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ROASとは?広告費用回収率の計算方法と、CPA、ROIとの違いを解説|TOPPANクロレ

作成者: クロレDIGITAL|2021/12/03 4:50:26

Web広告を運用する際には効果検証が大切です。アクセス解析でクリック率やコンバージョン率の推移を把握するだけではなく、支払った広告費に対してどれだけの成果があったか、つまり費用対効果を知る必要があります。この記事では、広告の費用対効果を表す「ROAS」について、その意味や重要性、そして同じように広告の効果検証に使われるCPAやROIとの違いを解説します。

目次

ROASとは?

ROASはReturn On Advertising Spendの頭文字を取った言葉で「ロアス」と読まれており、「広告費用の回収率」や「費用対効果」を表します。ROASは支払った広告費に対してどれだけの売上があったかを示す指標で、次のような計算式で求めます。
ROAS=広告からの売上÷広告費×100(%)
例えば、広告費に50万円を支払い、200万円の売上があったとすると次のような計算式になります。
ROAS:200万円÷50万円×100=400%
この計算では、広告費に対して4倍の売上があったことが分かります。ROASの数値が高いほど、広告が効率的に運用されていることになります。
このROASを広告の種類ごと、出稿する媒体ごと、クリエイティブやキーワードごとというように、細かく算出して比較することにより、費用対効果が高いもの、低いものを選別することができます。
ただし、ROASで見るのは広告の「売上」に対する効果です。製造や仕入れにかかった原価が高くて粗利率が低い場合は、ROASの数値が高くても、広告効果が十分に出ていないケースもあります。

ROASの重要性

ROASは費用対効果を算出し、それを最大化するための改善策を見つけ、次の目標設定にも使う重要な指標です。
ROASの算出に使う指標「売上」は、オンタイムで把握でき、過去の数値を入手したり、将来の予測を立てたりすることが比較的容易なデータです。そのためROASを使えば、スピーディーに費用対効果を把握し、次の施策に生かすことができます。

ROASの使い方

ROASは広告施策の改善に加えて、広告の適正な入札単価を計算する際にも使われます。次に具体的な使い方を説明します。

ROASをもとに広告施策を改善する

現在のROASが目標より高い場合

広告が売上に貢献していることを表します。広告ごとにROASを算出し、効果の高い広告媒体やターゲット、キーワードはどれか、比較検証しましょう。
そのうえで、費用対効果の高い広告に注力します。効果が極端に低い広告は整理し、高いものに予算を回す、入札単価をさらに上げて、リーチ数を増やすといった施策が有効です。

現在のROASが目標より低い場合

ROASが低い場合は、早急に改善が必要です。売上を増やすか、広告費の抑制を考えなければなりません。具体的には、広告媒体の見直し、広告デザインの見直し、広告費の配分の見直しといった対策が必要です。詳しくは後半で説明します。

ROASをもとに適正な広告費を求める

コンバージョン率を設定する

まず過去の実績をもとにコンバージョン率を設定します。ここでは1%と仮定します。

目標のROASを決める

過去の実績をもとに目標とするROASを設定します。ここでは仮に200%とします。

数式に当てはめて入札単価を求める

広告が1回クリックされるごとの売上は、(売上単価)×(コンバージョン率)と考えられます。これを目標ROASで割ることにより、入札単価の目安を知ることができます。商品の単価が1万円だった場合は以下のような計算式になります。
1万円(売上単価)×1%(コンバージョン率)÷200%(目標ROAS)=50円
この場合の入札単価は50円と計算されます。

ROASを上げる広告施策の改善

ROASを上げるには、現状の広告施策を下記のようなポイントで見直し、スピーディーに集客力の向上を図ります。そして、必要に応じてランディングページやWebサイトのコンテンツ、動線、プロモーション企画などを見直し、コンバージョン率や売上を改善していきます。

広告媒体の見直し

現在、出稿している広告媒体の予算を、ROASが高いものを中心に振り分け直します。ただし、ROASが低い広告の予算を極端にカットするときは注意が必要です。
なぜなら、Web上のユーザーの行動は複雑で、広告を見て気に入った商品をその場で購入するのではなく、SNSの口コミを見たり、検索して他社と比較したりしてから購入することがよくあります。
このときの広告は直接の売上には結びつかず、ROASにも反映されません。しかし、まったくなくしてしまうと、商品がユーザーの目に留まる機会を失い、売上が減少するかもしれません。ROASは低くても間接的にコンバージョンにつながっている可能性があるのです。
そのため、予算配分を見直すときは、直接的、間接的なコンバージョンを細かく解析して、広告の貢献度を測る「アトリビューション分析」を行うとよいでしょう。

Check

アトリビューション分析の詳しい解説は、下記のコラムをご覧ください。
アトリビューション分析とは?5つのモデルと具体的な分析の流れを解説

ターゲティングの最適化

自社の商品に対して購買意欲が高いユーザー層に、適切なタイミングで広告が届けば、コンバージョンを増やせます。そのために必要なのがターゲティングの最適化です。
まず、広告ごとのROASを比較して、どのような相手に配信した広告に、より効果があったのか、ターゲティングの精度を評価しましょう。そのデータをもとに、商品を訴求すべき相手の傾向や属性を見直して、次の広告のターゲティングに反映させます。

キーワード、クリエイティブの見直し

検索のキーワードやクリエイティブの改善もROASの改善に効果的です。キーワードやクリエイティブごとのROASを比較し、どのワード、どういった表現が効果的かを調べます。
キーワードの場合は、ROASの高いものに予算を多く振り分けます。リスティング広告のクリエイティブなら見出しや説明文を、ディスプレイ広告であれば画像や動画を改善し、ユーザーの目に留まりやすくします。

CPAやROIと、ROASの違い

ROASと同様に広告効果を測定する指標に、CPAROIがあります。それぞれの内容と違いを説明します。

CPAとは

CPA(Cost Per Acquisition=成果単価)は、コンバージョンを1件獲得するために使う広告費です。CPAが低いほど、広告の費用対効果は高くなります。

CPAの計算式と計算例

CPAを求める計算式は次のようになります。
CPA=広告費用÷コンバージョン数
例えば、30万円をかけて広告を打った結果、資料請求が100件あったとすると計算式は以下のようになります。
CPA:30万円÷100=3,000円
もし、同じ広告費をかけて資料請求が50件だったとするとCPAは6,000円となり、コンバージョンの獲得に倍のコストがかかったことになります。

ROASとCPAとの違い

CPAではコンバージョン(広告の成果)に対する広告の効果を測りますが、ROASでは売上に対して広告が貢献した割合を考えます。そのため、売上が発生しない問い合わせや資料請求をコンバージョンとする場合は、CPAを使います。

ROIとは

ROI(Return on Investment=投資利益率、投下資本利益率)は、費用対効果・投資対効果両方を指す語です。その事業に行った投資に対して得られる利益の割合を示すもので、マーケティングに限らずさまざまな分野で使われている指標です。

ROIの計算式と計算例

ROIを求める一般的な計算式は次のようになります。
ROI={(売上-売上原価)-投資額}÷投資額×100(%)
この売上から費用(売上原価、投資額)を引いたものが「利益」です。これを広告の費用対効果の計算に当てはめてみます。
ROI={(売上-売上原価)-広告費用}÷広告費用×100(%)
例えば、売上が200万円、売上原価が80万円、広告費が50万円だったとすると以下のようになります。
ROI:{(200万円-80万円)-50万円}÷50万円×100(%)=140(%)
ROIは140%となりました。
もし広告を出しても思ったように売上が伸びず、利益がコストを下回れば、ROIはマイナスになります。例えば、上記の条件で売上が100万円しかなかった場合は以下のような計算式になります。
ROI:{(100万円-80万円)-50万円}÷50万円×100(%)=-60(%)
ROIは-60%となり、損失が出てしまいます。
投資額が少額の場合は、ROIが高くても、利益がわずかしか出ないケースもあります。ROIで検証をする際は、実際の利益がいくらなのかもチェックします。
また、ROIは「その時点で利益が出ているかどうか」を知るための短期的な指標です。長期的な施策の検証には向かないということも覚えておきましょう。

ROASとROIとの違い

ROASもROIも広告の費用対効果を測り、広告施策の検証を行ううえで重要な指標です。売上から見るROASはスピード感を持って施策を修正できますが、利益から算出するROIの方がよりシビアに費用対効果を把握できます。
例えば、ROASが100%を超えていても、売上原価がかかりすぎてROIがマイナスになるケースがあります。その場合の広告は増益に寄与できておらず、早急な見直しが必要です。

ROASを使って広告の費用対効果を検証し、スピーディーに施策を改善しよう

ROASは、広告がどれだけ売上に貢献したかを知るための重要な指標です。広告の種類や掲載媒体、クリエイティブやキーワードごとにROASを算出して比較し、より効果の高い施策に重点を移しましょう。この検証と改善をスピーディーに繰り返すことによって、コストを抑えた効果的な広告施策が可能になり、事業の収益向上に貢献することができます。

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