今さら聞けない「O2O」オムニチャネルとの違いや活用事例を解説では、O2Oの基本を解説しました。O2Oって何? という方は、ご一読ください。
では、具体的にはどのようなO2Oの成功事例があるのでしょうか。「オンラインtoオフライン」だけでなく、「オフラインtoオンライン」や海外の事例も見ていきましょう。
O2Oマーケティングのうち、Web(オンライン)で集客した見込み客を店頭(オフライン)に誘導して購買につなげるマーケティング手法の実例をご紹介します。
Webサイトやスマートフォンアプリでのクーポンの配布は、O2Oマーケティングの代表的な施策です。ファストファッション大手の「ユニクロ」では、スマートフォンアプリを新規ダウンロードするとクーポンが入手でき、それを店頭で提示すると、割引価格で商品を購入できます。また、アプリでは店舗検索や店舗在庫確認もでき、アプリから実店舗へ顧客をスムーズに誘導する仕組み作りをしています。
最近は、SNSを利用したO2Oも増えてきました。100円ショップの「ダイソー」では、2014年にビジネス利用が可能なLINEのアカウントサービス「LINE@」の運用を開始し、登録顧客に商品情報を提供しています。一般的にO2O施策では、顧客にクーポンを配布して店頭に足を運ばせるのですが、ダイソーの場合はクーポン配布を行わず、商品の画像や使い方を含めた商品情報を提供することでコアなファンを増やすことに尽力しています。LINE@で商品情報を送信すると、その商品についての店頭の問い合わせが多くなったり、棚の前で商品をチェックする顧客が増えたりしたなど効果が出ています。クーポンを使わなくても顧客を店頭へ誘導することにつながった成功事例です。
GPSやWi-Fi、ビーコンなどの位置情報機能を利用して、特定の場所(店舗やイベント会場)を訪問したユーザーのみにクーポンを配布するO2O施策も注目されています。高速道路を管理運営する「NEXCO西日本」ではスマートフォンアプリと高速道路のサービスエリアに設置した端末を使った「トクスコ」というキャンペーンの実績があります。顧客がサービスエリアに到着してアプリでチェックインをすると、そのサービスエリアで使えるクーポンが配布されたり、ゲームで遊んだりすることができるようになるものです。位置情報を活用し、サービスエリアを利用することの楽しさの演出や、長時間滞在してもらうことで購買につなげる工夫がされています。
最近は、Web上での流通額も急激に伸びています。特に若年層の間では、Webで商品を購入する動きが定着してきています。そのため今後は「オンラインtoオフラインのO2O施策」だけではなく、「オフラインtoオンラインのO2O施策」も重要になってきます。
先ほどご紹介したユニクロのスマートフォンアプリには、オフラインtoオンライン施策もなされています。店頭で商品のバーコードをスキャンすると、商品の詳しい情報やほかの消費者のレビュー、スタイリングもチェックすることができ、またオンラインストアの在庫を色やサイズ別で確認できます。これは商品(オフライン)からアプリ(オンライン)へユーザーを誘導する仕組みです。
韓国のスーパーマーケットチェーン「emart(イーマート)」では、12時から13時のランチ時に店舗訪問客が少ないという悩みを解決するため、同時間帯に通行量が増える繁華街に立体のQRコードを設置するキャンペーンを行いました。太陽の位置が高い12時になると、日時計のような仕組みで、QRコードの形が影で浮き上がります。正午から13時の間のみ読み取れるそのQRコードをスマートフォンでスキャンすると、ECサイトにつながり、時間限定のクーポンを取得できるため、来店やECサイト内での商品購入につながるというわけです。
オフラインtoオンライン施策は、ターゲットとする顧客のライフスタイルを考慮し、違和感なく自社のサービスに接してもらえるかがポイントです。それには、ターゲット顧客の目につきやすい場所、タイミング、方法を考慮して、バーコードやQRコードなどのオンラインに誘導するツールを設置することが重要です。
海外にはユニークなO2Oの成功事例がたくさんあります。ここでは厳選して3つをご紹介します。
スペインのファーストフード店では、店内で顧客に提供している無料のWi-Fiサービスを店の外で利用されてしまうという状況が続いていました。そこでこの状況を逆手にとり、Wi-Fi設定をオンにするとネットワーク名を「2時です、コーヒーブレイクの時間」「店内では無料Wi-Fiと無料でサンデーもプレゼント」など利用する人へのメッセージに変え、店外でWi-Fiを使おうとする見込み客を店内に誘導しています。
タイの最大手コーヒーチェーンは、ドライバーをターゲットにしたプロモーションアプリを開発しました。アプリを起動し、「眠くない状態の顔」を認識させ、そのまま運転を続けます。運転中に眠くなると顔認識アプリが作動し、スマートフォンから警戒音が鳴り、近隣にあるコーヒーチェーンの店舗へガイドするというユニークな仕組みです。
スウェーデンの小規模工具店「Malmö Hardware Store(マルメハードウェアストア)」が大手ホームセンターと差別化するために仕掛けたのは、のこぎりや金づちなど「専門工具」を無料で貸し出す「ToolPool」というプロモーションです。FacebookでToolPoolのメンバーになり、使用する工具と日にちを予約して店頭に受け取りに行きます。店頭に受け取りに来た顧客は、工具を使うために必要なペンキやくぎ、テープなどの消耗品を購入します。これがO2O施策のポイントです。実は今までの売上の多くは「消耗品」で、使用頻度の低い「専門工具」は大きな売上にはなっていませんでした。工具を無料で貸し出すことで、顧客を店頭に誘導し、売上を伸ばしたユニークな事例です。開始して1カ月で登録者数は600名に達し、現在も増え続けています。売上も開始後1カ月で25%上昇しました。
O2Oといっても、導入に時間がかかるものや比較的すぐに取り組めるもの、スタンダードなものやユニークなものまでさまざまなタイプの施策があります。成功事例をチェックして、自社の戦略に合ったO2O施策を考えていきましょう。
また、O2Oの進化系ともいえるO2O2Oではさらに多様な手法でユーザーを獲得している事例もあります。
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O2O2Oに関する詳しい解説は下記でご覧いただけます。
O2Oの進化系O2O2Oとは?
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