ネットショップや企業サイトの集客で重視される施策のひとつに、検索サイトの表示順位を上げるために行うSEO(検索エンジン最適化)があります。しかし、SEOは検索エンジンのルール変更や競合のSEO対策の影響を受けやすく、継続的に安定した結果を出せるとは限りません。そこで注目したいのが「指名検索」です。今回は高い効果が期待できる指名検索について、そのメリットや指名検索を増やす方法をお伝えします。
指名検索とは、企業名や店舗名、商品・サービス名といった固有名詞のほか、商品の型番のように商品を特定する言葉がキーワードとして使われる検索です。
例えばスニーカーの情報を探している場合、「スニーカー」をキーワードに選ぶのが一般的な検索ですが、指名検索では「ナイキ」や「アディダス」といったブランド名や、「ナイキ エアマックス」「アディダス スタンスミス」といった商品名が使われます。
指名検索が増えると、次のようなメリットがあります。
一般的なSEOでは、検索エンジン側のアルゴリズム(より有用な情報を検索結果の上位に表示しようとする仕組み)が変わると、急に順位が下がることがあります。また、競合がSEO対策を強化すれば、その影響を受けてしまいます。
一方、キーワードが企業名や独自の商品名での指名検索であれば、競合とバッティングしないだけでなく、検索エンジン側のルール変更の影響を受けにくくなります。
なぜなら検索エンジンが最も重視するアルゴリズムのルールは一貫して「ユーザーの検索意図」に合っているページかどうかであり、指名検索ではユーザーの「○○のサイトに行きたい」という意図がはっきりくみ取れるからです。
「スニーカー」のような幅の広いキーワードで訪問する人よりも、指名検索でやってきたユーザーの方が、商品やサービスの購入率が高い傾向があります。
幅の広いキーワードは、多くの人が利用する分、検索意図も多様です。また、競合も含めてさまざまなサイトが検索結果として表示され、自社サイトは多くの選択肢のなかのひとつにすぎなくなってしまいます。
一方でブランド名や商品名で指名検索するユーザーの目的は絞られています。そのため、検索結果のなかから選ばれやすく、そこから具体的なコンバージョンにつながる可能性も高いと言えます。
このように大きなメリットがある指名検索ですが、知名度や認知度の高いブランドや商品でなければ、指名検索をされるのは簡単ではありません。
では、どうすれば指名検索を増やすことができるのでしょうか? ここでは、自社のWebサイトの状況を把握して改善する取り組みと、認知度や知名度を上げて指名検索を増やすための取り組みという2つの方向性に分けて説明します。
指名検索を増やすためには、自社サイトの検索の状況を把握しなくてはなりません。具体的な方法としては、Googleサーチコンソールで訪問キーワードを確認します。これはGoogleが提供する無料ツールで、Google検索結果の掲載順位をチェックすることができます。
具体的には、自社サイトを訪れた人がどんなキーワードで検索しているかを検索結果の掲載順位やそこでクリックされた回数とともに調べます。指名検索で訪問しているユーザーはどの程度いるか、固有名詞と合わせて検索されているサブのキーワードにはどんなものがあるかも確認します。
また、指名検索されたにもかかわらず上位表示されないページの有無や、適切なページが検索結果に表示されているかといったこともチェックします。
次にキーワードとの関連性が高まるようにWebサイトを見直します。指名検索されたのに、「検索結果ページの掲載順位が低い」「自社の目的とは異なるページが表示される」といった場合にも見直しが必要です。
よく検索されているキーワードをもとに、ユーザーがどういった目的で検索しているのか、何を求めて訪問するのかを考え、その意図に応えられるようにタイトルやテキストを工夫しましょう。ユーザーレビューを増やす、コンバージョンへの動線を分かりやすくするといった取り組みも指名検索を増やすのに有効です。
検索ワードを定期的に確認し、推移をチェックして、サイト改善や広告の効果を測定することも大切です。
ユーザーに知ってもらうためには、商品・サービスの質が高いことが前提になります。満足度の高い商品・サービスは、利用者が家族や友人に勧めたり、SNSやユーザーレビューで評価したりして、知名度が上がる可能性があります。もし利用者の満足度が低ければ認知が広がらないばかりか、SNSやレビューを通じてマイナス評価が印象づけられてしまうかもしれません。
指名検索を増やす方法として高い効果を発揮するのがSNSやブログです。フォローしている人のSNSやブログで紹介された商品やサービスを、指名検索でチェックしたという経験のある人は多いのではないでしょうか? SNSをうまく活用すれば、ローコストで拡散が期待できます。顧客層や潜在顧客層がどういったSNSを利用しているかを知り、彼らが集まるSNSに役立つ情報や商品告知の投稿をしたり、ユーザーとコミュニケーションを取ったりしながら認知を広げていきます。
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SNSマーケティングについての詳しい解説は下記のコラムでご覧いただけます。
SNSマーケティングとは?主な手法やメリットと注意点を解説
SNSよりもコストはかかりますが、よりダイレクトにブランド名や商品名の認知度を上げることができるのが、広告を活用して露出を増やす方法です。Web広告には多くの種類がありますが、ターゲットを絞って認知度を上げるためには、商材と親和性の高い媒体に掲載するディスプレイ広告やアフィリエイト広告、SNS広告、動画広告が効果的です。
予算があれば、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌広告のほか、街なかの看板や電車の車内広告などとWeb広告を組み合わせると、さらに高い効果を発揮します。
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インターネット広告についての詳しい解説は下記のコラムでご覧いただけます。
インターネット広告の種類と選び方のポイントを解説
知名度には名前そのものも影響します。もしこれから商品名やサービス名を付けるのであれば、できるだけ覚えやすく口にしやすい名前を選びます。既存の商品であっても、覚えにくい名前や間違われやすい名前の場合は愛称を付けるというように、状況が許す範囲で変更を検討してみましょう。
固有名詞で検索されるのだからリスティング広告は不要と思われるかもしれません。しかし競争が激しい場合は、自社のブランド名や商品名を競合社がリスティング広告のキーワードとして使うことがあります。自然検索では自社のWebサイトが1位になっても、その上に広告が掲載されると競合社にユーザーが流れてしまうかもしれません。この機会損失は、自社の指名検索に使われるキーワードでリスティング広告を出すことで防げます。
同じ名前の企業が検索結果ページに表示される場合も、ユーザーの混乱を防ぎ、間違いなく自社ページに誘導する方法として、リスティング広告が効果的です。
また、広告と自然検索の結果の両方が表示されれば、検索結果画面の中で自社の情報が占める面積が大きくなります。競合の掲載位置を押し下げ、自社の情報の印象を強くしてクリック率を上げることができます。
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リスティング広告に関する詳しい解説は下記のコラムでご覧いただけます。
【初心者向け】リスティング広告とは?特徴や費用、上手な運用のコツを解説
検索エンジンのルール変更や競合の動向に左右されず、検索結果の上位に安定して表示される可能性が高い指名検索は、コンバージョンに結び付きやすい集客方法として注目されています。ただし指名検索をしてもらうには、自社ブランドや商品・サービスの認知度や知名度を上げる必要があります。そのためのポイントとなるのがSNSや広告の適切な活用です。
現在、検索されているキーワードを把握してユーザーのニーズをつかみ、指名検索を増やすための戦略を立てていきましょう。
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