自社ECサイトの新設やリニューアルを行うには、ASP、オープンソースなど4つの構築方法があります。どの方法を選択するかは、ECサイトの規模や予算によって異なりますが、それぞれの特徴や違いを把握したうえで選択することが重要です。今回はそのなかでも、中規模・大規模のECサイト構築に向いたECパッケージを紹介します。ECパッケージの基本機能から自社に合ったECパッケージ・ベンダーを選ぶポイント、おすすめのパッケージ3選を比較、解説します。ECサイト構築を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
ECパッケージとは、ECサイトを運用するうえで必要な基本機能を最初からパッケージにして販売している商品です。さまざまな機能をオプションとして追加することもでき、ニーズに合わせてカスタマイズをしやすいECサイトの構築方法です。
ECサイトを構築する方法にはECパッケージのほかに、ASP、オープンソース、フルスクラッチといったものがあります。ECパッケージについて説明をしたうえで、他の構築方法の特徴も簡単に紹介します。
ECパッケージは、ECサイトの運用に必要な機能がすべてそろっており、カスタマイズの自由度が高い構築方法です。ただし、導入費用が比較的高額なため、商品点数が100点以上あるような中規模・大規模のECサイトの構築に適した制作方法と言えます。
ECパッケージは基本的にソフトウェアの形で提供され、自社のパソコンやサーバーにインストールして利用します。ただし、最近ではクラウド型のパッケージも登場。管理コストを削減できるうえに常に最新の機能を使えるとして人気が出ています。
ASPはApplication Service Providerの略称で、ECサイトに必要なカートや顧客管理、販売管理システムをインターネット上で提供するサービスです。自社でサーバーの保守や管理をする必要がないため、比較的安価に導入が可能ですが、カスタマイズやデザインの自由度は低いサービスです。
オープンソースとは、プログラムが公開されているソフトウェアを使って構築する方法です。ECサイト専用のものもあれば、WordPressのようにプラグインを追加することで、ECサイトを構築できるものもあります。ソフトウェアは無料ですが、専門知識がないと自作は困難です。また、プログラムが公開されているため、セキュリティ対策を自社でしっかり行う必要があります。
ECサイトをゼロから開発して制作する方法をフルスクラッチと言います。オリジナルで自由にサイトを作れますが、その分、専門技術が必要で開発費用は高額になり、開発期間も長くなります。
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ECサイトの構築方法については、下記コラムもご覧ください。
ECサイト構築の手順を4つの手法別に比較解説!費用感や選び方のポイントまで
一般的なECパッケージの基本機能は、ECサイトの顧客とコミュニケートするための「フロント機能」と、業務をスムーズに遂行するための「バックオフィス機能」の2つに分けられます。それぞれの例をいくつか紹介します。
顧客がサイト上で商品を検索できるようにする機能です。キーワード検索だけのものもあれば、価格・在庫、バリエーション(カラー・サイズ)などで検索できる機能もあります。
商品を購入するカートの機能のほか、届け先・配送方法、支払方法を選択する機能も含みます。クーポン利用やポイント付与ができるものもあります。
会員登録やログインができるようにします。会員向けのメール配信機能を含むパッケージもあります。
自分の購入履歴やポイント履歴、クーポンなどを確認できます。会員情報の変更や退会の機能もマイページで行えるようになっています。
商品や商品カテゴリの登録や編集をするほか、在庫商品や返品のデータを管理します。
注文商品、数、金額、注文者、発送先、日時指定といった顧客からの注文情報と、対応ステータスを管理します。多くの場合、注文確認や発送連絡のメール送信もこのシステムで行います。
ECサイトに登録された顧客の情報、注文履歴、会員ランクなどの管理を行います。
そのほか、パッケージの種類によっては、ABテスト、MA(マーケティングオートメーション)、売上分析といったものを基本機能として含む場合もあります。BtoB EC用のECパッケージでは、企業間取引に必要な機能が用意されています。
ECパッケージはECサイトの運営に必要な機能を多彩に備えている点が大きなメリットですが、ほかにもさまざまな長所があります。またデメリットもあります。
ECパッケージには、カスタマイズがしやすいという特徴があります。例えば、ビジネスのニーズに合わせて、店舗とECサイト上の顧客や在庫の情報を一元管理するオムニチャネル機能を追加したり、グローバル機能を取り入れて多言語対応を可能にしたりすることも、比較的容易です。
また、自社の基幹システムや既存の在庫管理・顧客管理システムとの連携だけでなく、「出荷指示データを物流倉庫と連携する」といった外部とのシステム連携も可能。自分たちの使い勝手を追求した、オリジナルなECサイトを構築することができます。
ECパッケージを使ったサイト構築では、サービスの提供者であるECベンダーが主体となって、システム設計、プログラム開発、テストなどを行います。そのため社内にプログラマーやデザイナーなどの専門スタッフを抱える必要がありません。
ECベンダーは、リリース後のサイトのメンテナンスはもちろん、サイト運営やマーケティングに関する情報提供やアドバイスといったサポートもしてくれます。日進月歩のECでビジネスチャンスを逃さないためには、専門家の情報や助言は貴重です。
ECパッケージは多くの機能を搭載していることもあり、一般的に基本機能の導入で100万円以上、カスタマイズを加えると開発費が500万円近くになる場合もあります。サーバーの維持管理、メンテナンス、運用サポートにも費用がかかります。
さらにECサイトのシステムは、顧客の要望やネットのトレンドの変化などによって、定期的な改修やバージョンアップが行われます。ECパッケージの場合はそのたびに費用を負担しなければなりません。ただしクラウド型の場合は、常に最新のシステムになっているため、バージョンアップの必要はありません。
ECの世界は移り変わりが激しいため、要件が決まったらできるだけ早くサイトを完成させ、運用を開始したいものです。しかしECパッケージは、機能の選択やカスタマイズによりますが、運用開始までに3カ月以上かかることが多くあります。
では、何を目安に自社にとって最適なECパッケージやECベンダーを選べばよいのでしょう?3つのポイントを説明します。
ECパッケージには一般的なECサイトに必要な機能がそろっていますし、さまざまな便利な機能も追加できます。しかしあれもこれもと機能を増やしても、使いこなせなければ意味がありません。開発コストや時間もかかります。ですから、どのようなECサイトを作りたいのか、何を実現したいのかを明確にしたうえで、そのために重視したい機能を絞り込むことが大切です。
またECベンダーによって、得意な分野や力を入れている機能が異なります。候補を挙げる際は、自分たちが欲しい機能に力を入れているかどうかを確認します。何社かに声をかけ、要望をしっかり実現できるECパッケージを見つけましょう。
選定の際には、ECベンダーが類似の業種や商材のECを手掛けた実績があるかどうかを確認しましょう。開発者は過去に作ったフレームをベースにサイトを作ることがあるため、類似の実績があると、開発期間が短縮でき、コストも削減できる可能性があります。
実際にそのECパッケージで作られたECサイトを見せてもらい、インターフェースや管理画面の使い勝手を確認することも大切です。
ECパッケージで構築したECサイトの耐用年数は一般的に3~5年といわれていますが、EC業界の動きは激しく、もっと早く陳腐化してしまう可能性もあります。また、売上やユーザー数の増加に合わせてECサイトの規模を拡大することもあるでしょうし、当初想定していなかった商材を扱うことになるかもしれません。
ECベンダーは開発だけでなく、サイトの運用やマーケティングを支援してくれるパートナーになります。中長期的な視野と、時代や状況の変化に柔軟に対応できる力があるかどうかも、ベンダー選定の目安になるでしょう。
おすすめのECパッケージを紹介します。
2021年度の国内ECサイトの構築実績が1,400サイトを超えたecbeingは、13年連続でシェアナンバーワンを獲得しています。その最大の特長は、豊富な実績を通して培ったノウハウです。多くの開発スタッフによる国内最大級のリソースを持ち、多様な業種のECサイト構築を支援しています。
ecbeing
年商100億円以上という大規模ECサイトの構築にも対応可能なEC-ORANGE。提供会社である株式会社エスキュービズムのECサイト連動型POSシステムと連動させれば、商品情報や受発注情報といった実店舗とECサイトのデータが一元化できます。オムニチャネルや小売店と連動するECサイトの構築に強みを持つパッケージです。
EC-ORANGE
累計700サイト以上で導入されているクラウド型ECパッケージです。クラウド型の強みであるトレンドに合わせたアップデートが随時行われていて、週に1度の無料アップデートにより常に機能が最新の状態に更新されています。改修コストを抑えながら、顧客のニーズに合った新しい機能を搭載したECサイトを構築することができます。
ebisumart
ECパッケージは、ECサイトの運営に必要な機能があらかじめ用意されているうえ、カスタマイズの自由度が高く、自社のビジネスに合った使い勝手の良いECサイトを構築することが可能です。ただし、パッケージによって得意な分野や力を入れている機能は異なるため、選定の際にはどういうECサイトを作りたいのか、そこで何を実現したいのかを明確にする必要があります。そのうえで、複数のECベンダーに話を聞いて、希望をかなえてくれる機能を持ったECパッケージを見つけましょう。
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