コラム|TOPPANクロレ

ABテストとは?行う目的や手順、ポイントを詳しく解説|TOPPANクロレ

作成者: クロレDIGITAL|2021/07/12 2:33:37

Webマーケティングで継続的に成果を上げていくためには、サイトそのものやWeb広告の効果検証と改善を常に行う必要があります。その際によく利用されるのがABテストです。今回は、ABテストとはどんなテストなのか、なぜ行うのか、手順やポイントのまとめを詳しく解説します。

目次

ABテストとは?

ABテストとは、Webサイトや広告の要素を一部変更した複数のパターンを一定期間公開し、どちらがより高い成果を出せるかを比較、検証する手法です。AパターンとBパターンを比較することから、ABテストと呼ばれますが、3つ以上のパターンで行うこともあります。

ABテストはWebサイトの立ち上げやリニューアルの準備の際も行いますが、より頻繁に使われるのは、Web広告やランディングページの検証時です。これらの検証では、広告ごと、ランディングページごとに、キャッチコピーの文面や画像、クリックボタンのデザインといった細かい部分を何度も比較します。実際の運用のなかで行うABテストには、比較的ローコストにできて手間がかからず、結果が分かりやすいというメリットがあります。

ABテストを行う目的

ABテストを行う主な目的は、コンバージョン率の向上です。コンバージョン率を上げるための施策はいくつか考えられますが、ABテストの場合は基本的に既存のコンテンツに手を加えることによって改善点を検証するため、単純に広告数を増やすより低予算で効率的な手法と言えます。
また、広告が最大のパフォーマンスを発揮するには、広告本体だけでなく、誘導先のランディングページが十分に機能する必要があります。
それらを構成するビジュアルやコピー、CTA(Call To Action=行動に導くボタンやリンクなどの仕掛け)といった要素すべてが有効に働いたときに広告効果が最大化すると考えられるため、広告を打つだけでなくその遷移先の検証と改善が重要になるのです。

Check

コンバージョン率に関する詳しい解説は下記でご覧いただけます。
コンバージョン率(CVR)とは?平均値や計算方法、改善施策を解説

ABテストのメリット・デメリット

ABテストをするメリットは、主に以下の通りです。

  • 大規模に予算をかける必要がない
  • 定量的に仮説の効果を計ることができる
  • 作業工数と労力を減らして改善サイクルを回せる
  • 同時に複数のパターンを試せる
  • 効果が出なくてもすぐに元の状態に戻せる

ABテストとは、あくまで一部のみを変更してどちらのほうがよいかを比べるテストのため、大規模な予算や労力はかかりません。

そのような少ない労力で、自社の集客を改善させるための問題点に関する仮説を調査できるため、非常に効率のよいテストだといえるでしょう。

効果が得られなかった場合には、すぐに元に戻せるという点も、ABテストが持つメリットです。

ただし、ABテストには、以下のようなデメリットもあります。

  • 仮説と効果測定が正確でないと効果が不明瞭になる
  • 季節要因の影響を受けやすく、正しい検証に時間がかかる
  • 他の箇所に対して悪影響を及ぼす可能性がある

正しい施策結果を得るためには、しっかりと仮説を立て、正しい検証方法で行うようにしましょう。

ABテストを行う手順とポイント

ABテストの流れ

一般的なABテストの流れは次のとおりです。それぞれで注意したいポイントも紹介します。

具体的な改善目標を立てる

「コンバージョン率を向上させる」という大きな目的を実現するための細かい目標を設定します。例えば、バナー広告のクリック率を上げる、ランディングページの直帰率を下げる、CTAから購入や申し込み、資料請求などの入力フォームへの遷移数を上げるといった具体的なことが目標となるでしょう。

効果が大きく出そうな要素を改善対象に選ぶ

ABテストは比較的簡単に実施できるテストですが、クリエイティブを複数用意するだけでもそれなりの手間がかかります。改善の対象は、コンバージョンへの影響が大きく、改善の効果が分かりやすい要素に絞りましょう。

仮説を立てる

どんな調査でも仮説をしっかり立てなければ、精度の高い結果は得られません。現在の広告やランディングページのどこに問題があるのか、どう改善すれば目標に近づくかを検討して仮説を立てます。その際は、自社の顧客がどう見るか、どう行動するかというユーザー目線で考えることが大切です。

顧客層にセール情報に敏感なユーザーが多いのであれば、割引率や値下げ価格をもっと目立つようにアピールすべき、という仮説が立てられるかもしれません。年齢層が高い顧客層であれば、購入ボタンをより大きく、はっきり目立つようなデザインに変えた方がいいという仮説も立てることができるでしょう。

Check

下記のコラムで、コンバージョンしやすいLPの構成ポイントについて詳しく解説しています。
【LPの作り方】コンバージョンしやすい構成と必要な要素

テストを実行する

仮説に基づいて、ABテストを実行します。その際には次のような点に注意しましょう。

データはなるべく多く集める

ABテストを行っているページへのアクセスが少ないと、テスト結果が偶然に左右される可能性が高まり、有意性が下がってしまいます。できるだけデータを多く集めて、検証の精度を高めましょう。ABテストツールのなかにはコンバージョン率(現在の値と目標値)を入力することで、必要なアクセス数が計算できるものもあります。

テスト中は内容を変更しない

実際のサイト運用の中で行うABテストでは、テスト期間中に広告や誘導先のページの内容を変えたくなることがあるかもしれません。しかし、条件を途中で変えてしまうと、正確な計測ができません。テスト期間中は内容を変更せず、テストが終了するまで待ちましょう。

テストの結果を分析し、必要に応じて繰り返す

ABテストでは、テストした要素の優劣が数字で出ますが、必ずしも仮説どおりになるとは限りません。差異がわずかで、どちらとも判断がつかないケースもあるでしょう。

そのような場合には、さらに効果の上がるクリエイティブを求めて要素をブラッシュアップしたり、仮説自体を見直して別の観点から要素を作り直したりして、再度ABテストを行います。

ABテストは1回で終わるものではなく、必要に応じて繰り返すことで最適解に近づいていくものだということを、忘れないようにしましょう。テストと分析の過程で蓄積されるユーザーの反応やアクションに関する知見は、必ず次の施策に生きるはずです。

ABテストを行う箇所

ABテストが主に実施される場所は以下の通りです。

  • ファーストビュー
  • CTA
  • 見出しとタイトル
  • 導線設計

それぞれの箇所について詳しく解説します。

ファーストビュー

広告をクリックした人が遷移してくるページがLP(ランディングページ)です。LPでは、特に最初に目に入るファーストビューを改善することで、直帰率を下げることを目指します。アピールポイントを変えたバージョン、ビジュアルやタイトルを複数用意し、テストを行います。
ページに訪れるユーザー像をできるだけ具体的に想定し、ユーザーが求める情報が何なのかを検証しやすいようにしましょう。また、訪れたユーザーに何を訴求したいのか、ファーストビューにおさめるべき範囲の検討も大事です。

Check

ファーストビューに関する詳しい解説は下記でご覧いただけます。
ファーストビューとは? 重要な理由やCVアップにつながるポイントを解説

CTA

CTAの改善もコンバージョンに直結します。小さい部分ですが、CTAが分かりづらいとユーザーが迷ってしまい、チャンスを逃してしまうことがあるのです。周囲に埋もれないようにボタンの色や大きさを変えたり、クリックできることが分かりやすいような形状にしたりして、クリック率の違いを測定します。
CTAボタンの色や大きさ、ボタンの位置、文言などでCTAをターゲットのニーズに合ったものにしましょう。

Check

商品ページのデザインに関する詳しい解説は下記でご覧いただけます。
商品ページのデザイン次第で売上は伸びる。5つのポイントを解説

見出し・タイトル

見出しやタイトルもABテストを行うことが多い箇所です。なぜなら、見出しやタイトルを見てクリックするかを判断するユーザーが多いためです。

見出しやタイトルは、ターゲットの興味を引くようなものにしなければなりません。ターゲットが興味を向けそうな見出しやタイトルを複数作り、最も効果があるものを採用します。

ABテストは、より効果のある見出しやタイトルを見つけることに役立ちます。

導線設計

導線設計もABテストを実施することが多い傾向にあります。購入ページまでの導線のよさ次第で、サイトの効果は大きく変わるためです。

導線が複雑だと、せっかくユーザーが興味を持ってくれてもどこをクリックしてよいか分からず、途中で離脱してしまいます。そこで、ABテストを用いて、どのような導線が最も使いやすいかを検証していくのです。

ABテストで複数の導線パターンを検証することで、最もコンバージョンに辿り着きやすい導線を設計できます。

ABテストを行う対象

ABテストがよく行われる対象として、LP(ランディングページ)、Web広告、メールマガジンなどが挙げられます。これらの媒体について、どのようなABテストが行われるかについて解説します。

LP

ABテストの最も一般的な対象はLPです。LPのABテストでは、ファーストビューのメイン画像やメインコピー、アクションボタン、フォームの使いやすさを検証します。

例えば、コンバージョンに直結するアクションボタンは、ボタンの大きさや色を変えてどのようなボタンが最もクリックしてもらいやすいかを検証します。
また、ファーストビューのメインコピーではターゲットの性別や年齢を複数想定して、いくつかのメインコピーを作って比較し、ターゲットが最も興味を惹くメインコピーはどれかを検証します。

Web広告

Web広告では、どのような広告がクリックされやすいかや、問い合わせが多いのはどのターゲットかを検証するためにABテストをすることが多い傾向にあります。

例えば、広告の見出しや広告文を複数パターン作り、どのような見出し・広告文ならクリックしてもらえるかを検証します。また、画像や動画も複数パターン作って比較することで、どのような画像や動画ならクリックしてもらえるかを検証可能です。

Check

広告文に関する詳しい解説は下記でご覧いただけます。
【リスティング広告】クリックされやすい広告文の作り方を解説(2022年)

メールマガジン

メールマガジンでは、改善したい指標を何にするかによって検証する箇所も変わります。開封率を上げたい場合は、件名や差出人名、配信日時などで比較します。クリック率を改善したいときは、ファーストビュー、CTAのデザインや位置、誘導文などで検証すると良いでしょう。

また、メールマガジンでのABテストは、十分な配信数がないと正確な検証ができません。ある程度の配信数を確保してから行うようにしましょう。

導入しやすいABテストツール3選

ABテストを効率的に行うために、ABテストツールを活用する方法もあります。

ABテストツールにはABテスト専用のものと、分析ツールやマーケティングツールの中の機能のひとつとして組み込まれているものがあります。ここでは比較的導入しやすいABテストツールを3つ紹介します。

① Google オプティマイズ(2023年9月30日にサービス終了)

Googleが提供するABテストツールです。無料で利用できて登録も簡単なので、初めてABテストを行う人にとってハードルの低いツールです。ABテスト、リダイレクトテスト(※1)、多変量テストを行うことができます。

※1 広告内容は変えずに誘導先のページを複数用意して、ランダムまたは設定した配分で表示させる方法。スプリットURLテストとも呼ばれる。

・Google オプティマイズ|google

② Juicer

JuicerはABテストのほか、ペルソナ分析、NPS、ユーザー分析、アクセスログ解析などが行えるマーケティングツールです。シンプルで使いやすい基本機能は無料で利用可能。ただし、リダイレクトテスト、多変量テストといった複雑な機能はありません。詳細なデータ分析や分析レポートは有料オプションとなります。

・ユーザー分析DMP|Juicer

③ SiTest

SiTestは、ABテストのほか、ヒートマップの解析やEFO(入力フォーム最適化)といったサイトの解析・改善を目的としたASPです。ABテストツールはドラッグ&ドロップで簡単に要素の入れ替えが可能です。ユーザーの環境や属性といった条件によって表示を変え、特定のターゲットごとに反応を見る機能もあります。国内で開発されているため、日本語のインターフェースや手厚いサポートに安心感を持つ人も多いようです。利用は有料ですが、無料トライもあります。

・ヒートマップ × A/Bテスト × EFO でWebサイトの収益を最大化|SiTest

ABテストに関するよくある質問

一度のABテストで何箇所もテストしないほうがよいのはなぜですか?

ABテストを複数の箇所で行うと、どの箇所が原因で効果が出たのか分からなくなるためです。効果を明確にするためにも、ABテストは一度に一箇所ずつ行うようにしましょう。

テスト結果にあまり明確な違いが見られない(改善につながらない)のですが、どんな理由が考えられますか?

以下のことが原因となっている可能性が高いといえるでしょう。

  • サンプル数が少なすぎる
  • テスト期間が不適切
  • 仮説を立てていない
  • 一度に複数の箇所をテストしている
  • 取得したデータに対して主観だけで接している

ABテストの期間はどれくらいが適切でしょうか?

ABテストの適切な期間は一概には言えません。何を対象にABテストを行うかによっても変わりますが、例えばWebサイトでテストを行う場合、アクセス数次第で適切なテスト期間が長くなる可能性があります。アクセス数が非常に多いWebサイトであれば一週間程度で十分な場合もありますが、アクセス数が少なければその分テスト期間を長くする必要があるためです。
このように、ABテストに適切な期間は、何を対象に行うかや条件によって異なります。

ABテストを活用して、成果の上がるマーケティングを実践しよう

コンバージョン率を上げるために行うABテストは、細かい要素を一つひとつ改善していく地道な取り組みです。1回ですぐに結果が出るとは限りませんが、修正とテストを繰り返せば、成果は必ず上がっていきます。その過程で、ユーザーの反応やアクションに関する知見も蓄積されます。ABテストを上手に活用し、質の高いWebマーケティングを実践していきましょう。

TOPPANクロレでは、ECサイトの戦略立案から構築、運用、リニューアル、店舗連携までさまざまなサポートを行う、ECサイトの構築/運用サービスを提供しています。お悩みや疑問は、どんなことでもお気軽にご相談ください。