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シリーズコラム/コンテンツ製作の現場から【児童書コンテンツ】後編 | TOPPANクロレ

作成者: TOPPANクロレ株式会社|2022/09/07 0:00:00

第2回【児童書コンテンツ】後編
本という枠組みにとらわれない自由な発想と技術でコンテンツを進化させる

 

児童書にスポットを当てたシリーズコラムの第2回。前編では、主にプリンティングディレクターの視点からみた児童書についてご紹介しました。

後編となる今回は、商材開発部に所属する秋山直己氏に話を聞き、紙だからできることや、簡単にはデジタルに移行しない児童書の未来図などを描いていきます。

前編はこちら

 

 

特殊な様式になることが多い児童書は製本担当が本づくりをリードする

 

出版業界に大きな変革をもたらしているデジタル化の波。ですが、児童書においてその変化は、他の分野と比べて非常に穏やかだと言えます。その理由のひとつとして、前回、「紙の本は味覚を除く五感を刺激する」という話をしました。その感覚に訴えるという部分で大きな役割を担うのが製本の部分です。

現在は商材開発を担当している秋山氏ですが、元々は生産技術に所属しており、製本分野に精通している人物。児童書における製本の重要性を聞きました。

 

 

作り手の想いに寄り添いつつ、児童書が最も大事にするのは、堅牢であること

 

作り手の要望を叶えるために技術や経験を駆使する製本部門。前回のプリンティングディレクター(以下PD)と役割は違えど、作り手の想いに寄り添うというスタイルは同じです。

 

それに加え、児童書を作るうえではもう一つ大切なことがある、と秋山氏は言います。
絶対的な堅牢性。これは、児童書には欠かせない要素です。子どもたちが繰り返し読んでも壊れないこと。

そして、図書館などに納める際も、たくさんの人が何度も読むことを考えれば、丈夫な本であることはとても重要です」
厚紙を張り合わせた合紙絵本などはその一例ですが、この製造ラインを持っている印刷会社は、TOPPANクロレを含めても3社しかないと言います。

ちなみに、TOPPANクロレでは合紙絵本をさらに発展させ、天地方向や左右方向に紙面が広がる「spreak(スプレック)」を開発。

単なる丈夫な本と言うだけでなく、表現力を広げた新しい合紙絵本のアイデアを提案しています。

 

 

丈夫な本を作るための希少な製本技術という点では、従来からある工程と新しい技術の組み合わせを行います。「かがりPUR」もその一つです。
現在、従来の無線綴じ製本に使用する接着剤より強度や耐熱性に優れたPUR糊を使用した、いわゆるPUR製本への置き換えが進んでいます。

丈夫で開きやすいと言われていますが、絵本の使い方を考えると、どうしても糊付け部分から壊れてしまうことは避けられません。そこで、
「従来からある、糸でかがる工程を残し、PURと組み合わせて強固な本を作りました。

かがりは今後、無くなっていく工程とも言われていましたが、かがりをすることで、折同士が糸でつながり、かつPURで綴じる事で、壊れにくくなります。

児童書を手がける限り、伝統的な技術は手放してはいけない。大切にしなくてはいけない」と秋山氏は言います。
多くのものが合理化していく現代においても、児童書を作る現場は、合理化オンリーでは進められない、進めてはいけないのです。

 

 

児童書の世界を大きく広げる商材開発を活用した新たな試み

 

合理化だけでは測れない児童書の世界。その可能性をさらに広げる試みが、TOPPANクロレでは進んでいます。
仕掛け人でもある秋山氏は、「今、TOPPANクロレにはプレミアム商材製造を行う<Sファクトリー>が稼働していますが、そこで生まれた技術を児童書に取り込めないかと考えている」と言います。

 

 

今後も成長を続けていくためにTOPPANクロレができること、していくこと

 

児童書に長く携わってきたTOPPANクロレが、これから何ができるのか、何をしていくのか。営業、PD、製本、それぞれの立場から、改めて語ってもらいました。

 

 

「営業は常に、作り手がやりたいことと、コストや納期の板挟みの中にいます。本を完成させることを優先すると、つい、できることの範囲の中ですべてを考えがちです。時々、お客様からの提案やアイデアで、新たな可能性に気づくことがあります。どうしたらできるのか工夫することで自分たちのできることが広がっていく。

これを積み重ねていき、自他ともに認める児童書の製造でナンバー1を目指したい」(鶴巻氏)

 

「デジタルと紙の本の良さ、たとえば、デジタルならその発色の鮮やかさ、読み聞かせの音声を著名な人物に託すとか。また、紙の本なら手描きの優しい風合いや、形やギミックで楽しませる部分など、それぞれの魅力を理解しながら、児童書に新しい価値を生み出せていけたらと思っています。

どう表現するかは、これからさまざま変わっていくかもしれませんが、作り手の想いに寄り添った制作はこれからも変わりません。

想いを大切にしながら、本づくりに真摯に取り組んでいきたいですね」(池浦氏)

 

「TOPPANクロレは本づくりが中心ではありますが、そこにとらわれることなく、お客様である出版社様のコンテンツを活用し、エンドユーザー様に、楽しく新しい体験を届けていきたいと思います。児童書に限りませんが、見てもらわないことには、それに価値は生まれません。

そのために何ができるかを考え、よりスムーズに、スピーディにお客様の手元へ届くまでをプロデュースしていければと思います」(秋山氏)

 

出版業界の中で、着実に売上を伸ばし続けている児童書分野。子どもたちがいる限り、失くなることはありませんが、このまま好調を維持していくために、まだできることはたくさんあると思います。その中で、TOPPANクロレができること、やるべきこともたくさんあります。

作り手に寄り添うために、子どもたちの未来を育むために、TOPPANクロレの力が児童書コンテンツの助けになれば、と考えています。

 

 

 

TOPPANクロレはお客様の課題解決を支援します

 

TOPPANクロレは、印刷技術を核として幅広いサービス・製品を提供し、お客様のコミュニケーションを支援しております。

 

  • 「コンテンツの世界観に合わせた、魅力的なグッズをつくりたい」

    「ユニークな装丁のアイデアが実現できるか相談したい」

    「周年に合わせた豪華本をつくって、著者やファンに喜んでもらいたい」

 

…など、お客様がお持ちの課題に合わせて、サイズや色づかい、さまざまな特殊な用紙、印刷、加工、製本方式などを組み合わせて、お客様のアイデアの具現化を支援いたします。
お客様の色や装丁へのこだわりにできるかぎりお応えするために、当社にはプリンティングディレクターや製本コンシェルジュがおります。

まずは、どんなことでもご相談ください。

 

出版・編集ご担当者様向け ~お持ちの課題を解決するサービスを提供します~
プリンティングディレクター ~こだわりの発色の印刷物をお届けします~

広がる合紙絵本 『spreak(スプレック)』