ECサイトの見た目は重要です。ECサイトのデザインは商品を魅力的に見せ、消費者の購買意欲をそそる効果があります。また、ECサイトの使いやすさはリピーター獲得にも重要です。しかし、デザインも機能もそろったECサイトをゼロからすべて作り上げようとすると非常に困難です。サイトを作る際のテンプレートとなる「テーマ」を利用すれば、比較的容易に整った見た目で機能も充実したECサイトを構築できます。この記事では、ECサイトのテーマについて詳しく解説します。
テーマとは、サイトやブログをつくるときにデザインや機能を決める「テンプレート」のことです。テーマを使わずにゼロからECサイトを構築するためには、WEBサイト制作やSEO(検索エンジン最適化)、商取引などに関するさまざまな知識や経験が必要です。しかし、テーマを使えば簡単に多種多様なデザインでECサイトを彩ったり、必要な機能を備えたりできます。テーマはECサイト全体の見た目や雰囲気だけでなく、機能や使いやすさも決定するのです。
個人や小さなショップ向けの無料のテーマもありますが、有料のテーマは高機能なため、企業がオンラインショップ構築に利用することも可能です。
テーマにはさまざまな形があります。よく使われているのは次の2種類です。
CMSはContent Management Systemの略で、WEBサイトのコンテンツや機能を管理するツールです。個人向けのものから、企業がビジネスに利用する高機能で大規模なものまでいくつかの種類があります。
WordPress(注1)で構築されたWEBサイトで利用できる、ECサイト用のテーマやプラグインのことです。プラグインをインストールすることで、ECサイトに必要な機能やデザインを実現できます。
※注1…世界で最も使用されているCMS。サイト管理や記事投稿がしやすく、専門知識がなくても簡単にサイトが作成できる。
テーマを利用したECサイトの構築には、次のようなメリットがあります。
テーマを利用すると、ECサイトの構築が簡単になるだけでなく、日々の更新作業も容易になります。ブログの更新のように、必要な項目を入力するだけでよいためです。また、多くのテーマではキャンペーンやセールなどの一時的なイベントの設定もできます。そのほか、リニューアルやデザインの変更、SNSとの連携なども簡単に行えるものが少なくありません。
SEOを考慮したテーマを使えばSEOに関するノウハウが不足していても手間をかけずにSEOに強いECサイトを作成することが可能です。多くのテーマは独自ドメインも利用できるため、SEO対策に効果的です。
多くのユーザーが利用しているテーマを使えば、豊富な先行事例が存在するため参考にできます。また、わからないところやトラブルがあっても解決しやすいので便利です。
テーマを利用すれば、ECサイト構築のための時間や費用は、ゼロからECサイトを構築するよりも少なくてすみます。予算やスタッフの少ない中小企業でもECサイト構築にチャレンジしやすいのです。
テーマの利用には、いくつかのデメリットもあります。デメリットも理解したうえでテーマを選定しましょう。
テーマの多くはかなり自由にカスタマイズできます。しかし、それ以上に高度なカスタマイズを行いたいときには、やはりWEBサイト構築のためのHTMLやCSS、PHPなどの言語やSEOなどさまざまな知識が必要となります。
ECサイトは顧客の個人情報や決済に関する情報を扱うため、セキュリティは非常に重要な問題です。しかし、無料のECサイト用テーマではセキュリティが弱い可能性があるため、セキュリティに関する知識のあるスタッフが対策を行う必要があります。
ECサイトで一番重要なのは、次の2つです。
この2つのポイントを押さえたECサイトを構築するためには、テーマの選定が非常に重要です。テーマを選定するときは、次のようなポイントに気をつけましょう。
ECサイトには、商品の世界観に合った、見やすいデザインのテーマを選びましょう。外観も商品を魅力的に見せるための機能の一部と考えられるからです。
売上増加につなげるためには、欲しい商品を探しやすい画面設計や、需要に合いそうな商品をおすすめする機能も必要です。
目的のページへの動線や操作方法がわかりやすく、ECサイト全体の中で迷子になりにくいデザインのテーマを選びましょう。ECサイトに初めて訪問した顧客をリピーターにするためには、迷わず使いやすいデザインにしておくことも重要です。それでも迷ったりわからないことがあったりしたら、すぐに調べられるような機能やコンテンツを用意しておきましょう。
顧客にストレスなく買い物をしてもらうには、必要事項を入力しやすいこと、安全で安心して使えることも重要です。
買い物の際に顧客をわずらわせることのないショッピングカートシステムを利用しましょう。最近では、顧客に対するアフターサポートやフォローのためにTwitterやLINEなどのSNSを使うことも多くなっているので、SNSと連携しやすい機能は重要度を増しています。このように、ECサイトを運営するにあたって必要となる機能を備えたテーマを選びましょう。
同じテーマを使ったECサイトは似た雰囲気になることも多いので、オリジナリティを出すためにはテーマのカスタマイズが必要です。そのため、なるべくカスタマイズしやすいテーマを選ぶとよいでしょう。
自由度の高いテーマであれば初心者でもデザインや機能を選択するだけでカスタマイズができますが、プログラミングなどの知識があればさらに高度なカスタマイズも可能になります。そういった知識の蓄積がある場合には高度なカスタマイズにも対応したテーマを選ぶとよいでしょう。
既存のユーザーが多く、インターネット上にノウハウの多いテーマを選ぶと、セキュリティやカスタマイズについての情報も集めやすくなります。テーマによってはユーザーコミュニティやセミナーなどのイベントも開催されているので、テーマを選ぶ際に調べてみましょう。
また、もしも自社のスタッフではECサイトの構築が難しいなら、テーマの選定からECサイトの構築をサポートする制作会社にアウトソーシングする方法もあります。
ECサイト用のCMSやテーマを以下にいくつかご紹介します。
EC-CUBEは日本製のECサイト用CMSです。ECサイトに必要な機能は一通り備えており、高度な機能を追加するためのテンプレートやプラグインも豊富にそろっています。
EC-CUBEは国内で開発されているので、消費税など国内事情への対応もしています。利用している国内ユーザーも多く、日本語の情報も豊富なほか、イベントやセミナー、EC-CUBEの導入をサポートしている制作会社もたくさんあります。
OSS(Open Source Software)なので商用利用も無料で自由ですが、トラブルの解決も自己責任なので注意が必要です。
EC-CUBE
Magento(マジェント)は米国製のECサイト用CMSです。多言語に対応しているため、越境ECサイトの構築にも向いています。細かなカスタマイズが可能ですが、最初に日本語対応モジュールをインストールして日本語に設定する必要があります。Magentoは世界中で多く使われているので、事例情報も豊富ですが、ほとんどが英語なのでハードルが高い場合もあるかもしれません。
MagentoもOSSのため、商用利用やカスタマイズも自由に行うことができますが、トラブルの解決も自己責任です。
Magento
WelcartはWordPressの日本製プラグインです。WordPressで構築したブログやWEBサイトに追加することでECサイトの機能を実装できます。商品管理や受注管理などの基本的な機能はそろっており、日本製なので消費税など国内事情へも対応しています。デジタルデータのダウンロード販売やクーポン発行も可能です。
WelcartはWordPressのECサイト用プラグインの中でもユーザーが多く、情報も豊富にそろっています。サイトデザインにあたるテーマも豊富に用意されているので、他のECサイトと違うデザインにすることも容易です。
Welcart
ebisumartはクラウドベースのECシステムです。クラウド上で提供されているので、頻繁にシステムが更新されるという特長があります。自社に合わせてカスタマイズをすることも可能です。ユーザーニーズの高い機能は標準機能として更新時に追加されるので、必要な機能が十分そろっているだけでなく、常に最新の機能を使うことができます。
導入実績は少なめですが、導入するとebisumartやパートナー企業のサポートが受けられ、正確な一次情報が取得できます。
クラウドサービスのため、外出先からモバイル端末で操作することも可能です。また、ハードウェアを用意する必要がなく、ディスク容量や機能は必要に応じて柔軟に利用できます。
ebisumart
自社に合うテーマを選択することが、ECサイトを成功させる第一歩です。人気のあるECサイトのテーマは、どれも一般的な機能は一通り備えています。しかし、どれを選んでも同じというわけではありません。機能や使い勝手、自社の商材に合うデザインかどうかなどをポイントに選択しましょう。また、自社にノウハウを持ったスタッフがいるかどうかを考慮して、「どの程度カスタマイズが必要となるか」、「サポートが充実しているか」などもテーマを選ぶ際のポイントになります。
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