Webサイトの運用には、アクセス解析が欠かせません。適切なアクセス解析により、サイトのパフォーマンスを評価したり、課題を発見して改善策を考えたりできるからです。ここでは、Webサイトのアクセス解析について、見るべきポイントや改善方法を説明します。
アクセス解析とは、サイトにアクセスしてきたユーザーの属性や行動を分析することです。Webサイトにとっては、日頃からのアクセス解析は必須といえます。Webサイトの改善策を考えるためには、アクセス解析により、サイトの現状をしっかり把握する必要があるからです。サイトの現状を把握することで、適切な改善策を用意し、売上増加につなげることが期待できます。
アクセス解析ツールは、アクセス解析の結果を数値で表現するためのツールです。Googleアナリティクスがよく使われています。
アクセス解析からは様々なデータが取得できますが、以下の点を意識してアクセス解析を行うとよいでしょう。
ユーザー情報は、大きく分けて属性、行動の2種類があります。
年令や性別、居住地、興味(どんなキーワードで流入したか)、どの時間帯にアクセスしたか、どんなデバイスからアクセスしたかなどの基本的な情報です。
ユーザーの行動とは、ユーザーが自社のサイトにアクセスするまで、また自社のサイトにアクセスしてからの行動のことです。例えば、どこのリンクや広告から流入したのか、または検索結果から流入したのか(流入経路)、どのくらいの時間Webサイトに滞在したのか(滞在時間)などがわかります。ほかにも、最初にアクセスしたページはどれか、その後どのページにアクセスしたのか、最後にアクセスしたページはどれかなども確認可能です。
ページごとのアクセス数や離脱率、コンバージョン率などがわかります。
離脱率は、そのページを最後に、サイトを離脱したユーザーの割合を指します。
コンバージョン率は、そのページでコンバージョン(成約等、サイトの目的が達成されること)したユーザーの割合です。
たとえば、何らかのトラブルやシステム異常が起きて表示できないページはないか、問い合わせや流入数が異常に減っていないか、などです。これらのトラブルが発生していると、サイトが正常に稼働できません。
判断基準のない状態でデータを見ても、「よくわからない」という結果になりがちです。改善策を考える前に、まず改善目標を設定しましょう。改善目標は、達成できたかどうかがはっきりわかるように、数値で見えるものにします。
設定すべきなのは、最終的な目標であるKGI、中間目標であるKPIの2つです。
改善の目標、最終的なゴールのことです。改善の方向性と、どのくらい改善できればよいのかを設定します。ECサイトであれば、年度ごとの売上金額などの大きな目標がKGIになることが多いです。
最終目標(KGI)を達成するための中間目標で、KGIまでどの程度近づいたかを示します。KGI達成のためにはどこをどのくらい改善すればよいのか逆算して設定しましょう。
例えばKGIが売上金額であれば、それを達成するための指標として、ユニークユーザー数、コンバージョン率、平均購入単価などを設定します。四半期など期間を区切ってKPI(中間目標)を設定し、クリアしながら、最終的にはKGIの達成を目指します。
アクセス解析を行うときには、次のデータを押さえておきましょう。以下の指標は、Webサイトにおいて、サイトの現状把握や目標設定・目標達成のために重要な指標です。これらのデータを基本に、自社サイトの改善に必要な項目をチェックしていきましょう。
ページビュー(PV、Page View)は、そのページが読み込まれた回数です。ページの再読み込み、ブラウザバックなども、1回のページビューとして計算されます。
ユーザー数とは、サイトを訪問したユーザーの数です。ただし、同じユーザーが何回訪問しても「1人」と数えます。訪問者がコンバージョンしたかどうかは関係ありません。
コンバージョン率(CV率、Conversion Rate)は、サイトへの訪問者のうち、どのくらいのユーザーがコンバージョンしたかという割合を示します。ECサイトにおいては、
コンバージョン率=購入率(ユーザーのうち、商品を購入したユーザーの割合)
となることが多いでしょう。
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コンバージョン率(CVR)についてや、CVR改善施策は下記のコラムで詳しく解説しています。
コンバージョン率(CVR)とは?平均値や計算方法、改善施策を解説
商品を購入したユーザー一人あたりの購入金額のことです。
アクセス解析で得られたデータをもとにして、以下のようにECサイトを改善します。
目標を達成するには、影響の大きいページから改善を始めると効果的です。まずはアクセス解析をもとに、以下のページから改善していきましょう。
これらの項目は、ECサイトの改善でよく行われる施策です。実際に自社のECサイトを改善する際には、アクセス解析したデータをもとに、KPIを達成しやすくなるような施策から実行していきます。
ただし、一度に実行する施策は1個か2個に絞りましょう。一度に多くの施策を実行すると、どの施策が効果的だったのかがわかりにくくなるからです。
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ECサイトの改善施策については、以下のコラムで詳しく解説しています。
ECサイト改善の14施策。課題を発見し、解決するポイントも解説
Googleアナリティクスは、Googleか提供するアクセス解析ツールで、無料プランでも多くの機能が活用できます。主に取得できるデータは「ユーザー属性」「ユーザーの行動」「コンバージョン」などです。
必要な情報の多くを取得できるため、まず最初に導入するべきツールといえるでしょう。
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Googleアナリティクスは新バージョンが登場し、ユーザーの行動を細かく分析することが可能になりました。詳しくは下記記事を参照ください。
Googleアナリティクス4(GA4)とは?特徴と導入方法を解説
Googleサーチコンソールも、Googleが提供する無料のアクセス解析ツールです。「ユーザーがサイトに訪問する前の情報」を取得できます。検索画面での順位や、ユーザーがどんなワードで検索し訪問しているのかがわかります。検索からの集客を重視している場合は特に重要となるツールです。サイトの検索順位対策(SEO対策)のため導入しておきましょう。
ヒートマップツールは、ページの離脱状況や、クリック頻度をサーモグラフのように可視化してみせてくれます。Googleアナリティクスで対策したいページを見つけた後、個別に対策を考える際に活用できます。ページの中で離脱の激しいポイントはないか。クリックしてほしいポイントが通り過ぎてないかなどを見て、ページ内構成やクリックポイントのデザイン変更を改善したりします。
様々な会社がツールを提供していますが、無料ツールではMicrosoft社のClarityが有名です。
アクセス解析の結果を生かすためには、発見した課題をさらに分析し、改善のための施策を行います。その結果を再度アクセス解析で分析し、効果があったかどうかを判定するのです。それをもとにさらに課題と改善を行う、というPDCAサイクルを回していきましょう。ECサイトのアクセス解析は、アクセスを増やし、コンバージョンを上げるためにあるのです。
TOPPANクロレでは、EC事業のお悩みを解決するデジタルマーケティング支援サービスを行っております。お悩みや疑問をお持ちでしたらお気軽にご相談ください。