていません(次回に使える特典の付与はOK)。ECモールの場合は、それぞれのカスタマーレビューに関するルールを確認しておきましょう。
※ステルスマーケティング:宣伝広告なのに、そうでないかのように装って第三者的な口コミやレビューとして情報を発信するマーケティングの手法
時にはカスタマーレビューに事実と異なる情報が書かれる場合があります。誹謗(ひぼう)中傷の類のコメントであれば、風評被害につながりかねません。誤った情報は放置せず、毅然とした態度で削除や削除依頼の対策を取りましょう。
Amazonのカスタマーレビューは、商品レビューと出品者評価の2種類があります。商品レビューは商品そのものに対しての意見や感想、出品者評価は商品の梱包の状態や発送までの時間、問い合わせへの対応など、出品者のサービスに対しての評価です。
購入していない商品に対してもレビューをすることはできます。しかし、購入していない商品に対して行う、短期間の連投や悪質なレビューは削除されます。そのような場合は、商品を購入したユーザーレビューのみを掲載する措置が取られることもあります。
カスタマーレビューは、商品を購入したユーザーが商品を批評して投稿しますが、どのような内容のレビューを投稿してもかまわないというわけではありません。
Amazonでは、販促目的のレビューは禁じられています。販促目的のレビューとは、以下のような内容のものです。
上記のような販促目的のレビューは、投稿してもすぐに削除されます。
カスタマーレビューは、自分の考えや体験を他のユーザーと共有できる場です。そのためAmazonでは、ユーザーも出品者側も安全に利用できるように、コミュニティガイドラインが設けられています。
Amazonのコミュニティガイドラインでは、禁止事項とそうでない事項について説明されています。以下の機能はコミュニティガイドラインの対象となるため、利用する前に確認しておきましょう。
万が一ガイドラインに違反した場合は、以下のような措置が講じられる可能性がありますので注意しましょう。
Amazonには、注文数・購買率・レビューの数や評価などから商品の掲載順位を決定できたり、商品詳細ページ内でカスタマーレビューを検索できるという機能があります。
これらの機能を導入することで、ユーザーがカスタマーレビューを参考にしながら商品を購入するか否か、判断しやすい仕組みが作られています。
また、レビューに対してコメントが付いた際にメールでお知らせを受け取れるという機能もAmazonの特徴的な機能です。
Amazonのカスタマーレビューは、コミュニティガイドラインが明確化されていたり、特徴的な機能もあることからレビューが多く集まっています。
非常に便利な機能ですが、Amazonのカスタマーレビューには以下のような注意点もあります。
上記の注意点を踏まえ、Amazonのカスタマーレビューを活用するか否かを判断しましょう。
ECサイトのカスタマーレビューは、信頼の獲得に貢献し、結果的にコンバージョン率を向上させます。さらに顧客の生の声からは、サイトや商品の改善につながるヒントも見つかるはずです。
レビューが集まるのをただ待つだけではなく、積極的にレビューを集めて活用し、コンバージョン率を上げていきましょう。
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